リンパの腫れはストレスが原因?リンパ節との関係や対処法を解説
首や脇の下などにしこりを見つけると、不安に感じるかもしれません。
リンパ節の腫れは、ストレスによる免疫力の低下が間接的な原因となることもありますが、その背景には様々な要因が考えられます。
リンパが腫れる仕組みや、ストレスとの関係性、そして自分でできる対処法について知ることは、過度な心配を和らげ、適切な行動をとるために役立ちます。
また、どのような場合に医療機関を受診すべきか、その判断基準を理解しておくことも重要です。
ストレスでリンパが腫れる?免疫力低下との関係性
ストレスが直接リンパ節を腫れさせるわけではありません。
しかし、過度なストレスや慢性的な疲れは、体の防御システムである免疫機能の低下を招きます。
その結果、ウイルスや細菌に感染しやすくなり、それらと戦うためにリンパ節が反応して腫れるという間接的な関係性があります。
つまり、リンパが腫れるという症状は、ストレスによって体が弱っているサインの一つと捉えることができます。
ストレスが免疫機能を低下させるメカニズム
過度な精神的・身体的ストレスは、自律神経のバランスを乱し、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を促します。
これらのホルモンは、免疫細胞であるリンパ球の働きを抑制する作用を持つため、結果的に体全体の免疫機能が低下します。
リンパ節は、体内に侵入した異物を処理する免疫器官であるため、免疫力が低下した状態でウイルスや細菌にさらされると、これらの異物と戦うためにリンパ節が活発に働き、結果として腫れや痛みを引き起こすことがあります。
免疫力の低下によって感染症にかかりやすくなる
免疫力が低下すると、普段なら問題にならないような弱い病原体にも体が反応しやすくなります。
特に、風邪やインフルエンザ、扁桃炎といった上気道感染症にかかりやすくなり、それに伴って首のリンパ節が腫れることが頻繁に見られます。
これは、ウイルスや細菌が侵入しやすい喉や鼻の粘膜に近いリンパ節が、病原体を食い止めようと活発に働いている証拠です。
喉の痛みや咳、鼻水といった症状とともにリンパの腫れが現れた場合は、感染症が原因である可能性が高いと考えられます。
ストレスだけじゃない!リンパが腫れる主な原因
リンパの腫れは、ストレスによる免疫力低下だけが原因ではありません。
最も一般的なのはウイルスや細菌による感染症ですが、その他にも自己免疫疾患や、稀に悪性リンパ腫などの悪性腫瘍が原因となることもあります。
原因によって、腫れが痛い場合と痛くない場合があり、しこりの硬さや大きさ、持続期間なども異なります。
そのため、腫れの状態をよく観察し、他の症状がないかを確認することが重要です。
ウイルスや細菌による感染症
リンパ節が腫れる最も一般的な原因は、風邪、扁桃炎、虫歯、歯周病といったウイルスや細菌による感染症です。
病原体が体内に侵入すると、その情報をキャッチしたリンパ節内のリンパ球が増殖し、病原体と戦うために活発化します。
この反応によってリンパ節が腫れ上がり、しばしば痛みや発熱、赤みを伴います。
通常、原因となっている感染症が治まれば、リンパ節の腫れも数週間で自然に解消されていきます。
この場合の腫れは、体の正常な防御反応といえます。
自己免疫疾患による身体の反応
関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)といった自己免疫疾患も、リンパ節の腫れを引き起こす原因の一つです。
これらの病気は、免疫システムに異常が生じ、自身の正常な細胞や組織を誤って攻撃してしまうことで発症します。
この免疫系の過剰な反応によって全身に炎症が起こり、その一環としてリンパ節が腫れることがあります。
自己免疫疾患による腫れは、特定の部位だけでなく、全身の複数のリンパ節にみられる傾向があります。
治療には、免疫の働きを調整する特殊な薬が用いられます。
悪性リンパ腫や白血病といった病気の可能性
頻度は低いものの、リンパの腫れが重大な病気のサインである可能性も考慮しなくてはなりません。
悪性リンパ腫は、リンパ系組織から発生するがんで、痛みを伴わない硬いしこりが特徴です。
また、血液のがんである白血病でも、リンパ節が腫れることがあります。
これらの悪性の病気の場合、腫れが数ヶ月にわたって続いたり、徐々に大きくなったり、複数箇所に現れたりする傾向があります。
発熱や体重減少、寝汗といった全身症状を伴う場合は特に注意が必要です。
リンパが腫れている場所から考えられること
リンパ節は全身に網の目のように分布しており、体の各部位からのリンパ液を集めてろ過する役割を担っています。
そのため、リンパ節が腫れている場所から、どのあたりに炎症や異常が起きているのかをある程度推測することが可能です。
特に、首や脇の下、足の付け根はリンパ節が多く集まっており、腫れに気づきやすい部位です。
それぞれの場所で考えられる原因を知ることは、状態を理解する手がかりとなります。
首やあごの下に腫れがある場合
首やあごの下のリンパ節の腫れは、最も一般的にみられる症状です。
これらのリンパ節は、鼻や喉、口、耳といった頭頸部の領域からのリンパ液を集めているため、風邪や扁桃炎、咽頭炎、虫歯、歯周病、中耳炎などが主な原因となります。
多くの場合、原因となっている感染症の治療によって腫れも改善します。
ただし、鎖骨の上のリンパ節が腫れている場合は、胸部や腹部の病気が原因の可能性も考えられるため、より注意深い観察が求められます。
脇の下のリンパ節が腫れている場合
脇の下のリンパ節は、腕や胸、背中の一部からのリンパ液を管理しています。
そのため、この部分が腫れる原因としては、腕の怪我や感染症、虫刺されなどが考えられます。
また、予防接種の副反応として一時的に腫れることもあります。
女性の場合、乳がんの転移によって脇のリンパ節が腫れる可能性も考慮しなくてはなりません。
痛みがなく硬いしこりが触れる、大きさが変わらない、あるいは大きくなるといった場合は、乳腺外科など専門医の診察を受けることが推奨されます。
足の付け根(股関節)が腫れている場合
足の付け根、鼠径部のリンパ節は、足や外陰部、下腹部からのリンパ液が集まる場所です。
この部位が腫れる場合、足の怪我や水虫などの感染症、性感染症などが原因として考えられます。
リンパ管を通って細菌やウイルスが鼠径部のリンパ節に到達し、そこで免疫反応が起こることで腫れが生じます。
まれに、子宮や卵巣、消化器系の病気が原因となることもあるため、腫れが長引く場合や他の症状がある場合は、原因を特定するために医療機関での検査が必要です。
ストレスによるリンパの腫れを感じたときのセルフケア
リンパの腫れがストレスによる免疫力低下に起因すると考えられる場合、生活習慣を見直し、心身を休ませることが基本となります。
ただし、強い痛みや熱感を伴う場合は感染症の可能性が高いため、自己判断でのマッサージは炎症を悪化させる恐れがあり避けるべきです。
ここで紹介するのは、あくまで免疫機能をサポートし、ストレスを緩和するためのセルフケアであり、症状が悪化したり長引いたりする場合は医療機関に相談することが前提となります。
十分な休息と睡眠で体を休める
疲労や睡眠不足は、自律神経の乱れを招き、免疫力を低下させる大きな要因です。
リンパの腫れが気になるときは、まず体をしっかりと休ませることを最優先にしましょう。
質の良い睡眠を確保するために、就寝前のスマートフォンの使用を控え、寝室の環境を整えるなどの工夫が有効です。
また、日中も無理をせず、リラックスできる時間を作ることが大切です。
深呼吸を意識すると、胸の周りの筋肉の緊張が和らぎ、心身のリラックスにつながります。
バランスの取れた食事で免疫力をサポートする
免疫機能を正常に保つためには、日々の食事が非常に重要です。
特定の食品だけを摂取するのではなく、多様な食材からバランスよく栄養を摂ることを心がけましょう。
特に、免疫細胞の働きを助けるビタミンC(果物、野菜)、ビタミンD(きのこ類、魚)、亜鉛(肉類、豆類)、そして体の基本となるタンパク質(肉、魚、大豆製品)などを意識的に食事に取り入れることが望ましいです。
腸内環境を整える発酵食品や食物繊維も、免疫力維持に寄与します。
適度な運動やリラックスできる方法を取り入れる
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は、血行やリンパの流れを促進するだけでなく、気分転換になりストレス解消にも役立ちます。
ただし、発熱や倦怠感があるときは体に負担をかけるため、運動は控えて休息を優先してください。
また、ストレスを溜め込まないように、日常生活の中にリラックスできる時間を取り入れることも大切です。
音楽鑑賞や読書、アロマテラピー、友人との会話など、自分に合った方法で心と体を休ませる習慣をつけましょう。
こんな症状は要注意!病院を受診すべきリンパの腫れ
ほとんどのリンパの腫れは一時的なものですが、中には重大な病気が隠れているサインの場合もあります。
セルフケアで様子を見てよいか、すぐに病院へ行くべきかを判断するためには、いくつかのポイントがあります。
特に、腫れの大きさや硬さ、期間、そして熱や体重減少といったリンパの腫れ以外の症状の有無は、重要な判断材料になります。
これらの危険なサインを見逃さないことが、早期発見・早期治療につながります。
腫れが長期間引かない、または大きくなっている
感染症が原因のリンパの腫れは、通常2〜3週間程度で、原因となった病気の回復とともに自然に小さくなります。
しかし、1ヶ月以上経っても腫れが引かない場合や、むしろサイズが徐々に大きくなっている場合は注意が必要です。
痛みがなくても、このような経過をたどる場合は、悪性リンパ腫や他のがんからの転移、結核などの慢性的な感染症といった、より専門的な診断と治療を要する病気の可能性が考えられるため、医療機関の受診が推奨されます。
しこりが硬く、動かない
リンパ節を指で触れたときの感触も、重要なチェックポイントです。
炎症による腫れは、比較的弾力があり、押すと少し痛みを感じ、皮膚の下でころころと動くことが多いのが特徴です。
一方、悪性リンパ腫などの腫瘍が原因である場合、しこりがゴムのような硬さであったり、石のように硬かったりする傾向があります。
また、周囲の組織と癒着して、指で押してもほとんど動かないという特徴が見られることもあります。
このような硬いしこりに気づいた際は、早めに医師に相談してください。
発熱や体重減少など他の症状もみられる
リンパの腫れ以外に、全身的な症状が現れている場合も注意が必要です。
特に、38度以上の原因不明の発熱が続く、夜間に大量の汗をかく(寝汗)、数ヶ月で体重の10%以上が意図せず減少する、といった症状は「B症状」と呼ばれ、悪性リンパ腫を疑う重要なサインとされています。
また、強い倦怠感や食欲不振が続く場合も、背景に何らかの全身性の病気が隠れている可能性があるため、放置せずに医療機関を受診することが大切です。
病院では何科を受診すればいい?
リンパの腫れに気づいた際、何科を受診すればよいか迷うかもしれません。
まずは、かかりつけ医や総合的な診察が可能な内科を受診するのが一般的です。
内科医が問診や診察を行い、原因を推測した上で、必要に応じて専門の診療科を紹介してくれます。
例えば、喉の痛みが伴う場合は耳鼻咽喉科、歯茎の腫れがあれば歯科口腔外科、脇の下のしこりで乳がんが疑われる場合は乳腺外科など、原因が推測できる場合は直接専門科を受診することも選択肢の一つです。
リンパの腫れを調べるための主な検査方法
医療機関では、まず問診で症状の経過などを詳しく聞き取り、触診でリンパ節の大きさ、硬さ、数、痛みの有無などを確認します。
原因を探るため、血液検査を行い、白血球の数や炎症反応の程度、ウイルス感染の有無などを調べます。
画像検査として、超音波(エコー)検査でリンパ節の内部構造を詳細に観察したり、CT検査で首から骨盤までの全身のリンパ節の状態を評価したりすることがあります。
最終的に悪性腫瘍などが疑われる場合は、リンパ節の一部を採取して顕微鏡で調べる組織診(生検)で確定診断を行います。
まとめ
ストレスが自律神経やホルモンバランスを乱し、免疫機能を低下させることで、間接的にリンパの腫れを引き起こすことがあります。
しかし、リンパ節が腫れる原因は多様であり、一般的なウイルスや細菌による感染症から、自己免疫疾患、悪性リンパ腫といった重大な病気まで様々です。
腫れが2〜3週間以上続く、硬くて動かない、徐々に大きくなる、発熱や体重減少などの全身症状を伴うといった場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。
不安な症状があれば、まずは内科やかかりつけ医に相談し、適切な診断を受けるようにしましょう。
症例・患者さんの声

【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
鍼灸師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得
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