寝起きが息苦しい原因は?自律神経の乱れ?簡単な対処法も解説
寝起きの息苦しさは、体に何らかの異変が起きているサインかもしれません。
その原因は一時的なものから、病気が隠れているケースまで様々です。
この記事では、寝起きに息苦しさを感じる主な原因を解説し、すぐに試せる応急処置や日頃からできる予防的な対処法を紹介します。
症状に不安を感じている方は、ご自身の状態を把握するための参考にしてください。
寝起きに息苦しさを感じるのはなぜ?呼吸と自律神経の関係
私たちの呼吸は、意識しなくても自律神経によって24時間コントロールされています。
睡眠中は体を休める副交感神経が優位になり、呼吸は深くゆっくりとした状態です。
しかし、目覚めに向けて活動的な交感神経に切り替わる際、このバランスが乱れることがあります。
この自律神経の不調から、寝起きに呼吸が浅くなったり、うまく息が吸えないといった息苦しさを感じてしまうのです。
なぜ息苦しいのか、その理由を知ることが不安解消の第一歩になります。
【まずはセルフチェック】寝起きの息苦しさに関連する症状
寝起きに息苦しさを感じるとき、他にどのような症状があるか確認することが原因を探る手がかりになります。
例えば、咳や痰が頻繁に出る、胸に圧迫感や痛みがある、動悸やめまいを伴う、吐き気やむかつきがあるといった症状です。
これらの症状は、呼吸器や循環器の病気、あるいは精神的なストレスなど、特定の原因を示唆している可能性があります。
息苦しさだけでなく、体に他にどんな変化があるかを注意深く観察してみてください。
寝起きの息苦しさを引き起こす7つの主な原因
寝起きの息苦しさには、様々な原因が考えられます。
いびきをかく人に多い睡眠時無呼吸症候群や、喘息などの呼吸器疾患、心不全といった循環器系の病気が隠れている可能性も否定できません。
また、アレルギーによる鼻づまり、ストレスによる自律神経の乱れ、さらには体に合わない寝具など、生活習慣や環境が影響している場合もあります。
ここでは、息苦しさを引き起こすいくつかの代表的な原因について、詳しく見ていきましょう。
原因1:睡眠時無呼吸症候群(SAS)で睡眠中に呼吸が止まっている
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に気道が塞がれることで呼吸が一時的に止まる状態を繰り返す病気です。
呼吸が止まるたびに体内の酸素濃度が低下し、脳や体は酸欠状態に陥ります。
このため、体は危険を察知して何度も目を覚まそうとし、深い睡眠を得られません。
その結果、寝起きに息苦しさや頭痛、日中の強い眠気といった症状が現れるのです。
大きないびきや、睡眠中の無呼吸を家族などから指摘された場合は、睡眠時無呼吸症候群を疑う必要があります。
原因2:喘息やCOPDなど呼吸器系の疾患
気管支喘息は、アレルギーなどが原因で気道に炎症が起き、狭くなることで呼吸が苦しくなる病気です。
特に副交感神経が優位になる夜間から明け方にかけて症状が出やすく、寝起きに息苦しさや咳、ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴を伴うことがあります。
また、長年の喫煙習慣がある場合は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の可能性も考慮しなければなりません。
これはタバコの煙などによって肺がダメージを受け、呼吸機能が低下する病気で、進行すると少し動いただけでも息切れを起こします。
原因3:心不全をはじめとする心臓や血管の病気
心臓のポンプ機能が低下する心不全になると、全身に血液をうまく送り出せなくなり、肺に血液が滞留(肺うっ血)して息苦しさを引き起こします。
特に横になると心臓への負担が増すため、就寝中に症状が進行し、寝起きに強い息苦しさを感じることがあります。
体を起こして座ると呼吸が楽になる(起坐呼吸)のが特徴です。
息苦しさのほかに、動悸や足のむくみ、急激な体重増加といった症状が見られる場合は、心臓や血管の病気を疑い、早めに医療機関を受診することが重要です。
原因4:副鼻腔炎などによる鼻づまり
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)などによって慢性的な鼻づまりがあると、睡眠中に口呼吸になりがちです。
口呼吸は喉の乾燥を招き、気道を狭めてしまうため、いびきの原因となったり、息苦しさを感じたりすることがあります。
特に風邪をひいた後や、特定の季節に症状が悪化する場合は、鼻の疾患が影響している可能性が高いです。
鼻水や痰が喉に流れる後鼻漏(こうびろう)も、睡眠中の呼吸を妨げる一因となり、寝起きの不快感につながります。
原因5:自律神経の乱れによる無意識な呼吸の浅さ
過度なストレスや不規則な生活習慣は、呼吸や体温などを調節する自律神経のバランスを崩す原因となります。
自律神経が乱れると、無意識のうちに呼吸が浅く速くなる傾向があり、体が必要とする酸素を十分に取り込めなくなります。
これが寝起きの息苦しさや、日中のだるさ、頭痛といった不調につながることがあります。
特に明確な身体的疾患が見当たらないのに息苦しさを感じる場合、自律神経失調症の一症状として現れている可能性も考えられます。
原因6:パニック障害など精神的なストレスの影響
強い不安やストレスは、精神面にも影響を及ぼし、息苦しさを引き起こすことがあります。
代表的なものがパニック障害で、突然理由もなく激しい動悸やめまい、窒息感といった発作に襲われます。
また、過換気症候群は、不安から呼吸が速くなりすぎて血液中の二酸化炭素が減少し、息苦しさや手足のしびれなどが生じる状態です。
うつ病などでも、身体症状として息苦しさが現れることがあります。
これらの症状は寝ている間の無意識な不安から、寝起きに強く感じられる場合もあります。
原因7:寝室の環境や寝具が体に合っていない
病気だけでなく、睡眠環境が息苦しさの原因となることもあります。
例えば、枕が高すぎると首が圧迫されて気道が狭くなり、呼吸がしにくくなります。
また、室内のハウスダストやダニ、カビなどがアレルギー反応を引き起こし、気道を刺激することも考えられます。
空気が乾燥していると喉の粘膜が傷つきやすくなり、息苦しさにつながります。
さらに、妊娠初期にはホルモンバランスの変化や体の生理的な変化により、息切れを感じやすくなることも知られています。
今すぐできる!寝起きの息苦しさを和らげる応急処置
寝起きに突然息苦しさを感じると、不安でパニックになってしまうことがあります。しかし、まずは落ち着いて対処することが大切です。
寝起きの息切れが起きた際に、症状を和らげるための簡単な応急処置があります。
深呼吸をしたり、楽な姿勢をとったり、部屋の空気を入れ替えたりするだけでも、呼吸が楽になる場合があります。
ここでは、誰でもすぐに実践できる3つの応急処置を紹介します。
ゆっくり深呼吸をして呼吸を整える
息苦しいと感じたときは、焦って浅い呼吸を繰り返してしまいがちですが、これではかえって苦しくなります。
まずは意識的に呼吸をコントロールすることが大切です。
椅子に座るか、楽な姿勢をとり、鼻から3〜4秒かけてゆっくりと息を吸い込みます。
そして、口をすぼめながら6〜8秒かけて、吸うときよりも長い時間をかけて息を吐き出しましょう。
この腹式呼吸を数回繰り返すことで、乱れた自律神経が整い、心身がリラックスして寝起きの息の苦しさが和らぎます。
楽な姿勢で座って体を休ませる
横になったままだと、内臓が肺を圧迫して息苦しさを感じやすいことがあります。
もし寝起きに息苦しさを感じたら、無理に横になっているのではなく、ゆっくりと体を起こしてみましょう。
ベッドの上で背中にクッションや枕を当てて座ったり、椅子に腰かけて前かがみになったりする姿勢は、横隔膜が下がりやすくなり肺が広がるため、呼吸が楽になります。
特に朝、焦って活動を始めず、まずは呼吸が落ち着くまで楽な姿勢で体を休ませることを優先してください。
窓を開けて部屋の空気を入れ替える
寝室の空気環境も、呼吸のしやすさに影響します。
就寝中は部屋を閉め切っているため、二酸化炭素濃度が上昇し、ホコリやアレルゲンが滞留しがちです。
朝起きるタイミングで窓を開け、新鮮な外気を取り込むことで、よどんだ空気が一掃され、気分転換にもなります。
きれいな空気を吸い込むことで、息苦しさが軽減され、呼吸が楽になる効果が期待できます。
特に、息が詰まるような感覚があるときには、まず換気を試してみてください。
寝起きの息苦しさを予防する4つのセルフケア
寝起きの息苦しさは、日々の生活習慣を見直すことで予防・改善が期待できます。
朝起きると息苦しいという状態を繰り返さないためには、睡眠中の呼吸を妨げる要因を取り除くことが重要です。
具体的には、枕の高さを調整して気道を確保したり、寝る姿勢を工夫したりすることが有効です。
また、ストレス管理や適度な運動も、自律神経のバランスを整え、心肺機能を高める上で役立ちます。
ここでは、日常生活で取り入れられる4つのセルフケアを紹介します。
枕の高さを見直して気道を確保する
睡眠中の呼吸のしやすさは、枕の高さに大きく左右されます。
枕が高すぎると、顎が引けて首が圧迫され、気道が狭くなってしまいます。
逆に低すぎても、頭が下がりすぎて気道が塞がりやすくなる原因となります。
理想的なのは、立っているときと同じように、首の骨が緩やかなS字カーブを描く高さを保てる枕です。
自分に合った枕を使うことで、睡眠中の気道がスムーズに確保され、いびきや無呼吸のリスクが減少し、寝起きの息苦しさの予防につながります。
横向きで寝る姿勢を試してみる
仰向けで寝ると、重力によって舌の根元(舌根)が喉の奥に落ち込み、気道を塞ぎやすくなることがあります。
これは、いびきや睡眠時無呼吸症候群の大きな原因の一つです。
寝起きの息の苦しさを感じることが多い場合は、横向きで寝る姿勢を試してみると良いでしょう。
横向き寝は舌根の落ち込みを防ぎ、気道を確保しやすいため、呼吸がスムーズになります。
抱き枕を利用すると、自然な横向きの姿勢を保ちやすくなるため、試してみる価値があります。
リラックスできる時間を作りストレスを軽減する
過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、呼吸を浅くする原因となります。
日々の生活の中で意識的にリラックスする時間を作ることが、息苦しさの予防に効果的です。
例えば、就寝前にぬるめのお湯にゆっくり浸かる、心安らぐ音楽を聴く、アロマテラピーを取り入れるなど、自分に合った方法で心身の緊張をほぐしましょう。
特に寝る前のスマートフォンの使用は交感神経を刺激するため控え、穏やかな気持ちで眠りにつく習慣をつけることが大切です。
適度な運動で心肺機能を向上させる
日中に適度な運動を取り入れることは、心肺機能の向上に役立ち、寝起きの息苦しさの予防につながります。
ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動は、肺や心臓の働きを強化し、呼吸筋を鍛える効果が期待できます。
運動を習慣にすることで、体力が増強されるだけでなく、血行が促進され、自律神経のバランスも整いやすくなります。
さらに、ストレス解消や睡眠の質を高める効果もあるため、総合的な体調改善に貢献します。
こんな症状は要注意!病院を受診すべき危険なサイン
寝起きの息苦しさは多くの場合、生活習慣の改善で対処できますが、中には重大な病気が隠れている危険なサインである可能性もあります。
セルフケアを試しても症状が改善しない場合や、息苦しさ以外に特定の症状を伴う場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。
これから紹介するような症状が見られる場合は、できるだけ早く医師の診察を受けてください。
胸に激しい痛みや圧迫感を伴う場合
寝起きの息苦しさと同時に、胸を締め付けられるような激しい痛みや圧迫感がある場合は、緊急を要する可能性があります。
これらの症状は、心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患の典型的なサインです。
特に、痛みが左腕や肩、顎に広がる、冷や汗が出る、強い動悸を伴うといった場合は、命に関わる危険な状態かもしれません。
このような症状が現れたら、ためらわずに救急車を呼ぶなど、速やかに医療機関で診察を受ける必要があります。
心臓に関わる病気は早期の対応が極めて重要です。
意識が遠のく感覚や顔色が悪い場合
息苦しさに加えて、意識が遠のくような感覚や強いめまい、立っていられないほどのふらつきがある場合も危険なサインです。
唇や顔色、爪の色が青白くなっている(チアノーゼ)場合、体内に十分な酸素が行き渡っていないことを示しています。
これらは重度の心不全や不整脈、呼吸不全など、深刻な病状が考えられます。
脳への酸素供給が不足している可能性もあり、放置すると意識を失う危険もあるため、すぐに医療機関を受診してください。
息苦しさの頻度が増えたり悪化したりしている場合
以前はたまにしか感じなかった寝起きの息苦しさが、最近になって毎日のように起こる、あるいは症状の程度が日増しに強くなっている場合も注意が必要です。
これは、背景にある病気が進行している可能性を示唆しています。
例えば、COPDや心不全は、初期段階では症状が軽くても、時間とともに徐々に悪化していく特徴があります。
症状の変化は、体の重要なシグナルです。
根本的な原因を特定し、適切な治療を受けるためにも、症状が悪化傾向にある場合は早めに医師に相談しましょう。
何科に行けばいい?症状から考える受診先の目安
寝起きの息苦しさで病院に行こうと思っても、何科を受診すればよいか迷うかもしれません。
息苦しさの原因は多岐にわたるため、伴う症状によって専門とする診療科が異なります。
適切な診断と治療を受けるためには、自分の症状に合った科を選ぶことが大切です。
ここでは、症状ごとにおすすめの受診先を紹介します。
場合によっては、専門的な検査や薬の処方が必要になることもあります。
いびきや日中の眠気が気になるなら「呼吸器内科」
寝起きの息苦しさに加えて、家族から大きないびきや睡眠中に呼吸が止まっていることを指摘されたり、日中に強い眠気を感じたりする場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われます。
この場合の専門は呼吸器内科です。
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)などの専門的な検査で、睡眠中の呼吸状態を詳しく調べることができます。
また、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といった肺や気管支の病気が原因と考えられる場合も、呼吸器内科が診療の対象となります。
鼻づまりや喉の違和感があるなら「耳鼻咽喉科」
慢性的な鼻づまりや色のついた鼻水、痰が絡む、喉に何かが張り付いているような違和感があるといった症状を伴う場合は、鼻や喉の疾患が息苦しさの原因かもしれません。
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)、扁桃炎などが考えられ、これらの診断と治療は耳鼻咽喉科が専門です。
内視鏡などで鼻や喉の状態を直接観察し、原因を特定した上で、投薬や処置など適切な治療を受けることができます。
動悸や足のむくみも感じるなら「循環器内科」
息苦しさとともに、動悸、胸の痛み、息切れ、足のむくみなどの症状がある場合は、心不全や不整脈といった心臓や血管の病気が考えられます。
これらの症状は循環器系の疾患を専門とする循環器内科が担当します。
心電図や胸部X線、心エコー(心臓超音波検査)などの検査を行い、心臓の機能や状態を評価して診断を確定します。
早期発見・早期治療が重要となる疾患が多いため、疑わしい症状があれば早めに受診しましょう。
強い不安感や気分の落ち込みがあるなら「心療内科」
特に体に異常はないはずなのに、突然息苦しくなったり、過呼吸になったりすることがあり、強い不安感や気分の落ち込み、不眠といった精神的な不調を伴う場合は、ストレスが原因の可能性があります。
パニック障害や不安障害、うつ病などが背景にあることも考えられ、心療内科や精神科への相談が適しています。専門医によるカウンセリングや薬物療法を通じて、心の問題にアプローチし、症状の緩和を目指します。
まとめ
寝起きの息苦しさは、自律神経の乱れや睡眠環境といった身近な問題から、呼吸器・循環器の病気、精神的なストレスまで、その原因は多岐にわたります。
まずは深呼吸や楽な姿勢をとるといった応急処置を試し、生活習慣を見直すなどのセルフケアを実践してみてください。
しかし、胸の痛みなど危険なサインを伴う場合や、症状が続く・悪化する場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。
この記事で紹介した原因や対処法を参考に、ご自身の症状と向き合い、適切な行動をとってください。
症例・患者さんの声

【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
鍼灸師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得
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