腸と自律神経のつながり（ストレス・便秘・メンタル不調の原因）

こんにちは。鈴木開登です。

「便秘や下痢が続く」「胃腸が弱いと気分まで落ち込む」「ストレスがたまるとお腹にすぐ出る」――そんな経験はありませんか？

これは偶然ではなく、腸と自律神経が密接につながっているために起こる現象です。近年「脳腸相関（のうちょうそうかん）」という考え方が注目され、腸の健康状態が自律神経や精神状態に大きな影響を与えることが分かってきました。

腸と自律神経の関係とは？

腸は「第二の脳」とも呼ばれるほど独自の神経ネットワークを持ち、自律神経によってその働きが調整されています。

• 交感神経が優位なとき：腸の動きが抑制され、便秘やガスの停滞が起きやすい。

• 副交感神経が優位なとき：腸の動きが活発化し、下痢や腹痛が起きやすい。

つまり、自律神経のバランスが崩れると腸の働きが乱れ、逆に腸の不調が続くと自律神経も乱れるという「双方向の関係性」があります。これこそが脳腸相関の本質であり、腸と自律神経は切り離せない存在なのです。

西洋医学から見た腸と自律神経 ― 脳腸相関

西洋医学では、腸と脳の相互作用を「脳腸相関」という概念で説明しています。

1. ストレスの影響
   
   ストレスを感じると脳の扁桃体が反応し、交感神経が優位になります。その結果、腸の動きが抑えられ便秘や消化不良が生じやすくなります。

2. 腸内細菌と神経伝達物質
   
   腸内環境が乱れると、セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質の分泌が不安定になり、気分の落ち込みや不眠、不安感につながります。実際、体内のセロトニンの90％以上が腸で作られているため、腸の健康は心の安定にも直結します。

3. 過敏性腸症候群（IBS）との関連
   
   ストレスによって自律神経が乱れると、便秘や下痢を繰り返すIBSの発症リスクが高まります。IBSは器質的な異常が見つからないため「気のせい」と思われがちですが、実際には脳腸相関による機能障害です。

自律神経の乱れが腸に与える影響

自律神経の不調は腸にさまざまな形で現れます。

• 便秘：交感神経の緊張により腸の動きが停滞 → 硬い便・排便困難。

• 下痢：副交感神経が過剰に働きすぎ → 腸が過敏に収縮し水分吸収が不十分に。

• 腹痛やガス：腸の動きが不規則になることで張りや痛みが出る。

• 食欲不振・消化不良：自律神経が胃腸をうまくコントロールできず、消化力が低下。

• 倦怠感・集中力低下：腸で作られる神経伝達物質が乱れ、全身症状にも影響。

このように腸の不調は「ただの消化器の問題」ではなく、自律神経の乱れのサインであることが多いのです。

東洋医学から見た腸と自律神経

東洋医学では、腸の不調は「脾胃（ひい）」の働きの乱れとして理解されます。

• 脾（ひ）：食べ物を気血に変える働き → 脾が弱ると疲労・便通異常が出る。

• 胃（い）：食べ物を受け入れ消化する → 胃が乱れると消化不良や膨満感が起こる。

さらにストレスは「肝（かん）」を乱し、気の巡りを滞らせることで腸の働きを抑制します。

また「腎（じん）」が弱ると体の温める力が落ち、冷えや下痢が慢性化することもあります。

東洋医学では腸の不調を単なる臓器の問題ではなく、五臓六腑と気血水のバランスの乱れとして捉えるため、心身全体を整える治療が行われます。

まとめ

腸と自律神経は「脳腸相関」によってお互いに影響し合っています。

便秘・下痢・腹痛といった腸のトラブルは、実はストレスや自律神経の乱れが大きく関与しているケースが少なくありません。

腸を整えることは、自律神経の安定と心身の健康を保つための第一歩です。

食事・生活習慣の改善に加え、東洋医学的アプローチを取り入れることで、より根本的な改善につながります。