腸内環境と自律神経の関係

こんにちは。江戸川区平井鍼灸院の今木です。
最近では、腸活というキーワードもよく耳にしますし、以前に比べても一般的にも使われるようになりましたね。今回は、腸内環境と自律神経の関係をお伝えします。

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腸内環境と自律神経の関係

理想の腸内環境とは?

腸内環境は、消化器官内に存在する微生物のバランスや活動状況を指します。腸内環境が良好であることは、消化・吸収の効率を高めるだけでなく、免疫機能や自律神経系の健康にも大きな影響を与えます。では、理想の腸内環境とはどのようなものでしょうか?

腸内フローラ

 1. 腸内フローラの多様性

理想的な腸内環境は、腸内フローラ(腸内細菌群)の多様性が高いことが特徴です。さまざまな種類の善玉菌(有益な菌)と悪玉菌(有害な菌)、そして日和見菌(条件次第で有益にも有害にもなる菌)がバランスよく存在することが重要です。この多様性は、腸の機能を最適化し、健康を維持するために必要です。

2. 善玉菌の優勢

理想的な腸内環境では、善玉菌が優勢であることが求められます。善玉菌には、ビフィズス菌や乳酸菌などがあり、これらの菌は腸内の有害物質を分解し、腸の蠕動運動を促進し、免疫機能を強化します。善玉菌が多く存在することで、悪玉菌の増殖を抑制し、健康的な腸内環境を維持します。

3. 適切なpHバランス

腸内のpHバランスも重要です。通常、健康な腸内環境はやや酸性(pH6.0-6.8)であり、これは善玉菌の活動を助け、悪玉菌の増殖を抑える環境です。適切なpHバランスを保つことは、腸内フローラの健康維持に不可欠です。

4. 十分な食物繊維の摂取

食物繊維は腸内細菌のエサとなり、善玉菌の増殖を促します。理想的な腸内環境を維持するためには、食事に十分な食物繊維を含めることが重要です。食物繊維は、野菜、果物、全粒穀物、豆類などに豊富に含まれています。

 5. 腸壁の健康

腸壁の健康も理想的な腸内環境の一部です。腸壁が健康であることで、消化吸収が効率的に行われ、有害物質の侵入を防ぎます。腸壁の健康を維持するためには、バランスの取れた食事と適切な水分補給が重要です。

腸内環境と自律神経の関係

腸脳相関の図

腸内環境と自律神経は密接に関連しています。腸は「第二の脳」とも呼ばれ、腸内環境が自律神経系の働きに影響を与えることが多くの研究で示されています。

1. 腸内細菌と神経伝達物質

腸内細菌は神経伝達物質の生成に関与しています。例えば、腸内細菌はセロトニンという神経伝達物質を生成します。セロトニンは気分や睡眠の調整に重要な役割を果たしており、腸内環境が整っていることで、セロトニンの生成が促進され、自律神経のバランスが保たれます。

 2. 腸脳相関

腸と脳は腸脳相関(ガット・ブレイン・アクシス)と呼ばれるネットワークで結ばれています。このネットワークを介して、腸内環境の状態が脳に影響を与え、自律神経の調整に寄与します。例えば、腸内環境が悪化すると、ストレスや不安感が増すことがあります。

3. 免疫機能と自律神経

腸は免疫機能の約70%を担っており、腸内環境が良好であることは免疫機能の正常化につながります。免疫機能と自律神経は相互に影響を与え合い、免疫反応のバランスが崩れると、自律神経の乱れが生じることがあります。

 4. 炎症と自律神経

腸内環境が悪化すると、腸内で炎症が起こりやすくなります。この炎症が慢性的になると、自律神経系に悪影響を及ぼし、全身のバランスが崩れることがあります。特に、腸内の悪玉菌が増加すると、腸内壁に炎症が起こりやすくなります。

腸内環境が良好で得られるメリット

腸内環境のイラスト

腸内環境を良好に保つことは、全身の健康に多大な影響を与えます。以下に、腸内環境が良好であることによって得られる主なメリットを紹介します。

1. 消化・吸収の改善

腸内環境が良好な状態では、食べ物の消化と栄養素の吸収が効率的に行われます。善玉菌が多い腸内環境は、消化酵素の生成を助け、腸の蠕動運動を促進します。これにより、消化不良や便秘、下痢などの消化器系の問題が軽減されます。

2. 免疫機能の強化

腸は全身の免疫機能の約70%を担っており、腸内環境が良好であることは免疫力の向上に直結します。善玉菌は有害な病原菌の増殖を抑え、免疫細胞の働きを活性化させます。これにより、感染症やアレルギーなどのリスクが低減されます。

3. メンタルヘルスの向上

腸と脳は密接に連携しており、腸内環境が良好であることはメンタルヘルスの改善にも寄与します。腸内細菌は、セロトニンなどの神経伝達物質の生成に関与しており、ストレスや不安、うつ病の軽減に役立ちます。腸内環境が整うことで、気分が安定しやすくなります。

4. 体重管理のサポート

腸内環境が良好であることは、体重管理にも有益です。善玉菌は代謝を活性化し、脂肪の蓄積を防ぐ働きがあります。また、腸内環境のバランスが取れていると、食欲のコントロールがしやすくなり、過食を防ぐことができます。

5. 美肌効果

腸内環境が整うことで、肌の健康も向上します。腸内細菌は、ビタミンB群やビオチンなどの皮膚の健康に必要な栄養素を生成します。また、腸内環境が良好であると、体内の炎症が抑えられ、ニキビや肌荒れのリスクが減少します。

6. 炎症の抑制

腸内環境が整うことで、体内の炎症反応が抑制されます。善玉菌は、抗炎症作用を持つ短鎖脂肪酸を生成し、全身の炎症を抑える働きがあります。これにより、慢性炎症が原因となる様々な疾患のリスクが低減されます。

7. 栄養素の合成

腸内細菌は、ビタミンKや一部のビタミンB群など、体内で合成されにくい栄養素の生成に寄与します。これらの栄養素は、血液凝固やエネルギー代謝、神経機能の維持に重要な役割を果たします。

8. 睡眠の質の向上

腸内環境が良好であることは、睡眠の質にも影響を与えます。腸内細菌が生成するセロトニンは、睡眠ホルモンであるメラトニンの前駆物質です。腸内環境が整うことで、メラトニンの分泌が促進され、質の良い睡眠が得られるようになります。

9. エネルギーレベルの向上

腸内環境が良好であると、栄養素の吸収が効率的に行われ、エネルギーレベルが向上します。善玉菌が生成する短鎖脂肪酸は、エネルギー源として利用されるため、日常の活力やスタミナが増します。

10. 長寿の可能性

研究によると、腸内環境が良好であることは、長寿と関連しています。善玉菌が多い腸内環境は、加齢による機能低下を抑え、健康寿命を延ばす可能性があります。

理想的な腸内環境を維持することは、自律神経の健康に直結します。腸内フローラの多様性を保ち、善玉菌を優勢にし、適切なpHバランスを維持することが重要です。また、食物繊維の摂取や腸壁の健康にも注意を払いましょう。腸内環境を整えることで、自律神経のバランスも保たれ、全体的な健康を向上させることができます。
目には見えなくてもとても大切な腸内環境。そのバロメーターとなるのは便です。
便の状態は腸内環境を知ることができる指標にもなるので、毎日の便を観察してみてくださいね。

新入社員の男女

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

江戸川区平井鍼灸院 今木 薫

院長梅田俊【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得