臀部の痛みの原因と治療法|放置はNG?整形外科へ行くべき症状を解説
臀部に痛みが生じた場合、その原因は筋肉の疲労から神経の圧迫、骨の異常まで多岐にわたります。
痛みを放置すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたす可能性があるため、適切な治療を受けることが重要です。
多くのケースでは整形外科が専門となりますが、原因に応じた治療法を選択する必要があります。
この記事では、臀部の痛みの原因や考えられる病気、自宅でできる対処法、病院を受診すべき症状の目安について解説します。
あなたの臀部の痛みはどのタイプ?まずは症状をチェック
臀部の痛みの原因を特定するためには、どのような痛みがあるか、他にどんな症状が出ているかを確認することが大切です。
例えば、お尻から足にかけて電気が走るような鋭い痛みやしびれがあるのか、それとも筋肉が張っているような鈍い痛みなのかを区別します。
また、痛みのある部分に熱や腫れを伴うか、腰痛も同時に発生しているかなど、付随する症状にも注意を払いましょう。
これらの情報を整理することで、痛みの原因を推測する手がかりになります。
臀部の痛みが起こる主な3つの原因
臀部に痛みが生じる原因は一つではなく、複数の要因が考えられますが、大きく3つのタイプに分類できます。
最も多いとされるのが、腰から足にかけて伸びる神経が圧迫されることで生じる痛みです。
次に、長時間のデスクワークやスポーツなどによってお尻周りの筋肉が過度に緊張したり、損傷したりするケースが挙げられます。
さらに、股関節や骨盤の関節、骨そのものに異常が生じていることも原因となり得ます。
まずは、ご自身の痛みがどのタイプに近いか考えてみましょう。
原因①:神経の圧迫による痛み(坐骨神経痛など)
お尻から足にかけて伸びている「坐骨神経」が何らかの原因で圧迫されたり刺激されたりすることで生じる痛みやしびれは坐骨神経痛と呼ばれます。
坐骨神経痛は病名ではなく症状の総称であり、その背景には腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症といった腰の病気が隠れていることが少なくありません。
この場合、臀部だけでなく太ももやふくらはぎ、足先にまで痛みが広がる放散痛が特徴です。
鋭い痛みや電気が走るような神経痛が典型的な症状として現れます。
原因②:筋肉の過度な緊張や損傷
長時間同じ姿勢で座り続けるデスクワークや、ランニングなどのスポーツによって臀部の筋肉に過度な負担がかかると、筋肉が硬直し血行不良を引き起こして痛みが生じます。
特に、お尻の深層にある梨状筋や、お尻の側面にある中殿筋などが原因となりやすいです。
これらは筋肉の使いすぎによる一種の筋肉痛とも言えますが、慢性化すると筋肉内に硬いしこり(トリガーポイント)が形成され、持続的な痛みの原因になることもあります。
筋肉の緊張が続くと、近くを走る坐骨神経を圧迫し、しびれを伴うこともあります。
原因③:骨や関節の異常
臀部の痛みは、骨や関節の問題によっても引き起こされます。
代表的なものに、股関節の軟骨がすり減る変形性股関節症があり、初期には足の付け根の痛みとして現れ、進行すると臀部にも痛みが広がります。
また、骨盤にある仙腸関節の機能障害も、お尻の奥の痛みの原因です。
特に中腰での作業が多い人や産後の女性に多く見られます。
その他、転倒による打撲や、高齢者では気づかないうちに生じている圧迫骨折などが原因で、臀部に痛みを感じるケースも考えられます。
【場所別】臀部のどこが痛む?考えられる原因と病気
臀部の痛みといっても、痛む場所によって考えられる原因や病気は異なります。
お尻の真ん中あたりが痛むのか、外側なのか、あるいは足の付け根にかけて痛むのかなど、痛みの中心がどこにあるかを確認してみましょう。
痛みの部位を特定することで、原因となっている神経や筋肉、関節をある程度絞り込むことができ、適切な対処法を見つけるための重要な手がかりになります。
ここでは、痛む場所別に考えられる代表的な原因や病気を解説します。
お尻の真ん中あたりが痛む場合
お尻の真ん中、特にくぼみ周辺が痛む場合、梨状筋症候群や仙腸関節障害が考えられます。
梨状筋はお尻の深い部分にある筋肉で、この筋肉が硬くなることで坐骨神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こします。
仙腸関節は骨盤の中央にある関節で、ここにずれや炎症が起こると、お尻の奥に痛みを感じることがあります。
また、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症など、腰に原因がある場合でも、関連痛としてお尻の真ん中あたりに症状が出ることが少なくありません。
お尻の外側・側面に痛みがある場合
お尻の外側や側面、いわゆる「横尻」と呼ばれる部分が痛む場合は、中殿筋や小殿筋といった筋肉のトラブルが考えられます。
これらの筋肉は歩行時や片足で立つ際に骨盤を安定させる重要な役割を担っており、長時間の立ち仕事や歩行、スポーツなどで負担がかかると炎症や硬直を起こし、痛みが生じます。
特に片側(右側または左側)だけに痛みが出ることが多く、歩行時や痛い方を下にして寝た際に痛みが増すのが特徴です。
腰からくる神経の症状が、右や左の片側だけに出ることもあります。
太ももの付け根にかけて痛む場合
お尻から太ももの付け根(股関節)にかけて痛みがある場合、変形性股関節症の可能性が考えられます。
初期症状として足の付け根の違和感や痛みから始まり、進行すると痛みの範囲が臀部や太もも、膝にまで広がることがあります。
あぐらをかくのが難しくなったり、靴下を履く動作が辛くなったりするのも特徴の一つです。
また、腰椎椎間板ヘルニアの中でも、比較的高い位置の神経が圧迫されると、臀部から足の付け根周辺に痛みやしびれが生じることもあります。
臀部の痛みを引き起こす代表的な病気
臀部の痛みが続く場合、セルフケアで改善しない場合は、何らかの病気が背景にある可能性を考える必要があります。
痛みの原因となる病気は、腰の骨や椎間板の問題、お尻の筋肉や関節の異常など様々です。
正確な診断と適切な治療を受けるためには、これらの病気の特徴を理解しておくことが役立ちます。
ここでは、臀部の痛みの原因として特に代表的な病気について、それぞれの症状や特徴を解説します。
梨状筋症候群
梨状筋症候群は、お尻の深部にある梨状筋という筋肉が硬くなることで、その下を通る坐骨神経を圧迫し、痛みやしびれを引き起こす状態です。
長時間のデスクワークや運転、ランニングなどのスポーツが原因で梨状筋に負担がかかることで発症しやすく、お尻の奥や太ももの裏側に痛みが生じます。
座っているときに症状が悪化し、ストレッチなどで梨状筋を伸ばすと痛みが和らぐことがあるのが特徴です。
坐骨神経痛の一因となりますが、腰に原因がある他の疾患との鑑別が重要です。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは、背骨の骨と骨の間でクッションの役割を果たしている椎間板の一部が飛び出し、近くにある神経を圧迫する病気です。
圧迫された神経が支配する領域、主にお尻から足にかけて、激しい痛みやしびれが生じます。
前かがみの姿勢や座っているときに痛みが強くなる傾向があります。
どの神経が圧迫されるかによって症状の出る場所は異なりますが、臀部痛は非常によく見られる症状の一つです。
重いものを持ち上げたり、急に腰をひねったりした際に発症することがあります。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症は、主に加齢によって背骨の中にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなり、神経が圧迫される病気です。
立っていたり歩いていたりすると、お尻から足にかけて痛みやしびれが現れ、少しの間座って前かがみで休むと症状が和らぐ「間欠性跛行」が典型的な症状です。
腰を反らすと脊柱管がさらに狭くなるため痛みが増し、逆に自転車に乗るような前かがみの姿勢では症状が出にくいという特徴があります。
高齢者に多く見られる疾患です。
仙腸関節障害
仙腸関節障害は、骨盤を構成する仙骨と腸骨の間にある仙腸関節に、何らかの原因でずれや炎症が生じることで痛みが発生する状態です。
お尻のやや上、骨盤の後ろあたりに痛みを感じることが多く、片側に症状が出やすいのが特徴です。
中腰での作業や、産後の骨盤の不安定な時期、あるいは腰椎すべり症などで腰が不安定な場合に発症しやすいとされています。
椅子から立ち上がる時や寝返りをうつ時など、関節に負荷がかかる動作で痛みが増す傾向があります。
変形性股関節症
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減って骨が変形し、炎症や痛みを引き起こす病気です。
初期には、立ち上がりや歩き始めに足の付け根に痛みを感じる程度ですが、進行するにつれて痛みが強まり、安静時にも痛むようになります。
痛みの範囲も足の付け根から臀部、太もも、膝へと広がることがあります。
関節の動きが悪くなるため、靴下を履く、爪を切る、あぐらをかくといった日常的な動作が困難になることも特徴です。
特に女性に多く見られる疾患です。
放置は危険!すぐに整形外科を受診すべき症状
臀部の痛みの多くは筋肉の疲労などが原因ですが、中には放置すると危険な病気が隠れているケースもあります。
特に、神経に深刻なダメージが及んでいる可能性を示すサインを見逃してはいけません。
セルフケアを続けても痛みが一向に治らない場合や、これから紹介するような症状が見られる場合は、自己判断で様子を見ずに、速やかに整形外科などの専門の病院を受診してください。
早期の診断と治療が、症状の悪化や後遺症を防ぐために重要です。
歩けないほどの痛みは危険信号です。
激しい痛みやしびれで歩行が困難な場合
臀部や足に、日常生活に支障をきたすほどの激しい痛みやしびれがある場合は、重度の神経圧迫が起きている可能性があります。
例えば、痛みで眠れない、じっとしていても痛い、数メートルも歩けないといった状態は、危険なサインです。
特に、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症が重症化しているケースが考えられます。
このような強い症状を我慢していると、神経の回復が遅れたり、後遺症が残ったりするリスクが高まるため、早急に医療機関を受診する必要があります。
足に力が入らない・感覚が鈍い場合
痛みや足のしびれに加えて、足首や足の指に力が入らない、スリッパが脱げやすい、階段で足が上がらないといった症状は「運動麻痺」のサインであり、注意が必要です。
これは、神経の圧迫が強く、筋肉を動かす指令がうまく伝わらなくなっている状態を示します。
また、触られても感覚が鈍い、皮膚の感覚が左右で違うといった「知覚障害」も同様に危険な兆候です。
これらの症状は神経が深刻なダメージを受けている可能性が高く、速やかな専門医による診察が求められます。
排尿・排便に異常が出ている場合
臀部や足の痛みに伴い、尿が出にくい、頻尿になる、便秘がひどくなる、あるいは失禁してしまうといった排尿・排便の異常(膀胱直腸障害)が現れた場合は、最も緊急性の高い状態です。
これは「馬尾症候群」と呼ばれ、脊柱管の中を通る複数の神経の束が強く圧迫されていることを示唆します。
この状態を放置すると、機能が回復しない後遺症が残る可能性が非常に高いため、時間外であっても直ちに救急病院を受診し、専門的な治療を受ける必要があります。
臀部の痛みは何科に行くべき?
臀部に痛みを感じた際、何科を受診すればよいか迷うことがあるかもしれません。
痛みの原因の多くは、骨や関節、筋肉、神経といった運動器に関連しているため、まずは整形外科を受診するのが一般的です。
整形外科では、問診や診察、レントゲンやMRIなどの画像検査を通じて痛みの原因を正確に診断し、適切な治療法を提案してもらえます。
もし、帯状疱疹など皮膚に異常がある場合は皮膚科、内臓の病気が疑われる場合は内科の受診も考えられますが、まずは原因を特定するために専門の病院である整形外科へ相談しましょう。
自宅でできる!臀部の痛みを緩和するストレッチ方法
臀部の痛みが筋肉の緊張から来ている場合、ストレッチは症状の改善に有効なセルフケアの一つです。
硬くなったお尻周りの筋肉をゆっくりと伸ばすことで、血行が促進され、痛みの緩和が期待できます。
ただし、痛みやしびれが強いとき、特に神経症状がある場合に無理に行うと、かえって症状を悪化させる可能性があります。
痛みが気持ち良いと感じる範囲で、ゆっくりと呼吸をしながら行うことが大切です。
マッサージも有効ですが、強く押しすぎないように注意しましょう。
梨状筋を伸ばすストレッチ
坐骨神経痛の原因にもなる梨状筋の緊張を和らげるストレッチは効果的です。
椅子に座る場合は、片方の足首を反対側の膝の上に乗せ、背筋を伸ばしたままゆっくりと上体を前に倒します。
お尻の外側が伸びているのを感じる位置で20〜30秒キープしましょう。
仰向けで行う場合は、両膝を立て、片方の足首を反対側の膝に乗せて「4」の字を作ります。
その後、土台になっている方の太ももを両手で抱え、ゆっくりと胸に引き寄せます。
このストレッチも同様に、無理のない範囲で行ってください。
お尻全体の筋肉をほぐすストレッチ
中殿筋など、お尻全体の筋肉を広範囲にほぐすストレッチも有効です。
仰向けに寝て両膝を立てた状態から、片方の膝を両手で抱え、ゆっくりと胸に引き寄せます。
このとき、お尻全体の筋肉が伸びていることを意識しながら、20〜30秒ほどキープします。
左右交互に行いましょう。
さらに、抱えた膝を反対側の肩に向かって斜めに引き寄せると、お尻の外側の筋肉をより効果的に伸ばすことができます。
痛みが出ない範囲で、リラックスして行うことがストレッチの効果を高めるポイントです。
痛みを悪化させないために注意すべきこと
臀部の痛みを抱えているときは、症状を悪化させないための生活習慣を心がけることも重要です。
まず、長時間同じ姿勢で座り続けることは避け、30分に一度は立ち上がって軽く体を動かすようにしましょう。
椅子に座る際は、硬い座面を避け、クッションなどを利用して臀部への圧力を分散させることが有効です。
また、痛みを誘発するような激しい運動、例えばランニングやジャンプの多いテニスなどは一時的に控えるべきです。
重いものを持ち上げる際も、腰や臀部の上に負担がかからないよう、膝を使って持ち上げるなど姿勢に注意が必要です。
臀部の痛みに関するよくある質問
臀部の痛みについて多くの人が疑問に思う点をまとめました。
座っているときの痛みや湿布の効果、ストレスとの関連性など日常生活で気になる質問に対して簡潔に回答します。
ご自身の症状と照らし合わせながら適切な対処法を見つけるための参考にしてください。
ただしここで紹介する内容は一般的な情報であり個々の症状については専門医に相談することが最も重要です。
Q1.座っているとお尻が痛くなるのはなぜですか?
長時間座ることでお尻の筋肉や坐骨が圧迫され、血行不良が起こるためです。
特に硬い椅子は負担が大きく、坐骨神経を刺激することもあります。
急に痛みが出た場合や、骨盤の形状から女性は痛みを感じやすい傾向があります。
圧力を分散させるクッションの使用や、こまめに立ち上がることが痛みの予防につながります。
Q2.臀部の痛みに湿布は効きますか?
筋肉の炎症による痛みの場合、湿布に含まれる消炎鎮痛成分が一時的に症状を和らげる効果が期待できます。
しかし、神経の圧迫が原因の痛みには効果が限定的です。
湿布はあくまで対症療法であり、痛みが続く場合は薬の処方や注射など、根本原因に対する治療が必要なため、医療機関を受診しましょう。
Q3.痛みの原因がストレスの可能性はありますか?
ストレスが痛みの直接的な原因となることは稀ですが、痛みを増幅させる一因にはなり得ます。
ストレスにより無意識に筋肉が緊張し、血行不良から「トリガーポイント」と呼ばれる痛みの引き金が作られることがあります。
レントゲンなどで異常が見つからないのに痛みが続く場合、心理的要因の関与も考えられます。
まとめ
臀部の痛みは、筋肉の疲労、神経の圧迫、骨や関節の異常など、様々な原因によって引き起こされます。
症状が軽い場合はストレッチなどのセルフケアで改善することもありますが、自己判断で放置するのは危険です。
特に、歩行が困難なほどの激しい痛みやしびれ、足の麻痺、排尿障害などを伴う場合は、重篤な病気が隠れている可能性があるため、速やかに整形外科を受診する必要があります。
痛みの原因を正確に診断し、適切な治療を受けることが、症状の改善と悪化の防止につながります。
症例・患者さんの声

【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
鍼灸師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得
このページを見た方は、以下のページをよく見ています。
info_outline平井鍼灸院
- 住所
- 〒132-0035
東京都江戸川区平井4丁目11−3 サンライズエンドウII 4階 - 電話番号
03-3683-7670
- 営業時間
- 火金 10:00~20:00
水 12:00~20:00
土 9:00~17:00
日 9:00~16:00 - 休業日
- 月曜・木曜・祝日
- アクセス
- JR総武本線平井駅から徒歩1分
















