体内時計
こんにちは。平井鍼灸院の鈴木開登です。
今回は「体内時計」についてお伝えします。
体内時計と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか?起床時間の記憶や昼夜逆転などがありますが、これらの体内時計も自律神経が関与しています。
人の体に「体内時計」があることは古くからわかっていましたが、それは脳内にあるのだろうと考えられてきました。しかし近年になり、体内のいろいろな活動を“時間”でコントロールしている「時計遺伝子」が体のあちこちにあることがわかってきました。
時計遺伝子の中枢は脳の視床下部の視交叉上核という部分にあり、体内時計の司令塔的な役割をしています。また、それぞれの内臓には末梢時計遺伝子が存在しています。その時計に従って、たとえば肺は真夜中から明け方にかけて新陳代謝を行うなど、生きるために必要な活動をしています。
つまり時計遺伝子は、視床下部にある中枢の遺伝子と、内臓などにある末梢の遺伝子が連携してはたらいているのです。これは自律神経のシステムと非常によく似ていますが、それもそのはずで、自律神経と時計遺伝子は連動してはたらいているのです。そのため、時計遺伝子の調子が悪いと、自律神経も影響を受けて乱れてしまいます。
地球の自転周期は24時間ですが、日照時間が異なる夏と冬では1日の長さは感覚的には違います。そのため、1日は24時間ですが体内時計も一律で24時間にセットされているわけではありません。しかし、人には体内時計をリセットするシステムが備わっているため、体内時計が多少ズレていても大きな問題はありません。そのリセットの方法とは、太陽の光を浴びることです。
時計遺伝子の中枢がある視交叉上核は、眼球から伸びる視神経が交差するところにあり、目からの言号をキャッチしやすい部位です。
この視交又上核が太陽の光を確認すると、体内時計がリセットされ、新しい1日をスタートさせるのです。
海外旅行で体験する「時差ボケ」は、体内時計と実際の時間がズしてしまうことが原因ですが、眠くても朝に太陽光をしっかり浴びると、体内時計を現地時間に合わせることができて楽になります。ちなみに、日本人の平均体内時計は24時間10分だということがわかっています。
朝日を浴びると体内時計はリセットされますが、正確にいうとリセットされるのは中枢の体内時計(=時計遺伝子)のみで、そのままでは末梢の体内時計はリセットされません。
末梢の体内時計がリセットされないと、中枢の体内時計とズレが生じます。そうすると、本来優位になるべき交感神経がはたらかず、代謝や活動量が低いままになってしまいます。
中枢の時計と末梢の時計を同期させるためには、朝食をとることが大切です。これは、次のような実験で実証されています。
朝7時に起きて、夜23時過ぎに就寝するという条件で、「①食事を7時・12時・17時にとった場合」と、「②5時間ずらして12時・17時・22時にとった場合」とで比べてみると、①は中枢の時計と末梢の時計が同じリズムを刻むのに対し、②は末梢の時計が遅れてリズムを刻むようになったのです。
また、普段あまり朝食を食べない大学生を対象に、「A食べるようにした人たち」と、「Bそのまま朝食を食べない人たち」とで体内時計を比較してみると、Aのほうが交感神経や副交感神経の1日のピークが2時間程度早まりました。さらには、コレステロール値が明らかに低いという結果も出ています。
体内時計を整えないと、交感神経が働かず代謝や活動量が低下するのでご自身の体内時計を管理してみてください。
平井鍼灸院 鈴木 開登
【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得