顔のしびれ・麻痺はストレスが原因?病院は何科?考えられる病気を解説
ある日突然、顔のしびれや麻痺を感じると、何か重い病気ではないかと不安になるものです。
その症状は、過度なストレスが原因で起こることもありますが、中には脳卒中や顔面神経麻痺といった病気が隠れている可能性も考えられます。
顔の違和感を覚えたときに、どのタイミングで病院に行くべきか、何科を受診すればよいのか、そして自分でできる対処法について解説します。
顔がしびれるのはストレスが原因?自律神経の乱れとの関係
過度なストレスや疲労は、心身のバランスを調整する自律神経の乱れを引き起こすことがあります。
自律神経が乱れると、血管が収縮して顔の血行が悪くなったり、無意識に顔の筋肉がこわばったりするため、ピリピリとした痺れや感覚の鈍さを感じやすくなるのです。
特に、精神的な負担が大きい時期に症状が現れる場合は、ストレスが大きく関わっている可能性が考えられます。
ストレス以外で顔のしびれを引き起こす主な病気
顔のしびれはストレスが原因の場合もありますが、見過ごせない病気のサインである可能性も考慮しなくてはなりません。
脳の異常や神経の圧迫、ウイルス感染などが原因で、顔の感覚や動きに異常が生じることがあります。
特に、顔の半分だけに症状が出たり、しびれ以外の症状を伴ったりする場合は、専門医による正確な診断が必要です。
ここでは、顔のしびれを引き起こす代表的な病気を紹介します。
片側の顔が動かしにくい「顔面神経麻痺」
顔面神経麻痺は、顔の筋肉を動かす「顔面神経」に障害が起こる病気です。
多くの場合、片側の顔に突然発症し、口角が下がって水や食事がこぼれる、目が完全に閉じられない、頬を膨らませられないといった症状が現れます。
原因が特定できない「ベル麻痺」と、帯状疱疹ウイルスが原因の「ハント症候群」が代表的です。
ストレスや疲労が引き金になることもあると考えられており、顔の動きに違和感を覚えたら、早めに耳鼻咽喉科などを受診することが重要です。
激しい痛みを伴う「三叉神経痛」
三叉神経痛は、顔の感覚を脳に伝える「三叉神経」が血管などによって圧迫されることで発症します。
特徴は、顔の片側に突然生じる、数秒から数十秒続く電気が走るような激しい痛みです。
洗顔や食事、歯磨き、会話といった日常的な動作が引き金となって痛みが誘発されることも少なくありません。
痛みに伴ってしびれを感じることもありますが、顔面神経麻痺のように顔の筋肉が動かせなくなったり、手足にしびれが出たりすることはありません。
痛みが強い場合は、脳神経外科やペインクリニックでの治療が検討されます。
ろれつが回らない場合は要注意「脳卒中(脳梗塞・脳出血)」
顔のしびれに加えて、ろれつが回らない、言葉がうまく出てこないといった症状が突然現れた場合、脳卒中(脳梗塞や脳出血)の可能性を疑う必要があります。
脳卒中は、脳の血管に異常が生じ、脳細胞が壊死してしまう緊急性の高い病気です。
顔の症状の他に、片方の手足の麻痺やしびれ、力が入らない、激しい頭痛やめまい、立っていられないといった症状が同時に起こるのが特徴です。
これらの症状が一つでも当てはまる場合は、命に関わる危険な状態であるため、一刻も早く救急車を呼んでください。
耳の周りに発疹が出る「帯状疱疹(ハント症候群)」
帯状疱疹は、過去に感染した水ぼうそうのウイルスが、免疫力の低下をきっかけに再活性化して発症します。
このウイルスが顔面神経に感染すると「ハント症候群」と呼ばれ、顔面麻痺を引き起こします。
主な症状は、耳の周辺や耳の中に生じる激しい痛みと赤い発疹、水ぶくれです。
その他に、めまいや耳鳴り、難聴を伴うこともあります。
帯状疱疹による顔面麻痺は、早期に抗ウイルス薬による治療を開始することが後遺症を残さないために非常に重要です。
耳の周りに異常を感じたら、速やかに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
この症状は危険?すぐに病院へ行くべきサイン
顔にしびれを感じると、ただの疲れのせいか、それとも病院へ行くべきか判断に迷うことがあります。
しかし、症状によっては一刻を争う場合もあるため、危険なサインを見逃さないことが肝心です。
しびれ以外にどのような症状があるか、症状が突然現れたかどうかが、緊急性を判断する上での重要なポイントになります。
ここでは、すぐに医療機関を受診すべき症状の目安について説明します。
救急車を呼ぶべき緊急性の高い症状例
以下の症状が一つでも突然現れた場合は、脳卒中など命に関わる病気の可能性があるため、迷わず救急車を呼んでください。
単なる寝不足や疲れとは考えず、緊急事態として対応することが求められます。
「突然バットで殴られたような激しい頭痛がする」「ろれつが回らず、うまく話せない」「片側の顔や手足がしびれる、力が入らない」「急なめまいで立てない、まっすぐ歩けない」「片方の目が見えにくい、物が二重に見える」。
これらの症状は、脳の異常を示す危険なサインです。
時間の経過とともに後遺症が重くなるリスクがあるため、迅速な対応が必要です。
数日以内に受診を検討すべき症状例
救急車を呼ぶほどではないものの、以下の症状が見られる場合は、数日以内に専門の医療機関を受診することを推奨します。
放置すると症状が悪化したり、後遺症が残ったりする可能性があります。
「片方の目が完全に閉じられない、口から水がこぼれるなど顔を動かしにくい」
「耳のあたりに痛みや赤い発疹、水ぶくれが出ている」
「洗顔や食事の際に、顔の片側に電気が走るような激痛が起こる」
「顔のしびれがなかなか治らない、あるいは徐々に範囲が広がっている」。
これらの症状は、顔面神経麻痺や三叉神経痛、帯状疱疹などが考えられ、早期の診断と治療が回復の鍵となります。
顔のしびれは何科に相談すればいい?症状別の受診先
顔のしびれで病院にかかろうと思っても、どの診療科を受診すればよいか迷うことが多いです。
原因が多岐にわたるため、しびれ以外にどのような症状があるかが、適切な診療科を選ぶための重要な手がかりになります。
顔の動きの問題、ろれつや頭痛の有無、痛みの種類など、ご自身の症状に合わせて受診先を判断することが、スムーズな診断と治療につながります。
顔の動きに問題があるなら「耳鼻咽喉科」
目がうまく閉じられない、口の片側から水がもれる、口笛が吹けないなど、顔の筋肉の動きに異常を感じる場合は、まず耳鼻咽喉科を受診しましょう。
これらの症状は、顔の動きを司る顔面神経の障害が原因である顔面神経麻痺の可能性が高いです。
特に、耳の周りの痛みや発疹、水ぶくれ、めまい、難聴といった症状を伴う場合は、帯状疱疹ウイルスによるハント症候群も疑われます。
耳鼻咽喉科は顔面神経麻痺の専門的な診断と治療を行っており、早期に適切な治療を開始することで、後遺症のリスクを減らすことが期待できます。
ろれつが回らない・激しい頭痛があるなら「脳神経外科・脳神経内科」
顔のしびれとともに、ろれつが回らない、言葉が出にくい、片方の手足がしびれる、突然の激しい頭痛がするといった症状がある場合は、脳卒中など脳の病気が強く疑われます。
このようなケースでは、脳の検査が可能な脳神経外科や脳神経内科を受診する必要があります。
これらの症状は緊急性が非常に高いため、ためらわずに救急車を呼ぶか、すぐに受診できる医療機関に連絡してください。
また、顔に電気が走るような激しい痛みを伴う三叉神経痛の診断や治療も、これらの診療科が専門としています。
痛みが主な症状なら「ペインクリニック」
顔のしびれよりも「痛み」が主な症状で、日常生活に支障をきたしている場合は、ペインクリニック科を受診するのも一つの選択肢です。
ペインクリニックは痛みの診断と治療を専門としており、特に三叉神経痛や帯状疱疹が治った後に残る神経痛(帯状疱疹後神経痛)などに対して、専門的な治療を提供します。
薬物療法のほか、痛みの原因となっている神経の近くに局所麻酔薬を注射する神経ブロック療法など、痛みを和らげるための多様なアプローチを行います。
他の診療科で痛みの原因がはっきりしない場合や、治療を続けても痛みが改善しない場合に相談してみるとよいでしょう。
ストレスによる顔のしびれを和らげるセルフケア4選
医療機関で検査を受け、特に重大な病気が見つからなかった場合、顔のしびれはストレスや自律神経の乱れが原因である可能性が高いです。
その場合、日常生活を見直し、心身の緊張を和らげることが症状の改善につながります。
ここでは、自律神経のバランスを整え、ストレスによる顔のしびれを緩和するために今日から始められるセルフケアの方法を4つ紹介します。
①質の高い睡眠で心身を休ませる
睡眠は、心と体の疲れを回復させ、乱れた自律神経のバランスを整えるために不可欠です。
睡眠不足はストレスに対する抵抗力を弱め、症状を悪化させる要因となります。
毎日決まった時間に就寝・起床する習慣をつけ、十分な睡眠時間を確保するよう心がけましょう。
また、睡眠の質を高めることも重要です。
就寝前はスマートフォンの使用を控え、脳をリラックスさせる時間を作ります。
ぬるめのお風呂にゆっくり浸かって体を温めたり、寝室の照明を暗くして静かな環境を整えたりすることも効果的です。
心身を十分に休ませることが、しびれの緩和につながります。
②ウォーキングなどの軽い運動を習慣にする
ウォーキングやヨガ、ストレッチといった軽めの運動を日常生活に取り入れることは、血行促進とストレス解消に役立ちます。
体を動かすことで全身の血流が良くなり、しびれの原因の一つである顔周りの血行不良の改善が期待できます。
また、適度な運動は、精神を安定させる働きのあるセロトニンなどの神経伝達物質の分泌を促すため、気分転換にもなります。
無理に激しい運動をする必要はなく、むしろ心身の負担になる可能性があるので、自分が心地よいと感じるペースで続けられる運動を見つけることが大切です。
まずは1日15分程度の散歩から始めてみるのもよいでしょう。
③バランスの取れた食事で栄養を補う
食生活の乱れは自律神経の不調に直結するため、栄養バランスの整った食事を1日3食きちんと摂ることが基本です。
特に、神経の働きをサポートするビタミンB群(豚肉、レバー、玄米など)や、血行を促進するビタミンE(ナッツ類、かぼちゃなど)は積極的に摂取したい栄養素です。
また、ストレスを感じると消費されやすいビタミンC(果物、野菜など)も意識して補うとよいでしょう。
インスタント食品や偏った食事は避け、できるだけ多くの品目をバランス良く食べることが、体の中から調子を整え、症状の改善を後押しします。
④自分に合ったストレス解消法を見つける
ストレスが原因でしびれが起きている場合、ストレスを上手にコントロールすることが根本的な解決策となります。
仕事や人間関係など、ストレスの原因そのものを完全に取り除くのは難しいかもしれませんが、自分なりの解消法を見つけておくことで、心身への負担を軽減できます。
趣味に没頭する時間を作る、好きな音楽を聴いてリラックスする、気心の知れた友人や家族と話す、公園を散歩するなど、自分が「心地よい」と感じることを意識的に日常に取り入れましょう。
何もしないでぼーっとする時間も有効です。
自分に合った方法でこまめにストレスを発散させることが、自律神経のバランスを保ち、症状の再発を防ぎます。
まとめ
顔のしびれや麻痺は、ストレスによる自律神経の乱れが原因で起こることがあります。
しかし、その背景には顔面神経麻痺や三叉神経痛、さらには緊急性の高い脳卒中といった病気が隠れている可能性も否定できません。
特に、ろれつが回らない、激しい頭痛、手足の麻痺などを伴う場合は、直ちに医療機関を受診する必要があります。
症状に応じて耳鼻咽喉科や脳神経外科などを選び、まずは専門医による正確な診断を受けることが先決です。
検査で異常がなくストレスが原因と判断された場合は、睡眠や食事、運動といった生活習慣を見直し、心身を整えるセルフケアを実践していくことが症状の改善につながります。
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