睡眠時無呼吸症候群(SAS)と自律神経 — 鍼灸で整える眠りと体調
こんにちは。鈴木開登です。
「いびきが大きいと言われる」「日中に強い眠気が出る」「朝起きてもスッキリしない」──これらは睡眠時無呼吸症候群(SAS)の典型的な訴えです。単なる寝不足ではなく、夜間の呼吸障害が自律神経・循環・代謝系へ長期的な負荷を与える可能性があり、生活の質(QOL)や健康リスクに直結します。ここではSASの本質と症状、病態、そして自律神経・東洋医学的見立てを整理します。
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が止まったり極端に浅くなったりすることで反復的に酸素飽和度が低下し、睡眠構造が断片化する状態を指します。閉塞性(上気道の物理的狭窄)が圧倒的に多く、肥満・舌や軟口蓋の後退、頚部軟組織の肥厚、顎の形態などが関与します。中枢性(呼吸中枢の制御不全)は比較的稀です。

症状
大きないびき、家族に指摘される呼吸停止やガス欠様の間欠的な息止め
日中の強い眠気・注意力低下・居眠り(業務や運転に危険を来す)
朝の頭痛、喉の渇き、起床時の息苦しさ
睡眠の断片化による疲労感、集中力低下、情緒不安定
高血圧や不整脈、糖代謝障害、メタボリック症候群との関連が報告される
西洋医学的視点
SASでは反復する上気道閉塞により低酸素とCO2貯留が生じ、覚醒反応が頻発して睡眠構造(特に深い睡眠・REM)が破綻します。これにより夜間に交感神経が繰り返し活性化され、日中も交感優位が持続しやすくなります。慢性的には血管内皮機能障害・炎症・インスリン抵抗性を介して心血管リスクが増大します。閉塞因子は解剖学的要素と筋トーヌス低下の組合せで、体位や肥満によって悪化します。
自律神経との関係
SASは自律神経恒常性に強い負荷をかけます。無呼吸・低酸素が起きるたび交感神経反応(急激な心拍・血圧上昇)が生じ、夜間にも交感優位が強まることで副交感による回復が阻害されます。結果、昼夜を通じた交感/副交感のバランスが崩れ、高血圧や不眠、動悸、代謝異常が出やすくなります。したがってSASは「睡眠の病」ではなく「自律神経・循環代謝の慢性負荷状態」として理解することが重要です。
東洋医学的観点(弁証と着眼点)
東洋医学では睡眠や呼吸の乱れを「心(神志)・腎・肺・脾」のバランスや気の巡りの乱れとして捉えます。代表的なパターンは:
腎気虚(慢性疲労・朝起きづらい):腎を補い体の根気を増す。
心脾両虚(不安・夢多眠・疲労):心と脾を補い気血を養う。
気滞・痰湿(呼吸が浅く痰や肥満がある):痰湿を払う処方や配穴を検討。
鍼灸では安眠・内関・百会・腎兪・足三里などを組み合わせ、自律神経の切替を助け睡眠の回復力を高める観点でアプローチします。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、いびきや日中眠気だけでなく自律神経・循環・代謝へ長期的悪影響を及ぼし得る疾患です。耳鼻咽喉科や睡眠専門医による評価が重要ですが、西洋医学の診断・治療と合わせて自律神経の安定化や体質改善を目指す東洋医学的介入は生活の質向上に寄与する可能性があります。
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