自律神経失調症による手足のしびれの原因とは?効果的な対処法を解説
原因がはっきりとしない手足のしびれに悩んでいる場合、その症状は自律神経失調症が関係している可能性があります。
自律神経のバランスが崩れると、血行不良や筋肉の過度な緊張などが起こり、手や足のしびれとして現れることがあります。
この記事では、自律神経失調症によってしびれが起こるメカニズムから、自分でできる具体的な対処法、注意すべき他の病気について解説します。
もしかして自律神経の乱れ?手足にしびれが起こるメカニズム
自律神経の乱れはなぜ手足のしびれを引き起こすのでしょうか。
自律神経は体を活動的にする交感神経とリラックスさせる副交感神経の2つがバランスを取りながら全身の機能を調整しています。
しかしストレスや不規則な生活習慣によってこのバランスが乱れると体にさまざまな不調が生じます。
しびれもその一つであり主に血行不良、筋肉の緊張、脳の過敏性という3つの要因が複合的に絡み合って発生すると考えられています。
理由1:血行不良で神経に酸素が届きにくくなる
自律神経のうち交感神経が優位な状態が続くと、血管が収縮して血流が悪くなります。
特に手足の末端にある毛細血管は影響を受けやすく、血行不良に陥りがちです。
神経細胞が正常に機能するためには、血液によって運ばれる酸素や栄養素が不可欠ですが、血行不良によってこれらの供給が滞ると、神経が酸欠状態となり、機能に異常をきたします。
その結果として、ジンジン、ピリピリといったしびれの症状が現れます。
特に冷えやすい指先などで感じることが多いです。
理由2:筋肉の過度な緊張が神経を圧迫する
ストレスや疲労によって交感神経が過剰に働くと、体は常に緊張状態になり、無意識のうちに筋肉が硬くこわばります。
特に首や肩、肩甲骨周りの筋肉が硬直すると、その周辺を通っている神経が圧迫されることがあります。
神経が物理的に圧迫されると、その神経が支配する領域である腕や手にしびれや痛みが生じます。
慢性的な肩こりや首の痛みに悩んでいる人に見られやすい症状で、筋肉の緊張が続く限り、しびれも改善しにくい傾向があります。
理由3:脳が刺激に過敏になりしびれを感じやすくなる
長期間にわたる強いストレスは、自律神経の乱れを引き起こすだけでなく、脳の機能にも影響を及ぼします。
通常であれば気にならないような些細な感覚刺激を、脳が「しびれ」や「痛み」として誤って認識してしまう知覚過敏の状態になることがあります。
これは、脳が外部からの刺激を処理するシステムに異常が生じている状態で、実際には神経に明らかなダメージがなくてもしびれを感じます。
頭の中で不安や心配事が続くと、症状がより強く感じられることもあります。
あなたのしびれはどのタイプ?自律神経失調症で見られる症状
自律神経失調症が原因で起こるしびれには、いくつかの特徴的な症状のタイプがあります。
一言でしびれといっても、その感じ方や現れ方は人それぞれ異なります。
代表的なものとして、感覚が異常になるタイプ、感覚が鈍くなるタイプ、そして力が入りにくくなるタイプの3つに大別されます。
自分の症状がどのタイプに近いかを確認することで、状態の把握に役立ちます。
ジンジン・ピリピリとした感覚の異常
感覚の異常は、しびれの症状として最もよく見られるタイプです。
何も触れていないのに、手足がジンジンしたり、ピリピリと電気が走るような感覚が生じたりします。
チクチクとした痛みや、皮膚の表面を虫がはうような「むずむず」とした不快感を伴うことも少なくありません。
このタイプのしびれは、特定の場所に留まらず、体のあちこちを移動したり、日によって症状の強さが変動したりするのが特徴です。
安静にしている時に症状が出やすい傾向があります。
触っても感覚が鈍くなる感覚の低下
感覚の低下は、皮膚に薄い膜が張ったような感じがして、触れたときの感覚が鈍くなる症状です。
例えば、親指や足の指など特定の部位を触っても、普段より感覚がはっきりしない、あるいは他人が触っているように感じることがあります。
温かいものや冷たいものに触れた際の温度感覚が鈍くなるケースも見られます。
この症状は、軽い麻痺のように感じられることがあり、物を持ったときの感触が分かりにくくなるなど、日常生活に影響を及ぼすこともあります。
手足に力が入りにくい運動麻痺のような症状
自律神経の乱れによる症状は感覚だけに留まらず、運動機能に影響を及ぼすこともあります。
腕や足に力が入らない、または力が入りにくいと感じるのがこのタイプです。
例えば、ペンをうまく握れない、コップを落としそうになる、足がもつれて歩きにくい、などの症状として現れます。
脳梗塞などで見られる完全な麻痺とは異なり、一時的であったり、力の入り具合に波があったりするのが特徴です。
片側の手足だけに症状が出る場合もあります。
注意!しびれを引き起こす自律神経失調症以外の病気
手足のしびれは自律神経失調症だけでなく、他の病気のサインである可能性も考えられます。
自己判断で放置すると、重大な疾患を見逃すことにもなりかねません。
しびれの原因となる病気は、骨や関節の異常といった整形外科的なものと、脳や神経の異常といった脳神経外科的なものの大きく2種類に分けられます。
しびれが続く場合は、これから紹介するような病気の可能性も視野に入れ、専門医に相談することが重要です。
首や腰の骨の変形が原因のしびれ
首や腰の骨、あるいはその間にある椎間板が変形し、神経を圧迫することでしびれが生じる場合があります。
代表的な疾患には、頚椎症や変形性腰椎症、椎間板ヘルニアなどがあります。
これらの病気では、首や肩、背中、腰などに痛みを伴うことが多く、腕や足の特定の神経が支配する領域にしびれが広がります。
咳やくしゃみをしたり、特定の姿勢を取ったりするとしびれが強まるのが特徴です。
整形外科での画像検査によって診断が可能です。
脳の血管や神経のトラブルによるしびれ
突然発症したしびれの場合、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍といった脳の病気が原因の可能性があります。
これらの疾患は命に関わるため、迅速な対応が求められます。
特徴的な症状として、片側の手足や顔のしびれ、ろれつが回らない、言葉が出にくい、激しい頭痛、めまい、物が二重に見える、などが挙げられます。
手足のしびれに加えて、これらの症状が一つでも見られる場合は、すぐに救急車を呼ぶか、脳神経外科を受診する必要があります。
手足の末梢神経の障害によるしびれ
手足の末梢神経そのものが傷つくことで、しびれが起こる病気もあります。
代表的なものに、糖尿病の合併症である糖尿病性神経障害があります。
高血糖の状態が続くことで神経がダメージを受け、主に足の裏や指先から左右対称にジンジンとしたしびれが始まります。
また、手首の神経が圧迫される手根管症候群では、親指から薬指にかけてのしびれや痛みが特徴で、特に夜間や明け方に症状が強くなる傾向が見られます。
ビタミン不足が引き起こすしびれ
神経の機能を正常に保つためには、ビタミンB群が不可欠です。
特にビタミンB1やB12が不足すると、末梢神経に障害が起こり、手足にしびれが生じることがあります。
過度なダイエットや偏った食生活、アルコールの多量摂取などが原因でビタミンが不足しやすくなります。
この場合、足の裏がじんじんしたり、感覚が鈍くなったりする症状から始まることが多いです。
食生活の乱れに心当たりがある場合は、ビタミン不足も原因の一つとして考えられます。
更年期など女性ホルモンの変化によるしびれ
更年期にさしかかると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少し、ホルモンバランスが大きく変化します。
この変化は自律神経の働きにも影響を与え、バランスが乱れやすくなります。
その結果、血行不良や筋肉の緊張が引き起こされ、手足のしびれという症状で現れることがあります。
ほてり、のぼせ、発汗、めまい、イライラといった他の更年期障害の症状と同時にしびれを感じる場合は、ホルモンバランスの変化が原因である可能性が高いです。
今日からできる!つらいしびれを和らげる5つのセルフケア
自律神経の乱れが原因のしびれは、生活習慣を見直して自律神経のバランスを整えることで、症状が和らぐ可能性があります。
しびれの根本的な治し方として、まずは日々の生活の中でできるセルフケアから取り組むことが有効です。
ここでは、乱れた自律神経を整え、つらいしびれの改善につながる5つの具体的な方法を紹介します。
継続的に行うことで、しびれにくい体づくりを目指せます。
入浴や温かい飲み物で血行を促進する
体を温めることは、収縮した血管を広げて血行を促進し、しびれの緩和に役立ちます。
38~40℃程度のぬるめのお湯に15分ほどゆっくり浸かる入浴は、副交感神経を優位にして心身をリラックスさせる効果も期待できます。
また、白湯やハーブティー、生姜湯などの温かい飲み物を摂ることもおすすめです。
内側から体を温めることで胃などの内臓の働きが活発になり、全身の血流改善につながります。
冷たい飲み物や食べ物はなるべく避けるようにしましょう。
ストレッチで硬くなった筋肉をゆっくりほぐす
筋肉の緊張が神経を圧迫してしびれを引き起こしている場合、ストレッチで筋肉をほぐすことが効果的です。
特に、しびれの原因となりやすい首や肩、肩甲骨周りを中心に、ゆっくりと呼吸をしながら気持ち良いと感じる範囲で伸ばします。
長時間同じ姿勢でいた後や、お風呂上がりで体が温まっている時に行うのがおすすめです。
無理に強く伸ばすと逆効果になることもあるため、痛みを感じない程度に留め、毎日少しずつでも継続することが大切です。
正しい姿勢を意識して神経への負担を減らす
猫背や足を組む癖、うつむいたままスマートフォンを長時間操作するなどの悪い姿勢は、首や腰に大きな負担をかけ、背骨の歪みを引き起こします。
その結果、周辺の神経が圧迫されてしびれの原因となることがあります。
デスクワークの際は椅子に深く腰かけ、背筋を伸ばすことを意識します。
背骨が自然なS字カーブを描くような姿勢を保つことが理想です。
また、30分に一度は立ち上がって体を動かすなど、こまめに姿勢を変えることも神経への負担軽減につながります。
趣味や休息の時間を作りストレスを発散する
自律神経のバランスを乱す最大の原因の一つがストレスです。
そのため、心身をリラックスさせ、ストレスを上手に発散することがしびれの改善に不可欠です。
自分が心から楽しいと感じる趣味の時間を持つ、好きな音楽を聴く、アロマを焚くなど、自分に合った方法でリラックスする時間を作りましょう。
また、十分な睡眠時間を確保し、休息をしっかりとることも重要です。
心と体の緊張を解きほぐすことで、交感神経の過剰な働きを抑え、自律神経のバランスが整いやすくなります。
食生活を見直しバランスの取れた食事を心がける
栄養バランスの取れた食事は、自律神経を整えるための基本です。
特に、神経の働きをサポートするビタミンB群、ミネラル、精神を安定させる作用のあるトリプトファン(タンパク質)などを積極的に摂取しましょう。
また、食事の時間が不規則だと体内時計が乱れ、自律神経にも悪影響を及ぼします。
できるだけ毎日決まった時間に3食とることを心がけると、生活リズムが整い、不眠の改善にも役立ちます。
インスタント食品や偏った食事は避け、バランスを意識した食生活を送りましょう。
セルフケアで改善しない場合は早めに医療機関へ相談しよう
紹介したセルフケアを一定期間続けてもしびれの症状が改善しない、あるいは悪化する場合には自己判断で様子を見続けるのは避けましょう。
しびれが日常生活に支障をきたしている場合や他の症状(激しい痛み、麻痺、ろれつが回らないなど)を伴う場合は早急に医療機関を受診する必要があります。
専門医による診察でしびれの正確な原因を特定し適切な治療を受けることが重要です。
原因によっては血行を改善する薬やビタミン剤、神経の働きを調整する薬などが処方されることもあります。
まとめ
原因不明の手足のしびれは、自律神経失調のサインとして現れることがあります。
その背景には、ストレスや生活習慣の乱れによる血行不良、筋肉の過度な緊張、脳の知覚過敏といったメカニズムが隠れています。
しびれの感じ方にはジンジンする感覚異常や感覚が鈍くなるタイプなど様々です。
まずは入浴やストレッチ、ストレスケアといったセルフケアで自律神経のバランスを整えることから始めましょう。
ただし、しびれには他の病気が隠れている可能性もあるため、症状が長引いたり、悪化したりする場合は、決して自己判断せず専門の医療機関に相談することが大切です。
症例・患者さんの声

【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
鍼灸師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得
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