頚椎症性神経根症のストレッチ|自宅でできるリハビリ運動と注意点
頚椎症性神経根症による首から腕にかけての痛みやしびれは、日常生活に大きな影響を与えます。
この症状の主な原因は、加齢による頚椎の変形や、長時間の不良姿勢です。
医療機関での治療と並行し、自宅でできるストレッチや体操を取り入れることは、症状緩和や再発予防に役立ちます。
本記事では、安全に行えるセルフケアとしての運動や、正しい治し方につながる注意点を解説します。
頚椎症性神経根症とは?ストレッチで症状が緩和する理由
頚椎症性神経根症は、加齢などによって首の骨(頚椎)が変形し、神経の通り道が狭くなることで神経根が圧迫され、首の痛みや腕のしびれ、脱力感などの症状が現れる疾患です。
椎間板ヘルニアと症状が似ていますが、原因が異なります。
ストレッチによって首や肩周りの筋肉の緊張が和らぎ、血行が促進されると、神経根への圧迫が軽減されます。
また、硬くなった筋肉や関節の柔軟性を取り戻すことで、頚椎にかかる負担が減少し、症状の緩和につながります。
ストレッチを始める前に!悪化させないための3つの注意点
頚椎症性神経根症の症状緩和にストレッチは有効ですが、やり方を間違えるとかえって症状を悪化させる危険性があります。
安全にセルフケアを行うためには、いくつかの重要な注意点を理解しておく必要があります。
特に、痛みを誘発する動きや自己流の強い刺激は、神経や周辺組織を傷つける可能性があるため絶対に避けるべきです。
ここでは、ストレッチを始める前に必ず守ってほしい3つのポイントを解説します。
注意点1:首を後ろに反らすなど痛みを誘発する動きは避ける
ストレッチ中に最も注意すべきなのは、首を後ろに反らす動きです。
この動作は、神経の通り道である椎間孔を狭め、神経根への圧迫を強めてしまうため、痛みやしびれを悪化させる危険性が非常に高いです。
同様に、首を大きく回したり、痛みが走る方向に無理に倒したりする動きも避けましょう。
ストレッチは、あくまで心地よいと感じる範囲で行うのが原則です。
少しでも痛みや違和感、しびれが増すような動きはすぐに中止し、専門医や理学療法士に相談してください。
注意点2:自己流の強いマッサージや首を鳴らす行為はしない
首や肩のコリを感じると、つい強く揉んだり押したりしたくなりますが、自己流の強いマッサージは非常に危険です。
特に、頚椎症性神経根症の場合は、神経が圧迫されて敏感になっているため、外部からの強い刺激によって症状が悪化する可能性があります。
また、首をポキポキと鳴らす行為は、頚椎の関節や靭帯に急激な負荷をかけ、不安定性を増大させることにつながりかねません。
気持ちが良いと感じても、これらの行為は根本的な解決にはならず、リスクを伴うため避けるべきです。
注意点3:痛みやしびれが強い時は無理せず安静にする
痛みやしびれが急に強くなった場合や、安静にしていても症状が続く場合は、ストレッチや運動を無理に行うべきではありません。
このような急性期には、炎症が起きている可能性があり、動かすことでかえって症状を悪化させることがあります。
まずは楽な姿勢で安静を保ち、患部を冷やすなどの応急処置を試みてください。
症状が落ち着かない、または日に日に悪化するようであれば、速やかに医療機関を受診することが重要です。
セルフケアは、あくまで症状が安定している時期に行うものと理解しておきましょう。
【症状緩和編】首から腕の痛み・しびれを和らげる簡単ストレッチ
頚椎症性神経根症の治療では、薬物療法や理学療法と並行して、自宅でのセルフケアが重要になります。
特に、専門家の指導のもとで行われる運動療法は、症状緩和に効果的です。
ここでは、首から肩、腕にかけての筋肉の緊張を和らげ、血行を改善することで痛みやしびれの軽減を目指す、安全で簡単なストレッチを紹介します。
無理のない範囲で、ゆっくりとした動作を心がけてください。
首の横側を伸ばす「胸鎖乳突筋ストレッチ」
胸鎖乳突筋は、耳の後ろから鎖骨にかけて斜めに走る首の筋肉です。
この筋肉が硬くなると、首の動きが悪くなり、頭痛や肩こりの原因にもなります。
まず、背筋を伸ばして座り、右手を左の側頭部に置きます。
息を吐きながら、ゆっくりと頭を右側に倒し、首の左側が心地よく伸びるのを感じてください。
この状態で20秒キープし、ゆっくりと元の位置に戻します。
反対側も同様に行いましょう。
肩が上がらないように注意し、あくまで首の力は抜いて、手の重みで自然に伸ばすのがポイントです。
肩甲骨まわりの血行を促す「胸張り運動」
デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けていると、肩甲骨周りの筋肉が固まり、血行不良を引き起こします。
この運動で肩甲骨を大きく動かし、周辺の血流を改善しましょう。
まず、椅子に浅く腰掛け、背筋を伸ばします。
両腕を胸の高さで前に伸ばし、手のひらを下に向けます。
そこから、息を吸いながらゆっくりと両肘を後ろに引き、肩甲骨を中央に寄せるように意識して胸を張ります。
息を吐きながら、腕を元の位置に戻します。
この動作を10回ほど繰り返してください。
肩をすくめず、リラックスして行うことが大切です。
丸まった背中を伸ばす「大胸筋ストレッチ」
猫背や巻き肩の姿勢は、胸の筋肉である大胸筋が縮こまっていることが原因の一つです。
大胸筋が硬くなると、肩甲骨が外側に引っ張られ、首や肩への負担が増大します。
このストレッチで大胸筋を伸ばし、正しい姿勢を取り戻しましょう。
壁の横に立ち、肘を90度に曲げて手のひらと前腕を壁につけます。
壁側の足を一歩前に踏み出し、息を吐きながらゆっくりと体を前に、そして壁と反対側にひねるようにして胸の伸びを感じます。
20秒ほどキープし、反対側も同様に行います。
痛みを感じない、気持ちの良い範囲で伸ばしてください。
【原因改善編】再発予防につながる姿勢矯正トレーニング
頚椎症性神経根症の症状を緩和させるだけでなく、再発を防ぐためには、根本的な原因である不良姿勢を改善することが不可欠です。
日常生活での癖が原因で生じるストレートネックや猫背は、頚椎に持続的な負担をかけます。
ここでは、簡単な筋トレ要素を取り入れたトレーニングを紹介します。
継続的に行うことで、首周りを支える筋肉を整え、正しい姿勢を維持しやすくすることが目的です。
ストレートネックを整える「あご引き運動」
ストレートネックは、本来あるべき頚椎のカーブが失われ、まっすぐになってしまった状態を指します。
この状態では頭の重みが首に直接かかり、大きな負担となります。
あご引き運動は、この状態を改善し、正しい頭の位置を体に覚えさせる効果があります。
まず、壁に背中とかかとをつけて立ち、後頭部が壁に軽く触れるように意識します。
次に、息を吐きながらゆっくりとあごを引き、首の後ろを伸ばすように意識します。
二重あごを作るようなイメージです。
この状態を5秒キープし、ゆっくり元に戻す動作を10回繰り返しましょう。
猫背をリセットする「肩甲骨寄せ運動」
猫背は、背中が丸まり、肩が内側に入る「巻き肩」を伴うことが多く、頚椎への負担を増大させます。
この運動は、背中側の筋肉(菱形筋や僧帽筋中部・下部)を刺激し、肩甲骨を正しい位置に戻すことで猫背の改善を目指します。
まず、両腕を横に広げ、肘を90度に曲げて「W」の形を作ります。
息を吐きながら、両方の肩甲骨を背骨に向かってギュッと引き寄せ、この状態で5秒間キープしてください。
その後、息を吸いながらゆっくりと力を抜きます。
この動作を10回繰り返します。
肩が上がらないように注意することがポイントです。
日常生活で頚椎への負担を減らすための工夫
頚椎症性神経根症の症状管理と再発予防には、ストレッチやトレーニングだけでなく、日常生活における頚椎への負担を意識的に減らす工夫が非常に重要です。
無意識のうちに行っている習慣が、首に過度なストレスをかけている場合があります。
デスクワークの環境、スマートフォンの使い方、睡眠時の姿勢など、日々の行動を見直すことで、症状の悪化を防ぎ、改善を促進させることが可能です。
デスクワークではPCモニターの高さを見直す
長時間のデスクワークは頚椎に大きな負担をかける原因となります。
特にPCモニターの位置が低いと自然と頭が前に出て猫背の姿勢になりがちです。
この姿勢は首の後ろの筋肉に過度な緊張を強いるだけでなく頚椎のカーブを失わせるストレートネックを引き起こします。
モニターの高さは目線が画面の上端もしくはやや下に来るように調整するのが理想です。
モニター台を使用するか厚い本を下に置くなどして高さを確保しましょう。
これによりあごを引いて背筋を伸ばした正しい姿勢を保ちやすくなります。
スマートフォンは目線の高さで操作する
スマートフォンを操作する際、多くの人が頭を下げて画面をのぞき込む姿勢をとります。
この「スマホ首」とも呼ばれる姿勢は、頭の重さで頚椎に通常時の数倍もの負荷をかけることになり、頚椎症性神経根症の症状を悪化させる大きな要因です。
スマートフォンを使用する際は、意識的に本体を目線の高さまで持ち上げて操作するように心がけましょう。
脇を軽く締め、肘を曲げて体で支えるようにすると、腕の疲れを軽減できます。
また、長時間の使用を避け、30分に一度は休憩を挟み、首を軽く動かすなどして筋肉の緊張をほぐすことも大切です。
睡眠中の首の負担を減らす枕選びのポイント
人間は人生の約3分の1を睡眠に費やすため、睡眠中の姿勢、特に首の状態は非常に重要です。
体に合わない枕を使用していると、睡眠中に頚椎に不自然な力がかかり続け、症状を悪化させたり、回復を妨げたりする原因になります。
理想的な枕は、仰向けで寝たときに、首の骨が自然なS字カーブを保てる高さのものです。
横向きの寝方では、首の骨が背骨と一直線になる高さを選ぶのがポイントです。
素材は、頭が沈み込みすぎず、適度な反発力でしっかりと首を支えてくれるものがおすすめです。
自分に合った枕を見つけることが、首の負担軽減につながります。
頚椎症性神経根症のストレッチに関するよくある質問
頚椎症性神経根症のセルフケアとしてストレッチを始めるにあたり、多くの方がさまざまな疑問や不安を抱えています。
ここでは、ストレッチの頻度や時間、痛みを感じた際の対処法、そしてストレッチ以外のセルフケアなど、特によく寄せられる質問について、簡潔に回答します。
正しい知識を身につけ、安全かつ効果的にセルフケアを実践するための参考にしてください。
Q1.ストレッチは1日に何回、どのくらいの時間行うのが効果的ですか?
1回5分程度の短時間でも良いので、1日数回に分けてこまめに行うのが効果的です。
特に朝起きた時や仕事の合間、就寝前などがおすすめです。
各ストレッチは、痛みを感じない範囲で20〜30秒伸ばすのを1セットとし、2〜3セット繰り返すのが目安です。
無理のない範囲で、毎日継続することが最も重要な方法です。
Q2.ストレッチ中に痛みやしびれを感じた場合はどうすれば良いですか?
ストレッチ中に痛みやしびれを感じたり、症状が悪化したりした場合は、すぐにその動きを中止してください。
無理に続けると神経や筋肉を傷つけ、症状を悪化させる危険性があります。
痛みが続く場合は、楽な姿勢で安静にし、それでも改善しない場合は専門の医療機関を受診しましょう。
Q3.ストレッチ以外に自宅でできるセルフケアはありますか?
ウォーキングなどの全身運動が有効です。
全身の血行が促進され、首や肩周りの筋肉の緊張緩和にもつながります。
膝や腰に負担の少ない水中ウォーキングもおすすめです。
また、体を冷やさないように入浴で温めたり、日常生活での姿勢を見直したりすることも、症状の緩和と再発予防に役立ちます。
まとめ
頚椎症性神経根症の症状緩和と再発予防には、医療機関での治療と並行して行うセルフケアが重要です。
本記事で紹介したストレッチやトレーニングは、首や肩周りの筋肉の緊張を和らげ、血行を促進し、正しい姿勢を取り戻すのに役立ちます。
ただし、首を後ろに反らさない、痛みがあるときは無理しないといった注意点を必ず守ってください。
日常生活でもPCモニターの高さやスマートフォンの使い方、枕の選択に配慮することで、頚椎への負担を軽減できます。
これらのケアを継続的に実践することが、症状の改善につながります。
症例・患者さんの声

【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
鍼灸師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得
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