後鼻漏による頭痛の原因、自律神経の乱れと東洋医学的視点
こんにちは。平井鍼灸院の鈴木開登です。
「鼻水が喉に落ちてくる」「頭が重く痛い」という症状でお困りではありませんか?
この状態は後鼻漏(こうびろう)と呼ばれ、鼻や副鼻腔からの分泌物が喉へ流れ落ちる症状です。
実は、後鼻漏は頭痛の原因にもなります。
後鼻漏による頭痛の特徴
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鼻や喉の不快感と同時に、前頭部・こめかみ・後頭部が重い
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朝起きた時や天候の変化で悪化しやすい
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咳や痰が出やすい
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鼻詰まり・耳の圧迫感を伴うことが多い
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長引くと集中力の低下やだるさを感じる
後鼻漏が頭痛を引き起こすメカニズム
後鼻漏による頭痛は、主に以下の3つのメカニズムで起こります。
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副鼻腔炎や鼻粘膜の炎症
鼻や副鼻腔の炎症で粘膜が腫れ、周囲の血流が悪化し、痛みを感じやすくなります。 -
粘液が喉へ流れ続ける刺激
長時間の刺激は咽頭や頭部の神経を緊張させ、自律神経のバランスを崩します。 -
酸素供給の低下
鼻づまりにより酸素の取り込みが減ると、脳の血管が拡張して頭痛が発生します。
自律神経との関係
後鼻漏が長引くと、鼻や喉の粘膜は常に炎症や刺激を受け続けます。これが自律神経、特に交感神経を持続的に刺激し、身体は「緊張モード」に入りやすくなります。
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交感神経優位の持続
鼻づまりや呼吸のしにくさは、脳が「酸素不足の危機」と判断し、交感神経を活性化させます。交感神経が優位になると血管が収縮し、首や後頭部の筋肉がこわばります。この状態が続くと血流不足となり、頭痛が発生しやすくなります。 -
副交感神経の抑制
副交感神経は身体を休ませ、粘膜の修復や分泌の調整を行う役割があります。交感神経の過活動によって副交感神経の働きが抑えられると、炎症や粘膜の腫れが改善しにくくなり、後鼻漏が慢性化します。 -
痛み感受性の亢進
自律神経の乱れは、痛み信号を処理する脳の働きにも影響します。交感神経の過活動は痛みの閾値を下げ、軽い刺激でも強い痛みを感じる「中枢性感作」を引き起こしやすくします。 -
悪循環の形成
後鼻漏 → 呼吸のしづらさ → 交感神経優位 → 筋緊張と血流障害 → 頭痛悪化 → さらに自律神経が乱れる
このループが慢性頭痛の大きな原因になります。
東洋医学から見た後鼻漏による頭痛
東洋医学では、後鼻漏は単なる鼻や喉の症状ではなく、「気・血・津液(体液)」の巡りの乱れや臓腑の機能低下の結果として起こると考えます。
1. 肺と脾の関係
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肺は鼻と喉の粘膜機能を司り、外界からの邪気(風邪や花粉など)を防ぎます。
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脾は食べ物や飲み物から水分を運び、余分な水分を処理します。
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脾の機能が低下すると湿気(痰湿)が体内にたまり、それが鼻や喉に停滞して後鼻漏となります。
この湿気が頭部に停滞すると、重だるい頭痛や集中力低下を引き起こします。
2. 肝の影響と自律神経
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肝は気の流れ(気機)を調整し、精神的な安定にも関わります。
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ストレスや長引く不調により肝の働きが滞ると、気血の巡りが悪くなり、鼻や頭部の通り道がさらに詰まりやすくなります。
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東洋医学でいう肝の失調は、西洋医学でいう自律神経の乱れに近く、血管の収縮・拡張や炎症反応の調節に影響します。
3. 腎の役割
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腎は水分代謝の根本を司ります。
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慢性的な後鼻漏や頭痛は、腎のエネルギー(腎気)が不足して水分代謝が滞ることも原因になります。
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腎の弱りは朝のだるさや慢性疲労、免疫力低下とも関係します。
東洋医学的アプローチ
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痰湿型:湿気を取り除くツボ(豊隆・陰陵泉など)を使用
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肝気鬱結型:気の巡りを良くするツボ(太衝・合谷など)を使用
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腎気不足型:腎を補うツボ(太谿・腎兪など)を使用
症状のタイプを見極め、それに合わせたツボ刺激や経絡調整を行うことで、後鼻漏とそれに伴う頭痛の両方を改善していきます。
後頭神経痛に使われる代表的なツボ
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迎香(げいこう):鼻通りを良くする
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印堂(いんどう):鼻詰まりと頭痛の緩和
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風池(ふうち):後頭部痛や首こりに
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合谷(ごうこく):頭痛や顔面部の血流改善
まとめ
後鼻漏による頭痛は、単に鼻や喉の不快感だけでなく、自律神経の乱れや水分代謝の不調が深く関わっています。
ストレスや生活習慣によって自律神経が乱れると、鼻や頭部の血流・粘膜機能が低下し、後鼻漏が悪化しやすくなります。東洋医学では、肺・脾・肝・腎のバランスを整え、余分な湿気や気の停滞を取り除くことで、後鼻漏と頭痛の両方にアプローチします。鍼灸治療は、自律神経の安定化、水分代謝の改善、炎症の軽減を促し、根本からの体質改善を目指せる方法です。
お悩みのことがありましたらお気軽にご連絡ください。
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