寝違いと鍼灸治療

こんにちは
平井鍼灸院の石渡です。

最近季節の変わり目や気温の変化などから多くのお問い合わせのある急性症状。
今回は《寝違い》についてお話します。

◇症状について

眠っていて目が覚めたときに、首の後ろや首から肩にかけての痛みが出ることがあり、いわゆる「寝違え」と言います。首を動かすと痛みが出る時もありますし、痛みで首を動かせない時もあります。
この症状の多くは、首周辺の筋肉が軽度の肉離れを起こしている状態です。

◇原因と病態

何が起こって痛みが出ているかについては、様々な意見がありますが、検査や画像でとらえられるような変化がないのが一般的なので、正確な原因であるという証拠はありません。
睡眠中不自然な姿勢が続いたために一部の筋肉が阻血(血液の供給が不足)におちいり時にしこりとなっている、前日などにいつもはしないスポーツや労働をして一部の筋肉が痙攣している(こむら返り)、頸椎の後ろの関節(椎間関節)の袋(関節包)に炎症がおこる、などの原因が考えられています。
筋肉の阻血・疲労や関節包の炎症を引き起こすのは、上肢の使い過ぎ(手で重いものを持つ動作は頸の後ろの筋肉に負担がでます)、同じ姿勢の持続(飲酒後の睡眠や疲れ果てての睡眠などでは寝返りが少なくなる・パソコンや事務作業が長時間に及ぶと頭を一定位置に保持するために頸部の筋肉に負担が生じる)、が原因の場合が多いです。

起床時に症状を感じる理由が多いのは、人間の頭部は正面から見た首の幅に対して中間の位置にあるのが望ましいが、睡眠中はどうしてもその位置からずれてしまい、長時間にわたって首がおかしな方向に曲がったままになっていると、首の筋肉が部分的な阻血状態になり筋肉も凝り固まりやすくなってしまいます。この状態で起床時に急に頭首を動かすと、寝違えが発生するのです。
寝違えの原因は睡眠中に作られ、起床時に炎症が発生するからです。

◇診断

起床時に痛くなり、数時間から数日で痛みが改善していくようなら、徐々に首を動かしていくことで治っていくのが一般的です。痛みが強い場合には整形外科を受診して、他の病気の可能性がないかを調べることが可能です。「寝違え」の場合には、首の動きは制限されていますが、上記の診察や検査では変化は認めません。
痛みが治らず診察で異常がある場合には、
頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症、頚椎症性脊髄症、転移性脊椎腫瘍、脊髄腫瘍、強直性脊椎症、関節リウマチなどの本格的な病気の可能性もありますし、肩こりの症状が強いだけの場合もあります。要は、寝違えが治らない場合には、整形外科を受診して調べてもらうことをお勧めします。
※鍼灸院では診断は行うことはできませんが検査等により疑いを見つけることが一部症例では可能です。

◇寝違えを起こした時

動かすと頚が痛いので、寝違えが起こった時には痛い方向には動かさずにいる方が良いです。
阻血部位に対して血流を良くして回復を促すこと。
血流改善の方法には、温める・ストレッチをする・マッサージそして鍼灸治療です。
特に鍼灸治療においては
《阻力刺法》
が有効です。
阻力刺法は動刺法と呼ばれ、動かしている途中で痛みを感じる部位に刺鍼する刺法で、中枢神経の中にモルヒネのような役割を持った内因性オピオイドを運動刺激と痛み刺激によって放出することが出来る為、痛みを脳に伝える神経路をブロックすることが出来ます。この刺法は、病歴が短いほど効果が期待出来きます。
また鍼刺激を身体に与えるると軸索反射という反射が起き、血管が拡張されることで筋肉の血流が改善することが期待できます。
阻血そして痛みの伴う寝違いに鍼治療が有効な理由はここに集約されます!

◇治るまでの日数は?

▶筋肉に炎症がある場合
炎症が筋膜に生じているとき:4日~1週間程度
筋肉の中心に生じているとき:3日~5日程度

▶神経痛の場合:2日~3日程度

▶ねんざの場合:1週間~2週間程度

▶鍼灸治療の改善症例:受傷後一週間以内に阻力刺法+高濃度の酸素を含むオイル(O2クラフト使用)で1~2回程度で痛みの改善及び可動域の改善。

◇注意点
痛みに関しては上記のように素早い処置で早期改善が見込まれますが、寝違いを起こす方(ぎっくり腰など急性症状)は普段から体に負担が掛かっている方が多いです。
根本的な対策を行わないと再発をする方は根本的に治すことで再発のリスクを大幅に減らすことが可能です。

疑問やご質問等ございましたら当院までご相談くださいね!

最後までお読みいただきありがとうございます。
平井鍼灸院
鍼灸師 石渡 圭亮