貧血と自律神経の関係 — 鍼灸で整える疲労・めまいの対策
こんにちは。鈴木開登です。
 「疲れやすい」「立ちくらみがある」「顔色が悪い」――こうした症状で日常がつらいと感じていませんか?これらは**貧血(けつえき・酸素運搬能の低下)が原因で起きることが多く、単に血の量やヘモグロビン値だけでなく、自律神経や代謝、東洋医学でいう気血の状態とも深く関係しています。本記事では貧血の本質を西洋医学的に整理し、自律神経との関わり、東洋医学(鍼灸)的見立てを踏まえてわかりやすく解説します。
貧血とは?
貧血とは血液中の赤血球数やヘモグロビン(Hb)濃度が低下し、組織へ十分な酸素を運べない状態を指します。原因は多様で、代表的なものに鉄欠乏性貧血(鉄不足)、巨赤芽球性貧血(ビタミンB12・葉酸不足)、溶血性貧血(赤血球が壊れやすい)、慢性疾患に伴う貧血などがあります。各型でメカニズムや臨床像が異なるため、原因の把握が大切ですが、共通して現れる症状や身体への影響があります。

貧血の症状(どんな出方をするか)
貧血の症状は軽度〜重度まで幅がありますが、典型的には次のような訴えが出ます。
全身倦怠感・疲労感が強い
動くと息切れしやすい、運動耐容能が低下する
立ち上がったときのめまい・立ちくらみ(起立性低血圧と関連)
顔色が悪い、唇や爪の色が薄い(蒼白)
冷えやすい・手足の冷感がある
動悸や心拍増加を感じる(心臓が補償して拍出を上げるため)
集中力低下、頭重感、耳鳴り、息切れ、時に胸部不快感
症状の出方は貧血の進行速度や年齢、基礎疾患の有無で異なります。慢性でゆっくり進む場合は身体が順応して症状が目立たないこともありますが、生活の質(QOL)は確実に低下します。
西洋医学的視点:なぜ貧血でこんな症状が出るのか
貧血の最も根本的な問題は酸素供給不足です。ヘモグロビンは酸素を結合して全身へ運ぶ役割があり、その量が低下すると細胞・組織が十分な酸素を受け取れません。主な病態生理を整理します。
酸素運搬能の低下:ヘモグロビン量低下→組織低酸素→エネルギー産生(ATP)が減少→疲労感や運動耐容能低下。
循環系の補償:心臓は拍出量を増やして酸素供給を補おうとするため、動悸や頻脈が出やすい。これが続くと心負荷が高まる。
自律神経反応:起立時や負荷時に血圧・循環を保つため交感神経が活性化しやすく、めまいや立ちくらみの原因になる。
組織修復の低下:慢性的な低酸素は免疫・傷の治癒や代謝にも影響を与え、疲労や回復力低下につながる。
栄養・代謝因子:鉄・ビタミンB12・葉酸などが欠乏すると赤血球の産生自体が阻害され、貧血が進行する。
つまり、貧血は単に「血が少ない」状態ではなく、全身のエネルギー供給と自律神経による循環制御が影響を受ける複合的な状態です。
自律神経との関係 — なぜ貧血でめまいや倦怠感が強く出るのか
自律神経は血圧・心拍・血流分配を瞬時に調節して臓器の酸素供給を守るシステムです。貧血があるとこの仕組みが余儀なく活性化・攪乱され、以下のような影響が出ます。
交感神経の亢進:酸素不足や体位変化により交感神経が亢進。動悸・頻脈・冷感(末梢血管収縮)を招き、慢性化すると疲労感や睡眠障害を助長する。
起立性の不安定性:血液量や酸素供給が不足することで起立時に脳血流が瞬間的に低下し、立ちくらみや失神のリスクが上がる。自律神経の応答性が重要。
代謝・内臓機能ヘの影響:交感/副交感のバランスが乱れると消化吸収や代謝調節も不安定になり、鉄や栄養素の吸収低下に繋がることがある。
中枢の症状増悪:自律神経不調は頭重感や倦怠感を増幅し、「疲れているのに眠れない」「やる気が出ない」など心理的症状へ波及する。
臨床的には、貧血の治療だけでなく自律神経の安定(睡眠改善、適度な運動、ストレスケア)が症状軽減に重要です。
東洋医学的観点(弁証と鍼灸的見立て)
東洋医学では貧血に相当する概念を「血虚(けっきょ)」や「気血不足」「脾(ひ)・心・肝の不調」として捉えます。代表的な弁証と臨床像は以下の通りです。
血虚(けっきょ):めまい、動悸、顔色蒼白、爪の色が淡い、睡眠障害、月経過多に伴う疲労など。身体を養う「血」が不足して臓腑(特に心・肝)への栄養が足りない状態。
脾気虚(ひきょ):消化吸収が弱く、疲れやすい、下痢傾向、食後に倦怠感が強い場合。脾の運化(栄養を全身に配る力)が低下し血が不足する。
肝血虚(かんけっきょ):目のかすみや視力低下、筋の痙攣、情緒不安定を伴うことがある。肝は血を蔵する働きと気の巡りを調節するため、肝の弱りは血の循環不全を招く。
鍼灸での考え方(概説)
東洋医学では、血を補い、気の運行を改善し、脾胃(消化吸収)を強化することを基本方針とします。代表的な使穴(症例に応じて組合せ):
補血・養血:足三里、三陰交、脾兪(ひゆ)、血海(けっかい)
自律神経安定・循環改善:内関、神門、百会
肝の疏通(気の巡り):太衝、合谷
併用することで「めまい・動悸・疲労感・睡眠の質」の改善を目指し、食事や生活指導(温め・消化に易しい食事・適度な運動)と組み合わせて体質改善を図ります。
まとめ
貧血は単に血液検査の数値の問題ではなく、酸素供給不足が全身の代謝と自律神経に影響を与え、日常生活の疲労・めまい・動悸・集中力低下を引き起こす総合的な状態です。西洋医学的には原因(鉄欠乏・ビタミン不足・溶血・慢性疾患など)を把握することが重要ですが、東洋医学(鍼灸)は血や気を補い自律神経を整えることで症状の緩和と回復力向上を支援できます。まずは医療機関で原因の確認を行い、その上で生活習慣の見直しや鍼灸などの補完療法を検討すると良いでしょう。お困りの方はどうぞお気軽にご相談ください。
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