多汗症|緊張で汗が止まらない原因と自律神経・鍼灸の対策
こんにちは。鈴木開登です。
「季節に関係なく汗が止まらない」「手汗でスマホや書類が滑る」「脇汗が気になって服が着られない」――多汗症の悩みは見た目や対人関係、仕事の能率にも大きく影響します。単なる“汗かき”とは違い、多汗症は生活の質(QOL)を下げる症状です。本稿では原因(西洋医学的視点)、自律神経との関係、東洋医学(鍼灸)の見立てと具体的なアプローチ、日常でできる対策まで幅広く解説します。

多汗症とは?
多汗症は「必要以上の発汗が起きる状態」を指します。局所的に発汗が強い局所性(局在性)多汗症(手掌・足底・脇など)と、全身的に汗が多い全身性多汗症に大きく分かれます。原因が明らかでない一次性(原発性)多汗症と、内分泌疾患や薬剤などが原因となる二次性(続発性)多汗症があります。一次性は若年〜中年に多く、特に精神性の刺激(緊張・不安)で悪化するのが特徴です。
主な症状
手のひらや足の裏が常にべたつく・汗で滑る
脇の汗がひどく、衣服が濡れる・臭いが気になる
全身的に発汗が多く、就寝中の寝汗がひどい
緊張した場面(人前・会議・面接)で汗が増える(精神性発汗)
暑くない状況でも汗が出る・冷房が効いていても止まらない
症状の出方や悪化因子(緊張・食事・アルコール・温度・運動)は人によって差が大きいです。
西洋医学的視点(原因・考え方)
一次性(原発性)局所多汗症:交感神経支配のエクリン汗腺が局所的に過活動になる状態です。遺伝的素因や交感神経の局所過活動が関与すると考えられています。手掌・足底・脇に好発。
二次性(続発性)多汗症:全身性の場合、甲状腺機能亢進、更年期、糖尿病、感染症、薬剤(例:一部の抗うつ薬や降圧薬)などが原因となることがあります。原因疾患の治療によって改善するケースが多いです。
いずれの場合も「交感神経系の過活動や調節異常」が中心的なメカニズムと考えられており、特に手掌・足底・脇は精神性の刺激で汗が出やすい領域です。
自律神経との関係 — なぜ汗が止まらないのか
発汗は体温調節(視床下部→交感神経→汗腺)と情動性発汗(精神的刺激での発汗:手掌・足底に顕著)という二つの路線があります。多汗症では下記の自律神経的特徴が見られます。
交感神経過活動:安静時でも交感神経が優位になり、汗腺が刺激されやすい。
情動性発汗の感受性上昇:ストレスや緊張での発汗反応が過敏になっている。
自律神経の応答性の不安定:温度変化や心理的刺激で極端に反応する。
睡眠や生活リズムの乱れが悪化要因:交感神経が高ぶりやすく回復が遅れるため、慢性化しやすい。
つまり多汗症は自律神経(主に交感神経)の“暴走”や“閾値の低下”が大きく関与しているため、自律神経を整えることが症状改善に直結します。
東洋医学から見た多汗症
東洋医学では多汗症を単なる汗腺の過活動ではなく、気(エネルギー)・陰陽・臓腑のバランスの乱れとしてとらえます。代表的な弁証パターンと臨床像は以下の通りです。
気虚(衛気不固)タイプ
臨床像:何もしていないのに汗が出る・疲れやすい・顔色が淡い。
着眼:衛気を補い毛穴を「締める」方向に働きかける(補気の配穴:足三里、気海、脾兪 等)。陰虚(陰の不足)タイプ
臨床像:ほてり・夜間の寝汗・のぼせ感を伴う。
着眼:滋陰降火で体を潤し熱を鎮める(太谿、腎兪、安眠等)。肝鬱化火(ストレス型)
臨床像:緊張やイライラで汗が吹き出す。情緒変動が背景。
着眼:疏肝理気・清肝降火(太衝、合谷、内関等)。痰湿・湿熱(体内に湿が停滞)
臨床像:体が重く、汗が粘っこい・体臭を伴うことがある。
着眼:利湿化痰・清熱(陰陵泉、豊隆、三陰交等)。
弁証により配穴・刺激法を変え、全身のバランスを整えることで発汗のコントロールを図ります。
まとめ
多汗症は単なる「汗かき」ではなく、自律神経のバランスや体質(気血・陰陽)の乱れが深く関与する症状です。西洋医学的評価で二次性原因を確認したうえで、自律神経を安定させる生活習慣改善+東洋医学的な弁証に基づく鍼灸を組み合わせることで、多くの方が症状の軽減とQOL向上を実感しています。気になる方はまずご相談ください。
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