群発性頭痛はなぜ起こる？視床下部・自律神経・鍼灸治療の視点

こんにちは。平井鍼灸院の鈴木です。

「ある時期になると、毎日のように決まった時間に強烈な頭痛が起こる」

そんな症状でお困りではありませんか？

それは「群発性頭痛（ぐんぱつせいずつう）」と呼ばれる頭痛の可能性があります。

群発性頭痛は「頭痛の王様」とも言われるほど痛みが強く、日常生活に大きな影響を与える疾患です。

群発性頭痛とは？

群発性頭痛は一次性頭痛の一種で、一定の期間（群発期）に毎日のように発作が繰り返されるのが特徴です。

典型的には数週間から数か月の間、1日に1回から数回、同じ時間帯に強烈な痛みが起こります。

痛みは片側の目の奥やこめかみに集中し、えぐられるような激痛で、じっとしていられず歩き回る人もいるほどです。

主な症状

• 片側の目の奥に激痛

• 発作は15分〜3時間ほど続く

• 群発期には毎日のように出現

• 涙や鼻水、目の充血など自律神経症状を伴う

• 季節や生活リズムの変化に関連することが多い

西洋医学的視点

群発性頭痛は「一次性頭痛」に分類され、その病態の中心には 視床下部（体内時計の中枢） と 三叉神経-血管系の異常 があると考えられています。

1. 視床下部の異常

   • 群発性頭痛は「群発期」という一定期間に集中的に起こり、さらに毎日同じ時間帯に発作が出やすい特徴があります。

   • この周期性は体内時計を司る視床下部の機能異常によって説明されます。

   • 視床下部は自律神経やホルモン分泌も統括しているため、発作時に涙・鼻水・充血といった症状を伴います。

2. 三叉神経の活性化

   • 頭部の痛みを伝える三叉神経が過敏になり、炎症性物質（CGRPやサブスタンスPなど）が大量に放出されます。

   • これにより血管が拡張し、拍動性ではなく「えぐられるような激痛」を生みます。

3. 血管の異常反応

   • 頭蓋内外の血管が急激に拡張し、周囲の神経を刺激します。

   • 血流が一気に変化することで、痛みが15分〜3時間という短時間で強烈に出現します。

4. 誘因（トリガー）

   • 群発期はアルコールでほぼ確実に発作が誘発されます。

   • 高地・気圧変化・睡眠不足・喫煙もトリガーとなりやすいです。

自律神経との関係

群発性頭痛は「自律神経反射頭痛」と呼ばれるほど、自律神経の働きが深く関わっています。

1. 副交感神経の過剰興奮

   • 発作時には副交感神経が過度に活性化されます。

   • その結果、涙・鼻水・目の充血・顔面の発汗といった症状が同時に現れます。

2. 交感神経機能の低下

   • 発作時、交感神経の働きは相対的に弱まり、血管が拡張状態になります。

   • この血管拡張が神経を圧迫し、痛みをさらに強める悪循環をつくります。

3. 視床下部と自律神経のリンク

   • 視床下部は体内時計だけでなく、自律神経とホルモン分泌の司令塔でもあります。

   • 群発期の「時間が決まった発作」や「季節に関連した周期性」は、この視床下部と自律神経の連動によるものです。

4. 痛みとストレスの悪循環

   • 激痛 → 交感神経が緊張 → 血流悪化 → 痛み増強 → さらなるストレス → 自律神経が乱れる

   • このサイクルが繰り返され、群発期が長引きやすくなります。

東洋医学的視点

東洋医学では、群発性頭痛は「肝・腎・気血の巡り」に関わる複合的な不調として捉えます。

1. 1. 肝の失調（肝気鬱結・肝火上炎）

      • 肝は「気血の巡り」と「自律神経の調整」に相当する臓腑です。

      • ストレスや情緒不安で肝の働きが滞ると「肝気鬱結」となり、頭部の経絡に気が行き場を失って頭痛が発生。

      • 患者さんの中には「目が赤くなる」「怒りっぽくなる」といった肝火上炎の症状を伴う方もいます。

   2. 血瘀（けつお）

      • 群発性頭痛の激烈な痛みは、東洋医学的には「血瘀＝血の滞り」と関連します。

      • 血流が頭部で滞ることで刺すような痛みが出る、と説明されます。

   3. 腎虚（じんきょ）

      • 群発性頭痛は慢性的に繰り返すため、腎のエネルギーが不足しやすくなります。

      • 腎虚になると回復力が低下し、群発期を終えても疲労感や再発リスクが高まります。

   4. 風邪（ふうじゃ）・気候変化

      • 季節性があることから、東洋医学では「外邪（特に風邪）」の影響も考えられます。

      • 気候変化で頭部の経絡が乱れ、発作を引き起こすとされます。

まとめ

群発性頭痛は「頭痛の王様」とも呼ばれるほど強烈な痛みを伴い、自律神経の乱れや体内時計との関係が深く関わっています。

東洋医学では、気血の流れや肝の働きを整えることで、発作の軽減や体質改善を目指します。

鍼灸は、自律神経の安定化・血流改善・緊張緩和に働きかけることで、群発性頭痛のサポート治療として有効です。

お悩みのことがありましたら、お気軽にご相談ください。