自律神経の整え方|ストレスで熟睡できない人が試すべき夜の習慣
ストレス社会といわれる現代、心身の緊張状態が続いて夜になっても眠れず、熟睡できないという悩みを抱える人は少なくありません。
その不調は、自律神経の乱れが原因かもしれません。
この記事では、自律神経のバランスを整え、質の高い睡眠を取り戻すための具体的な改善方法、特に夜の習慣に焦点を当てて解説します。
「疲れているのに眠れない…」その不調、自律神経の乱れが原因かも
日中の活動で体は疲れているはずなのに、布団に入っても目が冴えて眠れない、寝ても4時間、5時間、6時間といった短い時間で目が覚めてしまい疲れが取れない、といった経験はありませんか。
こうした睡眠の問題は、心と体を活動的にする「交感神経」と、リラックスさせる「副交感神経」から成る自律神経のバランスが崩れているサインかもしれません。
特に、夜になっても交感神経が優位なままだと、心身が休息モードに切り替わらず、質の良い睡眠を得にくくなります。
そもそも自律神経とは?活動モードと休息モードのバランスが重要
自律神経は、呼吸、心拍、体温、消化など、生命を維持するために無意識下で働く神経系です。
車に例えると、活動時に心身を興奮させるアクセルの役割を果たす「交感神経」と、休息時にリラックスさせるブレーキの役割を持つ「副交感神経」の2つから成り立っています。
これらが日中は交感神経、夜は副交感神経が優位になるよう、互いにバランスを取りながら機能するのが理想的な状態です。
しかし、このバランスが崩れる状態が続くと、自律神経失調症と呼ばれるさまざまな心身の不調を引き起こす原因となります。
あなたの乱れ度は?自律神経のバランスを簡単セルフチェック
自身の自律神経のバランスが乱れているか、以下の項目でチェックしてみましょう。
当てはまるものが多いほど、バランスが崩れている可能性があります。
寝つきが悪い、または夜中に何度も目が覚める
朝、すっきりと起きられない
日中に強い眠気を感じることがある
理由もなくイライラしたり、不安になったりする
立ちくらみやめまいが頻繁に起こる
頭痛や肩こりが慢性化している
食欲がない、または胃腸の調子が悪い
手足が冷えやすい
急に汗をかくことがある
動悸や息切れを感じやすい
なぜ熟睡できない?自律神経が乱れてしまう主な3つの原因
自律神経のバランスは、さまざまな要因によって容易に乱れてしまいます。
特に現代の生活環境には、その乱れを引き起こす原因が数多く潜んでいます。
ここでは、熟睡を妨げる自律神経の乱れにつながる主な3つの原因について解説します。
原因①:過度なストレスによる交感神経の過剰な働き
仕事上のプレッシャーや人間関係の悩みなど、心身に過度なストレスがかかると、体は常に緊張状態となり交感神経が活発に働き続けます。
本来、夜は副交感神経が優位になりリラックスする時間帯ですが、ストレスによって交感神経が高いままだと脳が興奮状態から抜け出せず、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりする原因となります。
原因②:不規則な生活が招く体内時計のズレ
私たちの体には、約24時間周期で心身のリズムを刻む「体内時計」が備わっています。
しかし、夜更かしや休日の寝だめ、食事の時間がバラバラといった不規則な生活を続けると、この体内時計にズレが生じます。
体内時計が乱れると、自律神経の切り替えもスムーズに行われなくなり、夜になっても自然な眠気が訪れず、朝すっきりと起きられないといった睡眠の問題につながります。
原因③:スマホのブルーライトやカフェインなどの外的刺激
就寝前にスマートフォンやパソコンの画面を見る習慣は、熟睡を妨げる大きな原因の一つです。
画面から発せられるブルーライトは、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌を抑制し、脳を覚醒させてしまいます。
また、コーヒーやエナジードリンクに含まれるカフェインには強い覚醒作用があり、夕方以降に摂取すると交感神経を刺激してしまい、夜の寝つきを悪くする可能性があります。
今夜から始められる!副交感神経を優位にする夜の習慣5選
自律神経のバランスを整え、質の高い睡眠を得るためには、夜の過ごし方を見直すことが重要です。
ここでは、心身をリラックスモードに切り替え、副交感神経を優位にするための具体的な夜の習慣を5つ紹介します。
今日からでも実践できる簡単な方法で、睡眠の質を改善しましょう。
就寝90分前の入浴で心と体をリラックスモードへ切り替える
就寝の約90分前に、38〜40℃程度のぬるめのお湯に15分ほど浸かる入浴がおすすめです。
熱すぎるお湯は交感神経を刺激してしまいますが、ぬるめのお湯は副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせます。
また、入浴によって一時的に上昇した深部体温が、就寝時に向かって徐々に下がる過程で、体は自然な眠気を感じやすくなります。
シャワーだけで済ませず、ゆっくりと湯船に浸かる習慣を取り入れましょう。
寝室の照明を暖色系の暗い明かりにして眠りを誘う
強い光は脳を覚醒させ、交感神経を刺激してしまいます。
特に、蛍光灯のような白く明るい光は、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制する働きがあります。
就寝時間が近づいたら、寝室の照明をオレンジ色のような暖色系の間接照明に切り替え、できるだけ光量を落として薄暗い環境を作りましょう。
穏やかな光の中で過ごすことで、心身ともにリラックスし、自然な入眠へとつながります。
スマホやPCは就寝1時間前までにオフにする
スマートフォンやPCの画面から発せられるブルーライトは、脳に「まだ昼間だ」と錯覚させ、睡眠を促すメラトニンの分泌を妨げます。
また、SNSやニュースサイトの情報は、知らず知らずのうちに脳を興奮させ、交感神経を優位にすることも少なくありません。
質の高い睡眠のためには、少なくとも就寝1時間前にはデジタルデバイスの使用をやめ、脳と目を休ませる時間を作ることが重要です。
心身の緊張をほぐす簡単なストレッチを取り入れる
日中の活動やストレスで凝り固まった筋肉を、就寝前の軽いストレッチやヨガでほぐすことは、副交感神経を優位にするのに効果的です。
特に、肩甲骨周りや股関節など、大きな筋肉をゆっくりと伸ばすことで血行が促進され、心身のリラックスにつながります。
痛みを感じない程度の心地よい範囲で、深い呼吸を意識しながら行いましょう。
激しい動きはかえって交感神経を刺激するため、あくまでリラックスを目的とした静かな動きを心がけてください。
「4秒吸って8秒吐く」腹式呼吸で心を落ち着かせる
不安や緊張で心が落ち着かない時には、腹式呼吸を試してみましょう。
まず、お腹を膨らませるように意識しながら鼻から4秒かけて息を吸い込みます。
次に、お腹をへこませながら口から8秒かけてゆっくりと息を吐き出します。
このように、吸う時間よりも吐く時間を長くすることがポイントです。
息を吐くときには副交感神経が優位になるため、この呼吸法を数分間繰り返すことで、高ぶった神経が静まり、心拍数も落ち着いてリラックスした状態に入りやすくなります。
熟睡の土台を作る!自律神経を整える朝と昼の過ごし方
質の高い睡眠は、夜の習慣だけで作られるわけではありません。
自律神経のバランスを整えるためには、朝と昼の過ごし方も非常に重要です。
日中の活動が、夜の休息モードへのスムーズな切り替えをサポートします。
ここでは、熟睡の土台となる日中の習慣について解説します。
毎朝同じ時間に朝日を浴びて体内時計をリセットする
毎朝、決まった時間に起きて太陽の光を浴びることは、体内時計をリセットする最も効果的な方法の一つです。
朝日を浴びると、脳内で精神を安定させる働きのある神経伝達物質「セロトニン」の分泌が活発になります。
このセロトニンは、夜になると睡眠を促すホルモン「メラトニン」に変化します。
そのため、朝にしっかりと光を浴びておくことが、夜の自然な眠りにつながるのです。
まずはカーテンを開けて、15分程度、自然の光を目に入れる習慣から始めましょう。
日中にウォーキングなどの軽い運動で適度な疲労感を得る
日中に体を動かす習慣は、ストレス解消に役立つだけでなく、夜の睡眠の質を高める効果も期待できます。
ウォーキングやジョギングといったリズミカルな有酸素運動は、セロトニンの分泌を促し、自律神経のバランスを整えます。
また、適度な肉体的疲労感は、夜の寝つきを良くするのに役立ちます。
ただし、夕方以降の激しい運動は交感神経を興奮させてしまうため、就寝3時間前までには終えるようにしましょう。
決まった時間に朝食をとり生活リズムを整える
朝食を食べることも、体内時計を整える上で重要な役割を果たします。
食事によって内臓が動き出すことで、体の中から1日の活動リズムが作られます。
特に、セロトニンの材料となる必須アミノ酸「トリプトファン」を多く含む食品を朝食に取り入れるのがおすすめです。
トリプトファンは、バナナ、牛乳、ヨーグルト、大豆製品などに豊富に含まれています。
毎朝決まった時間に朝食を摂り、規則正しい生活リズムの基盤を作りましょう。
食事で内側から整える!意識したい食生活の3つのポイント
自律神経のバランスは、日々の食事内容にも大きく影響されます。
何をいつ、どのように食べるかによって、体内のリズムや神経の働きは変化します。
ここでは、食事を通して内側から自律神経を整え、睡眠の質を高めるための3つのポイントを紹介します。
長期的な体質改善にもつながる食生活を意識しましょう。
夕食は就寝3時間前までに済ませて胃腸の負担を減らす
就寝直前に食事を摂ると、睡眠中も胃腸が消化活動を続けなければならず、体が完全な休息モードに入れません。
その結果、交感神経が刺激され、眠りが浅くなる原因となります。
内臓をしっかりと休ませ、質の高い睡眠を確保するためには、夕食は就寝の3時間前までに済ませることが理想です。
もし仕事などで遅くなってしまう場合は、消化の良いスープやおかゆなど、胃腸に負担の少ないメニューを選びましょう。
コーヒーや緑茶に含まれるカフェインの摂取時間を見直す
コーヒーや緑茶、紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインには、脳を覚醒させる作用があります。この効果は個人差がありますが、一般的に摂取後30分から数時間持続するといわれています。そのため、午後の遅い時間帯にカフェインを摂ると、夜になっても覚醒作用が残り、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりする可能性があります。
質の良い睡眠のためには、カフェインの摂取は就寝の数時間前までとし、それ以降はカフェインレスの飲み物を選ぶことが推奨されます。カフェインの覚醒作用の持続時間には個人差があるため、ご自身の体質や就寝時間に合わせて摂取時間を調整することが重要です。
腸内環境を整える発酵食品や食物繊維を積極的に摂る
「脳腸相関」という言葉があるように、脳と腸は自律神経を介して密接に連携しています。
そのため、腸内環境を整えることは、自律神経のバランスを安定させることにもつながります。
善玉菌を増やすヨーグルトや納豆、味噌などの発酵食品や、善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維が豊富な海藻類、オリゴ糖を含むバナナなどを積極的に食事に取り入れましょう。
腸の調子が整うことで、精神的な安定や睡眠の質の向上が期待できます。
セルフケアを続けても改善しない場合は専門家への相談も検討
これまで紹介したセルフケアを一定期間試しても、熟睡できない状態が改善されない場合、背景に他の病気が隠れている可能性も考えられます。
特に、不眠はうつ病の初期症状として現れることも少なくありません。
自分の努力だけではどうにもならないと感じたら、無理をせず専門の医療機関に相談することも大切な選択肢です。
こんな症状が2週間以上続いたら心療内科や睡眠外来へ
以下のような症状が2週間以上続いている場合は、専門家への相談を検討しましょう。
なかなか寝付けない(入眠障害)
夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)
朝早くに目が覚めて、その後眠れない(早朝覚醒)
ぐっすり眠った感じがしない(熟眠障害)
日中の眠気やだるさが強く、仕事や家事に集中できない
心療内科や精神科、あるいは睡眠専門のクリニック(睡眠外来)などが相談先となります。
専門医が原因を特定し、適切な治療やアドバイスを提供してくれます。
自律神経と睡眠に関するよくある質問
ここでは、自律神経と睡眠に関して多くの方が抱く疑問について、簡潔にお答えします。
Q1.すぐに眠りやすくなるツボはありますか?
はい、あります。
手首の内側のしわから指3本分ひじ側にある「内関(ないかん)」や、かかと中央のくぼみにある「失眠(しつみん)」などが代表的です。
心地よいと感じる強さで5秒ほどゆっくり押し、離す動作を数回繰り返すと、心身がリラックスし入眠を助ける効果が期待できます。
Q2.自律神経を整えるサプリメントや漢方薬は効果がありますか?
個人の体質や症状によっては効果が期待できます。
GABAやテアニンといった成分を含むサプリメントは、リラックスをサポートします。
漢方薬では、不眠や不安に用いられる「酸棗仁湯」や「加味帰脾湯」などが知られていますが、自己判断での使用は避け、必ず医師や薬剤師に相談してから服用してください。
Q3.睡眠の質を高める運動はいつ行うのが効果的ですか?
夕方から就寝の3時間前までに行う、ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動が最も効果的です。
運動によって一時的に上がった深部体温が、就寝時に向けて下がることで、自然で深い眠りを誘います。
就寝直前の激しい運動は交感神経を興奮させ、かえって寝つきを悪くするため避けましょう。
まとめ:できることから始めて、質の高い睡眠を取り戻そう
ストレスや生活習慣によって乱れた自律神経は、熟睡を妨げる大きな原因です。
しかし、夜の入浴法や照明の工夫、日中の過ごし方や食事内容を見直すなど、日々の少しの心がけでそのバランスを整えることは可能です。
この記事で紹介した方法の中から、まずは一つでも取り入れやすいと感じるものから実践してみてください。
小さな習慣の積み重ねが、心身のバランスを回復させ、質の高い睡眠を取り戻すための第一歩となります。
症例・患者さんの声

【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
鍼灸師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得
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