自律神経と年齢
こんにちは。平井鍼灸院の鈴木開登です。
今回は「自律神経と年齢」についてお伝えします。
自律神経も体の他の器官と同じように、年齢とともに衰えていきます。自律神経の働きは20代を100%とした場合、30代では20%、40代になると30〜40%も低下し、50代〜60代になると半減すると言われています。自律神経のはたらきが低下すると、小さな不調が頻繁に起こるようになっていきます。
たとえば、体温は皮膚の血流量や発汗などによって自律神経が調節していますが、その機能が低下すると発汗量が減るため、暑がりになったり、逆に冷房がつらくなったりします。さらに高齢になると、感覚器も老化します。すると、暑さや寒さを感じづらくなり、熱中症になってしまうなどの深刻なトラブルを招くこともあります。
また、自律神経のはたらきが低下すると、血流が低下します。そのため、急に立ち上がったときにクラクラする立ちくらみも起こりやすくなり、高齢者の転倒・骨折の原因となることがあります。
ほかにも頻尿になる、眠りの質が低下するなど、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の低下につながる問題が数多く起こってきます。
自律神経が乱れて起こる症状は人それぞれに違いがありますが、年齢によって現れる症状に傾向があります。
青少年期は成長期でもあるため、体の中で大きな変化が起こっています。その変化と連動するように交感神経が急に強くはたらいたり弱くなったりと、自律神経が不安定になります。すると、立ちくらみや、立っているのがつらい超安性調節障害が起こることがあります。
青年期になると、仕事や人間関係などでストレスを抱える人が増えます。そのためにイライラや不眠、便秘・下痢など、交感神経の暴走による不調を訴える人が多くなっていきます。
中年期になると、仕事などのストレスはコントロールできるようになってきます。しかし、加齢によって副交感神経のはたらきが低下してしまうため、自律神経のトラブルは続きます。動脈硬化などの持病があると、脳梗塞や心筋梗塞といった重い病気につながることもあります。
高齢期になると自律神経以外の神経や臓器などのはたらきも低下してきます。体温調節や血圧調節がうまくいかなくなって失神したり、熱中症の症状や重い抑うつ症状が見られたりと、トラブルが深刻になりがちです。
若々しさを維持するためには、細胞に酸素や栄養を運ぶ血液の質や流れが重要です。
交感神経が優位になっているときは、毛細血管が収縮し、血液が脳や筋肉に集まった「血流の悪い状態」になっています。また、交感神経がはたらきすぎると胃腸のはたらきが低下して、良質な栄養の吸収が妨げられます。身の周りのストレスによって交感神経優位な状態が続いていると、細胞に十分な栄養と酸素が届かず、老化が進んでしまうのです。
また、メタボになって動脈硬化が進み、血流が妨げられることによっても、健康的な若々しさが失われやすくなります。
一方、副交感神経が優位になりすぎている場合は、代謝が低下することで老化が進みます。代謝が低下すると、古い細胞が新しい細胞に置き換わるサイクルが長くなり、体内に老廃物がたまってしまうのです。
また、代謝が低下するとカロリーが消費されず、太りやすくもなります。近年、「フレイル」が注目されているように、老化に関するさまざまな研究結果が発表されています。健康でいるためには、自律神経をバランスのとれた状態に保つことが大切です。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
平井鍼灸院 鈴木開登
【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得