更年期の不眠(睡眠障害)の原因は?薬や今すぐできる対処法
更年期に入り、寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めるなどの不眠に悩む女性は少なくありません。
更年期の症状として現れるこの不眠の主な原因は、女性ホルモンの減少による自律神経の乱れです。
この記事では、不眠の具体的な原因を解説するとともに、今日から始められるセルフケアでの対処法から、市販薬や病院での治療まで詳しく紹介します。
あなたの不眠はどのタイプ?更年期によくある睡眠の悩み
一口に不眠といっても、その現れ方は様々です。
夜眠れないことで日中の活動に影響が及び、眠気から昼寝をしてしまうと、さらに夜の睡眠が妨げられる悪循環に陥ることもあります。
更年期に多い不眠のタイプには、主に「入眠障害」「中途覚醒」「早朝覚醒」「熟眠障害」の4つが挙げられます。
自身の悩みがどのタイプに当てはまるかを知ることで、より適切な対処を見つけやすくなります。
夜なかなか寝付けない「入眠障害」
入眠障害は、布団に入っても30分から1時間以上寝付けない状態を指します。
体は疲れているのに頭が冴えてしまい、あれこれと考え事をしてしまううちに目が覚めてしまうのが特徴です。
更年期には、女性ホルモンの減少によって自律神経が乱れ、気分が落ち込んだり不安を感じやすくなったりします。
こうした精神的な不調が脳を興奮状態にさせ、スムーズな入眠を妨げる原因となります。
夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」
中途覚醒は、眠っている間に何度も目が覚めてしまい、その後なかなか寝付けなくなる状態です。
更年期特有の症状であるホットフラッシュによる急なほてりや発汗、動悸などで目が覚めてしまうことが主な原因として挙げられます。
また、加齢とともにトイレが近くなることも、夜中に起きる回数を増やす一因です。
一度目が覚めると、再び眠りにつくのが難しく、睡眠の質を大きく低下させます。
朝早くに目が覚めてしまう「早朝覚醒」
早朝覚醒は、起きようと思っていた時刻よりも2時間以上も早く目が覚めてしまい、その後もう一度眠ることができない状態です。
年齢とともに体内時計のリズムが変化し、睡眠時間が短くなる傾向がありますが、更年期における気分の落ち込みやうつ状態がこの症状を助長することがあります。
まだ暗いうちから目が冴えてしまい、十分な休息がとれないため、日中の倦怠感につながります。
ぐっすり眠れた感じがしない「熟眠障害」
熟眠障害は、睡眠時間は十分に確保しているにもかかわらず、眠りが浅く、ぐっすり眠れたという満足感(休養感)が得られない状態です。
睡眠中に何度も目が覚めていなくても、夢ばかり見ていたり、脳が休まっていなかったりするため、朝起きても疲れが取れていないと感じます。
この睡眠の質の低下は、日中の集中力や意欲の減退を引き起こす原因にもなります。
更年期に不眠が起こる3つの主な原因
更年期に不眠が起こる理由は、単一ではありません。
背景には、女性ホルモンの「ゆらぎ」が引き起こす、身体的・精神的な変化が複雑に絡み合っています。
女性特有のメカニズムを理解することが、適切な対処への第一歩です。
一方で、男性にも更年期障害はありますが、女性の不眠はホルモンの急激な変動が大きく関わる点で特徴が異なります。
ここでは、主な3つの原因を解説します。
原因①:女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少
更年期になると、卵巣機能の低下により女性ホルモンのエストロゲン分泌量が急激に減少します。
エストロゲンは、自律神経の働きを安定させたり、脳内で精神を安定させる神経伝達物質「セロトニン」の分泌を促したりする重要な役割を担っています。
このホルモンが減少することで自律神経のバランスが崩れ、心身が興奮状態になりやすくなり、結果として不眠を引き起こします。
原因②:ホットフラッシュや寝汗など身体的な不快症状
エストロゲンの減少による自律神経の乱れは、体温調節機能にも影響を及ぼします。
これにより、突然顔がカッと熱くなる「ホットフラッシュ」や、就寝中の大量の寝汗、急な動悸といった血管運動神経症状が現れることがあります。
特に夜間にこれらの症状が起こると、ほてりや汗による不快感で目が覚めてしまい、安眠が妨げられる直接的な原因となります。
原因③:気分の落ち込みやイライラといった精神的な不調
エストロゲンには、精神を安定させるセロトニンの分泌を助ける働きがあります。
そのため、エストロゲンが減少する更年期には、セロトニンも不足しがちになり、理由もなく気分が落ち込んだり、ささいなことでイライラしたり、将来への漠然とした不安を感じやすくなります。
こうした精神的なストレスは、脳を覚醒状態に保ち、寝つきを悪くしたり、眠りを浅くしたりする大きな要因です。
今日から試せる!更年期の不眠を和らげるセルフケア5選
つらい更年期の不眠に効く対策として、まずは日常生活の中でできるセルフケアから始めてみるのがおすすめです。
睡眠の質を改善するための対処法は、一つだけでなく複数を組み合わせることで効果が高まります。
生活習慣を見直すことは、不眠だけでなく更年期に起こりがちな様々な不調を和らげることにもつながります。
ここでは、今日から実践できる5つの具体的な方法を紹介します。
1. 睡眠の質を高める栄養素を食事に取り入れる
睡眠には、セロトニンの材料となるトリプトファンや、神経の興奮を鎮めるGABA、グリシンなどの栄養素が関わっています。
トリプトファンは乳製品や大豆製品、バナナに、GABAは発芽玄米やトマトに多く含まれます。
また、更年期の女性には、女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンや、その吸収率を高めた成分であるエクオールを食事やサプリメントで補うことも有効です。
サプリを上手に活用するのも良いでしょう。
2. 就寝前のリラックスタイムで心と体を落ち着かせる
スムーズな入眠には、心身をリラックスモードに切り替える副交感神経を優位にすることが重要です。
就寝1〜2時間前に38〜40℃のぬるめのお湯にゆっくり浸かると、体の深部体温が一旦上がり、その後下がる過程で自然な眠気が誘発されます。
また、アロマを焚いたり、ヒーリング音楽を聴いたり、軽いストレッチを行ったりするのも効果的です。
就寝前のスマートフォン操作やカフェイン、アルコールの摂取は控えましょう。
3. 日中の適度な運動で心地よい疲労感を作る
日中に適度な運動を行うと、心地よい疲労感が得られ、夜の寝つきが良くなります。
また、運動はセロトニンの分泌を促し、精神的な安定にもつながります。
ウォーキングやヨガ、軽いジョギングといった有酸素運動を、無理のない範囲で習慣にすることをおすすめします。
ただし、就寝直前の激しい運動は交感神経を刺激してしまい逆効果になるため、夕方までに行うのが理想的です。
4. 朝日を浴びて体内時計のリズムを整える
人間の体には約24時間周期の体内時計(サーカディアンリズム)が備わっており、睡眠と覚醒のリズムをコントロールしています。
朝、太陽の光を浴びると、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌が止まり、体内時計がリセットされます。
そして、リセットされてから約14〜16時間後に再びメラトニンの分泌が始まり、自然な眠気が訪れます。
毎朝同じ時間に起きてカーテンを開け、朝日を浴びる習慣をつけましょう。
5. 寝室を快適な温度・湿度に保つ
快適な睡眠のためには、寝室の環境を整えることも欠かせません。
一般的に、快適な寝室の温度は夏場で24~28℃程度、冬場で16~20℃程度、湿度は年間を通して50~60%が目安とされています。
特に更年期はホットフラッシュや寝汗が起こりやすいため、通気性や吸湿性に優れた寝具やパジャマを選ぶと良いでしょう。
静かで暗い環境を作るなど、自分が最もリラックスできる空間づくりを心がけてください。
セルフケアで改善しない場合に検討したい治療法
様々なセルフケアを試しても不眠が改善しない、あるいは日常生活に大きな支障が出ている場合は、医療の力を借りることも重要な選択肢です。
更年期の不眠は適切な治療によって治る可能性が高い症状です。
一人で抱え込まず、専門家に相談することで、つらい症状から解放される道が開けます。
ここでは、代表的な治療法をいくつか紹介します。
市販の睡眠改善薬や漢方薬を試してみる
ドラッグストアなどで購入できる睡眠改善薬は、アレルギー薬の副作用である眠気を利用したもので、一時的な不眠には有効な場合があります。
一方、漢方薬は心と体のバランスを整え、体質から改善していくことを目指します。
不眠だけでなく、イライラやほてり、不安感といった更年期の他の症状にも効果が期待できるのが特徴です。
「加味逍遙散(かみしょうようさん)」や「抑肝散(よくかんさん)」などが代表的な処方です。
ホルモン補充療法(HRT)でホルモンバランスを整える
ホルモン補充療法(HRT)は、不足している女性ホルモン(エストロゲン)を飲み薬や貼り薬、ジェルなどで補充する治療法です。
不眠の根本原因であるホルモンバランスの乱れを直接的に改善するため、不眠だけでなく、ホットフラッシュや気分の落ち込みなど、更年期の様々な症状に高い効果が期待できます。
ただし、血栓症などのリスクもあるため、婦人科医による慎重な診断のもとで行われます。
医師の処方による睡眠薬や抗うつ薬・抗不安薬
つらい不眠症状が続く場合は、医師が処方する睡眠薬が有効です。
現在の睡眠薬は、作用時間や効果によって様々な種類があり、医師が症状に合わせて適切なものを選択します。
また、不眠の背景に強い不安や気分の落ち込みがある場合には、抗うつ薬や抗不安薬が処方されることもあります。
これらの薬は、精神的な不調を和らげることで、結果的に睡眠の質を改善する効果が期待できます。
更年期の不眠はいつまで続く?医療機関を受診する目安
更年期の期間は、閉経を挟んだ前後10年間とされていますが、症状の現れ方や長さには個人差が大きく、「不眠がいつまで続く」とは一概に言えません。
更年期が終わるとともに症状が落ち着くことが多いですが、セルフケアや治療を行わずに放置すると、症状が長引くこともあります。
日常生活に支障が出るほどの不眠が1ヶ月以上続く場合は、我慢せずに病院を受診することを検討しましょう。
更年期の不眠に関するよくある質問
ここでは、更年期の不眠に関して多くの方が抱く疑問についてお答えします。
Q1. 睡眠薬を飲み続けることに抵抗があります。依存性は大丈夫ですか?
最近の睡眠薬は、依存性が少なくなるよう改良されています。
医師の指導のもと、用法・用量を守って正しく服用すれば、過度に心配する必要はありません。
漫然と長期間使用するのではなく、症状の改善に合わせて薬を減らしたり、中止したりすることが可能です。
Q2. 不眠だけでなく、日中のイライラや不安感も強いです。
不眠とイライラ、不安感は、いずれも女性ホルモンの減少による自律神経の乱れが原因で起こる、更年期の代表的な症状です。
これらは互いに影響し合うため、ホルモン補充療法や漢方薬など、心身のバランスを総合的に整える治療が効果的な場合があります。
Q3. 眠れない悩みは何科に相談すればよいですか?
更年期が原因と思われる不眠の悩みは、まず婦人科に相談するのがおすすめです。
ホルモンバランスの状態を調べ、ホルモン補充療法など専門的な治療の選択肢について相談できます。
精神的な不調が特に強い場合は、心療内科を受診することも有効です。
まとめ
更年期の不眠は、女性ホルモンの急激な変化によって引き起こされる、多くの人が経験する症状です。
その原因はホルモンバランスの乱れだけでなく、それに伴う身体的・精神的な不調が複雑に絡み合っています。
このブログ記事で紹介したように、生活習慣の改善といったセルフケアから、漢方薬、ホルモン補充療法などの専門的な治療まで、様々な対処法が存在します。
一人で悩まず、専門家へ相談することも検討してください。
症例・患者さんの声

【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
鍼灸師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得
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