自律神経を整えるツボ|鍼灸・整骨院が教える自律神経失調症対策
自律神経の乱れによる不調は、日常生活に大きな影響を与えます。
この記事では、自律神経を整える効果が期待できるツボと、その正しい押し方について解説します。
セルフケアで改善しない場合は、鍼や灸を行う鍼灸院や、整骨院、接骨院での専門的な施術も選択肢の一つです。
自律神経失調症の症状緩和には、鍼治療なども有効とされています。
まずは自分でできるツボ押しから試してみてください。
ツボ押しで自律神経が整うのはなぜ?その仕組みを解説
ツボ押しが自律神経を整える方法として有効なのは、体表への刺激が神経を介して内臓や諸器官に伝わるためです。
東洋医学では、生命エネルギーである「気」と「血」の通り道を「経絡」と呼び、その要所が「経穴」、つまりツボです。
ツボを刺激すると、経絡の流れがスムーズになり、気血の巡りが改善します。
これにより、交感神経と副交感神経のバランスが調整され、心身の不調が和らぐと考えられています。
【症状別】自律神経の乱れに効果的なツボ
自律神経の乱れは、頭痛やめまい、うつ、不眠など様々な症状を引き起こします。
特に更年期にはホルモンバランスの変化も相まって不調が出やすくなります。
ここでは、症状別に効果的なツボを紹介します。
手にある「ろうきゅう」や首の「天柱」など、全身に点在するツボは、耳や背中の不調にも対応可能です。
自分の症状に合ったツボを見つけて、セルフケアに取り入れてみましょう。
手にある「合谷(ごうこく)」は全身の不調に効く万能ツボ
合谷は、手の甲側で親指と人差し指の骨が交わる手前の、くぼんだ部分に位置する万能ツボです。
自律神経の乱れからくる頭痛、肩こり、目の疲れなど、首から上の症状に特に効果を発揮します。
また、精神的なストレスの緩和や、歯の痛み、便秘など、全身の様々な不調に対応できるため、覚えておくと非常に便利です。
押し方は、反対側の手の親指を合谷にあて、人差し指の指先に向かって少し強めに押します。
腕や肩のこりがひどい時にも試してみてください。
頭のてっぺんにある「百会(ひゃくえ)」でストレスを和らげる
百会は、頭のてっぺん、左右の耳の穴を結んだ線と顔の中心線が交差する場所にあります。
多くの経絡が交わる場所であることから、自律神経のバランスを整える中枢的な役割を担っています。
特に、ストレスによる頭痛、不眠、めまい、耳鳴り、抜け毛などに効果が期待できます。
押し方は、両手の中指を重ねて百会にあて、心地よい程度の圧で垂直にゆっくりと押します。
頭全体の血行が促進され、リラックス効果が得られるため、精神的な疲労を感じた際に試してみるとよいでしょう。
手首の「神門(しんもん)」で心の緊張をほぐす
神門は、手首の内側、小指側の腱のすぐ横にあるくぼみに位置します。
精神的な不調に効果的なツボとして知られ、「神の門」という名前の通り、心を落ち着かせる働きがあります。
ストレスによるイライラや不安感、動悸、不眠といった症状の緩和に役立ちます。
押し方は、反対側の手の親指を神門にあて、ゆっくりと息を吐きながら心地よい圧で押します。
緊張する場面や、なかなか寝付けない夜に刺激すると、高ぶった神経を鎮めてリラックス状態に導きます。
吐き気やめまいに効く「内関(ないかん)」で気分をスッキリ
内関は、手首の内側のしわから指3本分ほど肘側へ進んだところにある、2本の太い腱の間に位置します。
このツボは、内臓の働きと深く関わっており、特に消化器系の不調に効果を発揮します。
吐き気や胃の不快感、乗り物酔い、二日酔いなどの症状を和らげるのに役立ちます。
また、自律神経の乱れからくるめまいや動悸、不安感の緩和にも有効です。
押し方は、反対側の手の親指で、じんわりと圧をかけるように刺激します。
気分が優れない時に押すと、不快感を軽減させることができます。
足にある「足三里(あしさんり)」で胃腸の働きを整える
足三里は、膝のお皿のすぐ下、外側にあるくぼみから指4本分ほど下がった、すねの骨の外側に位置します。
古くから胃腸の調子を整える代表的なツボとして知られており、胃もたれや食欲不振、便秘、下痢といった消化器系の症状改善に効果が期待できます。
また、全身の気力を高める作用もあるため、体全体の疲労回復や免疫力アップにもつながります。
足の疲れやむくみの解消にも役立ちます。
押し方は、椅子に座った状態で両手の親指を重ねてツボにあて、ゆっくりと圧をかけるように刺激します。
ツボ押しの効果を最大限に引き出す正しい押し方
ツボ押しの効果を高めるには、正しい方法で行うことが重要です。
自己流の指圧やマッサージは、かえって体を痛めてしまう可能性もあります。
ここでは、専門家も実践する基本的なツボの押し方を紹介します。
強さや時間、呼吸を意識することで、より深いリラックス効果が得られます。
セルフケアとしてお灸を取り入れる場合も、正しい位置と方法を知ることで効果が大きく変わるため、基本をしっかり押さえましょう。
「痛気持ちいい」と感じる強さで5秒かけて押す
ツボを押す際の力の強さは、「痛い」と感じるほど強く押すのではなく、「痛気持ちいい」と感じる程度が最適です。
強すぎると筋肉や神経を傷つける可能性があり、逆効果になることもあります。
親指の腹を使い、垂直にゆっくりと圧をかけていきましょう。
時間をかけてじっくりと押すことがポイントで、息を吐きながら5秒ほどかけて押し、息を吸いながらゆっくりと力を抜きます。
これを1か所につき5〜10回程度繰り返します。
爪を立てず、指の腹で優しく、しかし的確に刺激を与えることを意識してください。
深い呼吸を意識しながらリラックスして行う
ツボ押しを行う際は、呼吸を止めず、深くゆったりとした呼吸を意識することが非常に重要です。
深い呼吸は、心身をリラックスさせる副交感神経を優位にし、ツボ押しの効果を高めます。
ツボを押すときにゆっくりと息を吐き、力を抜くときにゆっくりと息を吸うのが基本です。
腹式呼吸を意識すると、よりリラックス効果が高まります。
静かな環境で、楽な姿勢をとり、体の力を抜いてから行いましょう。
心身ともにリラックスした状態で行うことで、刺激が体の深部まで届きやすくなります。
入浴後など体が温まっているタイミングがおすすめ
ツボ押しは血行が良くなっている時に行うとより効果的です。
特に入浴後の体が温まっているタイミングは筋肉の緊張がほぐれているため刺激が伝わりやすく最適です。
リラックス効果も高まるため特に夜の入浴後に行うと質の良い睡眠につながりやすくなります。
その他運動後や蒸しタオルなどでツボの周辺を温めてから行うのも良いでしょう。
体が冷えている状態で行うと筋肉がこわばっていて刺激が入りにくく効果が半減してしまう可能性があります。
就寝前のリラックスタイムとして習慣にするのがおすすめです。
安全にツボ押しを行うための注意点
手軽にできるセルフケアであるツボ押しですが、安全に行うためにはいくつかの注意点があります。
体の状態によっては、ツボ押しが逆効果になったり、症状を悪化させたりする可能性も否定できません。
特に、特定の健康状態にある場合や、体のコンディションが通常と異なる時には慎重さが求められます。
ここで紹介する注意点をよく読み、自分の体調を考慮した上で実践するようにしてください。
食後すぐや飲酒後のツボ押しは避ける
食後すぐのツボ押しは避けるようにしましょう。
食事の後は、消化のために血液が胃腸に集中しています。
このタイミングでツボ押しを行うと、全身の血行が促進され、消化に必要な血液が分散してしまい、消化不良を起こす可能性があります。
少なくとも食後30分から1時間は時間を空けることが望ましいです。
また、飲酒後も同様に注意が必要です。
アルコールによって血行が促進されている状態でさらにツボを刺激すると、血圧の変動が大きくなったり、心臓に負担がかかったりする恐れがあります。
気分が悪くなることもあるため、飲酒時のツボ押しは控えてください。
怪我をしている部位やその周辺は押さない
怪我をしている部位や、炎症を起こしている箇所、皮膚に異常がある場所へのツボ押しは絶対に行わないでください。
例えば、打撲や捻挫、骨折、切り傷、湿疹などがある場合、その部分や周辺を刺激すると、症状を悪化させる危険性があります。
炎症を広げたり、治癒を遅らせたりする原因にもなりかねません。
また、手術後の傷跡がある場合も、完全に回復するまでは刺激を避けるべきです。
ツボが怪我をしている部位の近くにある場合は、そのツボは避け、他の場所にあるツボを選ぶようにしましょう。
安全を最優先し、体に異常がある時は控える判断が重要です。
妊娠中の方は事前に専門家へ相談する
妊娠中の方は、ツボ押しを行う前に必ずかかりつけの医師や鍼灸師などの専門家に相談してください。
ツボの中には、子宮の収縮を促す作用を持つものがあり、刺激することで体に影響を及ぼす可能性があります。
特に、三陰交(さんいんこう)や合谷(ごうこく)といったツボは、妊娠中の使用に注意が必要とされています。
自己判断でツボ押しを行うのは避け、専門家の指導のもとで安全な方法を選ぶことが大切です。
妊娠中の心身の不調を和らげるためのツボもありますが、どのツボが安全で効果的かは個人差も大きいため、専門的なアドバイスを仰ぐようにしましょう。
ツボ押しと併用したい自律神経を整えるセルフケア
自律神経のバランスを根本的に整えるためには、ツボ押しだけでなく、日々の生活習慣を見直すことが不可欠です。
食事や睡眠、運動といった生活の基本的な要素が、自律神経の働きに大きく影響します。
ツボ押しは対症療法として有効ですが、生活習慣の改善を組み合わせることで、より安定的で健やかな心身の状態を維持しやすくなります。
ここでは、今日からすぐに始められるセルフケアを紹介します。
朝の光を浴びて体内時計をリセットする
朝起きたら、まずカーテンを開けて太陽の光を浴びる習慣をつけましょう。
人間の体には約24時間周期の体内時計が備わっており、これが自律神経の切り替えをコントロールしています。
朝の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が止まり、心と体を活動モードに切り替えるセロトニンの分泌が促されます。
これにより、日中は交感神経が優位に働き、夜になると自然に副交感神経が優位になってスムーズな入眠につながります。
毎日同じ時間に起きて光を浴びることで、生活リズムが整い、自律神経のバランスも安定しやすくなります。
栄養バランスの取れた食事を心がける
自律神経の働きは、食事から摂取する栄養素に大きく影響されます。
特に、ビタミンB群は神経の働きを正常に保つために不可欠で、豚肉や玄米、豆類に多く含まれます。
また、セロトニンの材料となるトリプトファンは、乳製品や大豆製品、バナナなどから摂取できます。
カルシウムやマグネシウムなどのミネラルも、神経の興奮を抑える働きがあります。
特定の食品に偏らず、主食・主菜・副菜をそろえたバランスの良い食事を1日3食、規則正しく摂ることが基本です。
腸内環境を整えることも自律神経の安定につながるため、発酵食品や食物繊維も積極的に取り入れましょう。
ぬるめのお湯にゆっくり浸かって体を温める
就寝前の入浴は、シャワーだけで済ませず、湯船に浸かることをおすすめします。
38~40℃程度のぬるめのお湯に15分ほどゆっくり浸かることで、副交感神経が優位になり、心身がリラックスモードに切り替わります。
体が深部から温まることで血行が促進され、筋肉の緊張もほぐれます。
また、入浴によって一時的に上がった深部体温が、就寝時に向けて下がっていく過程で自然な眠気が誘発されます。
熱すぎるお湯は交感神経を刺激してしまい、かえって寝つきを悪くする可能性があるため注意が必要です。
リラックス効果のある入浴剤などを活用するのも良い方法です。
就寝前のスマホやPCの使用を控える
スマートフォンやパソコン、テレビなどの画面から発せられるブルーライトは、脳を覚醒させ、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制する作用があります。
就寝前にこれらのデバイスを使用すると、交感神経が活発になり、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりする原因になります。
質の良い睡眠は、自律神経のバランスを整える上で非常に重要です。
そのため、少なくとも就寝1~2時間前にはデジタルデバイスの使用を控え、リラックスできる時間を作りましょう。
代わりに、読書や音楽鑑賞、軽いストレッチなど、心身を落ち着かせる活動を取り入れるのがおすすめです。
まとめ
自律神経の乱れからくる不調には、症状に応じたツボを刺激することが有効なセルフケアの一つです。
合谷や百会、神門といったツボは、それぞれ異なる症状の緩和に役立ちます。
ツボ押しを行う際は、「痛気持ちいい」強さで、深い呼吸を意識しながらリラックスした状態で行うことが効果を高めます。
また、ツボ押しだけに頼るのではなく、規則正しい生活習慣を確立することが根本的な改善には不可欠です。
朝の光を浴び、バランスの取れた食事を摂り、ぬるめのお湯に浸かるといった日々の積み重ねが、自律神経の安定に寄与します。
症状が改善しない場合は、専門家への相談も検討してください。
症例・患者さんの声

【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
鍼灸師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得
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