症例報告「自律神経失調症(睡眠障害) 症例1」
【自律神経失調症 症例1】
【患者像】
Mさん 20代 男性
【来院】
2016.7
【症状】
主訴:自律神経失調症、だるさ、睡眠障害
2013年から自律神経の乱れによる全身の倦怠感と、24時間の生活リズムが崩れる程の睡眠障害を発症。自覚としては、幼少期から睡眠障害などの自律神経失調症状はあったのではないかと推察している様子。特に電磁波の影響を強く受ける環境(wifi環境など)、人混みなどにさらされると後頚部が緊張し、全身の倦怠感などの症状が増悪する。
心身共に疲弊した状態で、体力がストレスに負けていることが、睡眠障害の引き金になっている。
睡眠障害は、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、ナルコレプシーなどの症状があるが、いずれの状態においても適切に対処をすれば、
症状の解消につながる。倦怠感は、体力不足の重要な所見となる。単なる睡眠障害で片づけるのではなく、自律神経の乱れが
何故起こっているのか、それを解消するにはどうしたら良いのかという観点で症状を分析する必要がある。
【治療経過と内容】
治療方針:
肺の機能低下による、全身の気血の巡りを改善する
身体の症状として出ている自律神経失調症の諸症状(首のの後ろの痛み、だるさ、睡眠障害)は、外部環境に適応できない状態である。外部からの環境変化に対応するには、体の体表を流れる衛気の働きを調整することで、体の内部環境を整える事が出来る。肺兪、太淵、中府を刺激することで血流改善と倦怠感の緩和を認めた。
治療を継続し、1カ月を経過した頃から睡眠のリズムが昼型から夜型に戻り回復を認めた。
体力の回復、もしくはストレスの減少により症状が回復したと考えた。
つまり今回の施術内容は、肺の機能を高める施術を中心に行ったことにより、体力が回復したと考えられるという事である。
根本的に肺が弱っている状態とは、虚弱体質を考える。もともと体力不足だった方は、ストレス状態にさらされ続けると、
更に肺が弱まって体力回復に時間を使えなくなってしまう。
今回は、生活習慣の修正と肺の機能の向上が早期睡眠障害解消につながった。
睡眠障害の方は、他にも酸素の取り込みがうまく行かない人もいるので注意が必要。
【同時に治療した症状】
発達障害、頭痛、冷え
【使用した主なツボ】
肺兪、太淵、中府
【考察】
この症例では、幼少期からの症状であることと、外部環境の影響を大きく受けていることを考えた結果、肺を中心に治療をすることを選択した。肺が弱まっている背景としては、先天的に体力や免疫力が低いことや、胃もしくは脾の力が弱いこと、腎のジョウトウ気化作用が弱いことが考えられる。それに加えて、ストレスに対する抵抗をするときに働く肝臓の働きが異常をきたしているので、今後の治療経過を診ながら肺以外の臓器からのアプローチを考察し、治療を選択していく。それに伴い、頭蓋骨の調整(整体)をすることで、脳脊髄液の循環作用も促進していく。
脳脊髄液の施術と脳波の調整は密接に関係しているが、体全体のバランスを考えるとこれほど理にかなった施術法はない。
親からもらった基礎体力に、その後身につく後天的な体力(運動力、思考力、回復力、調整力)を足していく事が出来ていないと、自律神経の乱れ由来の睡眠障害となる。今回の症例では、睡眠障害が早期改善されて、セルフケアもお伝えすることが出来ているので、再発防止に役立つだろう。