唇の痙攣が止まらない原因は?ストレスや病気の可能性と治し方を解説
唇がピクピクと痙攣して止まらないと、なぜこのような症状が起きるのか不安になるかもしれません。
この不快な症状の主な原因は、ストレスや疲労の蓄積ですが、中には病気が隠れている可能性も考えられます。
この記事では、唇の痙攣が起こる原因から、自分でできる治し方、病院での治療法までを解説します。
唇がピクピクと痙攣する主な原因
唇が痙攣する症状は、身体からのSOSサインであることも少なくありません。
痙攣する原因の多くは日常生活の中に潜んでおり、ストレスや疲労、栄養不足といった身体的な要因が複雑に絡み合っているケースが考えられます。
まずは、痙攣の原因となり得る、代表的な生活習慣や身体の状態について確認していきましょう。
ストレスの蓄積や慢性的な疲労
精神的なストレスや肉体的な疲れは、神経の伝達に異常をきたし、筋肉が意図せず収縮する要因となります。
特に、仕事や人間関係によるプレッシャー、十分な睡眠が取れていない状態が続くと、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
寝る前にリラックスできず、緊張状態が続いている場合も注意を要します。
また、更年期にはホルモンバランスの変化によって自律神経が不安定になりやすく、唇の痙攣をはじめとする様々な不調が現れることもあります。
マグネシウムなど特定の栄養素の不足
筋肉や神経の働きを正常に保つためには、バランスの取れた栄養摂取が不可欠です。
特にマグネシウムやカルシウムといったミネラル類は、神経の興奮を抑え、筋肉の収縮をスムーズにする重要な役割を担っています。
これらの栄養素が不足すると、神経が過敏になり、唇や顔の筋肉が痙攣しやすくなることがあります。
偏った食生活や過度なダイエットは栄養不足を招く大きな原因となるため、日々の食事内容を見直すことが大切です。
カフェインやアルコールの過剰な摂取
コーヒーや緑茶、栄養ドリンクなどに含まれるカフェインには、神経を興奮させる作用があります。
適量であれば集中力を高める効果も期待できますが、過剰に摂取すると神経が過敏になり、筋肉の痙攣を引き起こす可能性があります。
また、アルコールの摂取も同様で、一時的にはリラックス効果があるものの、分解される過程で神経に負担をかけたり、睡眠の質を低下させたりすることで、痙攣の原因となることもあります。
特に日常的に多量に摂取する習慣がある場合は、摂取量を見直す必要があります。
目の酷使やドライアイによる影響
長時間にわたるパソコン作業やスマートフォンの使用は、目とその周辺の筋肉に大きな負担をかけます。
目の酷使による眼精疲労は、まぶたの痙攣として現れることが多いですが、その影響が唇にまで及ぶことも少なくありません。
これは、顔の筋肉や神経が互いに連携しているためです。
また、ドライアイによって目の表面が乾き、不快感から頻繁にまばたきをすることで顔全体の筋肉が緊張し、唇の痙攣につながるケースも考えられます。
唇の痙攣がサインとなる可能性のある病気
唇の痙攣が長く続く、あるいは一向に治らない場合は、単なる疲労やストレスだけでなく、何らかの病気が背景にある可能性も考慮すべきです。
まれに脳梗塞などの重篤な病気の初期症状として現れることもあります。
また、コロナ後遺症の一つとして神経症状が報告されるケースもあるため、気になる症状があれば注意が必要です。
顔の片側が引きつる「片側顔面けいれん」
片側顔面けいれんは、顔の片側の筋肉が自分の意思とは関係なくピクピクと動く病気です。
初期症状は目の周りから始まることが多く、進行すると頬や口元、顎の筋肉にまで痙攣が広がります。
症状が悪化すると、口の横が強く引きつり、顔がゆがんだように見えることもあります。
主な原因は、顔面神経が脳の血管によって圧迫されることで、神経に異常な興奮が生じるためと考えられています。
心身のバランスが崩れる「自律神経失調症」
自律神経失調症は、ストレスや不規則な生活習慣によって自律神経のバランスが乱れ、心身にさまざまな不調が現れる状態を指します。
唇の痙攣もその症状の一つとして現れることがあり、他にもめまい、頭痛、動悸、不眠、気分の落ち込みなど、多岐にわたる症状を伴うのが特徴です。
特定の病気というよりは、身体のコントロール機能がうまく働かなくなっている状態であり、心と身体の両面からのケアが必要になります。
意思とは無関係に筋肉が動く「ジストニア」
ジストニアは、脳からの指令がうまく伝わらず、意思とは無関係に筋肉が異常な収縮を起こす神経疾患です。
特定の動作をしようとすると、唇や口の周りの筋肉が固まったり、ねじれたりする症状が現れます。
顔面に症状が出る場合を特に顔面ジストニアと呼び、話しにくさや食事のしにくさを感じることもあります。
これは単なる癖や麻痺とは異なり、脳の運動をコントロールする部分の機能異常が原因と考えられています。
自分でできる!唇の痙攣を和らげるセルフケア方法
唇の痙攣が起きたとき、まずは生活習慣を見直すことで症状が和らぐ場合があります。
ここでは、病院へ行く前に自分で試せる対処法をいくつか紹介します。
これらのセルフケアは、痙攣の予防にもつながるため、日頃から意識して取り入れてみてください。
十分に休息をとり睡眠時間を確保する
身体と心の疲れは、神経の過敏性を高める大きな要因です。
唇の痙攣が気になるときは、まず十分な休息をとることを最優先にしましょう。
毎日決まった時間に就寝・起床するなど、生活リズムを整えることが重要です。
睡眠時間をしっかりと確保し、心身を休ませることで、乱れた自律神経のバランスが整いやすくなります。
特に忙しい日々を送ってる人は、意識的に休息の時間を設けることが症状改善の第一歩です。
リラックスできる時間を作りストレスを発散する
ストレスは自律神経の乱れに直結するため、上手に発散することが大切です。
仕事や家事から少し離れて、自分が心からリラックスできる時間を作りましょう。
例えば、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、好きな音楽を聴く、軽い運動をする、趣味に没頭するなど、方法は問いません。
深呼吸をするだけでも、副交感神経が優位になり、心身の緊張を和らげる効果が期待できます。
自分に合ったストレス解消法を見つけ、日常生活に組み込むことが重要です。
バランスの取れた食事で栄養を補給する
神経や筋肉の機能を正常に保つためには、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。
特に、神経の興奮を鎮める働きのあるマグネシウムやカルシウム、ビタミンB群を積極的に摂取しましょう。
マグネシウムはナッツ類や海藻類、大豆製品に、カルシウムは乳製品や小魚に多く含まれています。
インスタント食品や外食に偏りがちな場合は、意識してこれらの食材を取り入れた食事を心がけることが大切です。
顔周りの血行を促進するマッサージやストレッチ
顔の筋肉が緊張して血行が悪くなっていると、痙攣が起こりやすくなります。
蒸しタオルで顔全体を温めたり、口の周りの筋肉を優しくマッサージしたりすることで、血行が促進され、筋肉の緊張が和らぎます。
口を大きく開けたり閉じたり、頬を膨らませたりへこませたりするような顔のストレッチも効果的です。
ただし、強く押しすぎるとかえって筋肉を傷める可能性があるので、あくまで心地よいと感じる強さで行いましょう。
症状が続くなら病院へ!受診の目安と診療科
セルフケアを試しても症状が改善しない場合や、痙攣以外の症状も現れている場合は、医療機関の受診を検討しましょう。
どのタイミングで病院へ行けばよいのか、また何科を受診すればよいのか、具体的な目安を知っておくことが早期発見・早期治療につながります。
こんな症状が出たら早めに医療機関を受診しよう
唇の痙攣が1ヶ月以上続いている、痙攣の範囲が顔全体に広がってきた、といった場合は注意が必要です。
また、唇の痙攣に加えて、顔の麻痺、ろれつが回らない、手足のしびれ、激しい頭痛、めまいなどの症状を伴う場合は、脳の病気が隠れている可能性も否定できません。
これらの症状は、片側顔面けいれんや脳梗塞などのサインであることも考えられるため、自己判断せずに速やかに医療機関を受診してください。
唇の痙攣は何科に相談すればいい?
唇の痙攣で何科を受診すればよいか迷う場合、まずは脳神経内科や脳神経外科への相談が一般的です。
これらの診療科では、神経系の異常が原因である可能性を詳しく調べることができます。
片側顔面けいれんが疑われる場合も、これらの科が専門となります。
もし、明らかなストレスや心因性の要因が考えられる場合は、心療内科が適していることもあります。
かかりつけ医がいる場合は、まずそこで相談し、適切な専門医を紹介してもらうのも良い方法です。
病院で行われる唇の痙攣に対する主な治療法
病院では、問診や検査を通じて痙攣の原因を特定し、それぞれの症状や原因に応じた治療が行われます。
治療法には、薬物療法から注射、外科手術まで様々な選択肢があります。
また、症状や体質によっては、体全体のバランスを整える目的で鍼灸治療や漢方薬も効果的に働きかけてくれることもあります。
内服薬による症状のコントロール
唇の痙攣に対する薬物療法では、神経の過剰な興奮を抑える薬や、筋肉の緊張を和らげる薬が主に用いられます。
例えば、抗てんかん薬や筋弛緩薬などが処方されることがあります。
また、ストレスや不安が強い場合には、抗不安薬が有効なケースもあります。
これらの内服薬は、上唇や口周りの痙攣を一時的に抑える効果は期待できますが、根本的な原因を取り除くものではないため、医師の指示に従って正しく服用することが重要です。
筋肉の緊張を緩和する注射治療
片側顔面けいれんやジストニアなどの特定の病気が原因の場合、ボツリヌス毒素製剤の注射が有効な治療選択肢となります。
この治療は、痙攣している筋肉に直接薬剤を注射し、神経からの命令伝達をブロックすることで、筋肉の異常な収縮を弱めるものです。
唇の上の筋肉など、痙攣が起きている箇所に的確に注射することで、症状を緩和します。
効果は数ヶ月持続しますが、永続的ではないため、症状に応じて定期的な治療が必要となります。
根本的な原因にアプローチする外科手術
片側顔面けいれんの原因が、脳の血管による顔面神経の圧迫であることが明確な場合、根本的な治療法として外科手術が検討されます。
この手術は「神経血管減圧術」と呼ばれ、神経を圧迫している血管を移動させて、圧迫を取り除くものです。
薬物療法や注射治療で十分な効果が得られない場合や、根治を目指したい場合に選択されます。
手術にはリスクも伴うため、実施にあたっては、医師から十分な説明を受けた下で慎重に判断することが必要です。
まとめ
唇の痙攣は、多くがストレスや疲労、生活習慣の乱れといった一時的な要因によるものです。
まずは十分な休息やバランスの取れた食事、ストレスケアといったセルフケアを試みましょう。
しかし、症状が長期間続く、悪化する、あるいは顔の麻痺やろれつが回らないなど他の症状を伴う場合は、片側顔面けいれんなどの病気が隠れている可能性も考えられます。
その際は自己判断せず、早めに脳神経内科など専門の医療機関を受診することが重要です。
この記事で述べた情報を参考の上、ご自身の症状と向き合い、適切な対応を取ってください。
症例・患者さんの声

【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
鍼灸師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得
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