日中の強い眠気がつらい人へ — 原因と自律神経・鍼灸の視点
こんにちは。鈴木開登です。
 「会議中や運転中に急に眠くなる」「寝ても日中に眠気が取れない」「午後になると頭がぼんやりする」――こうした“眠気(過度の傾眠・日中の強い眠気)”に関するご相談をよくいただきます。眠気は単なる「眠たい」感覚にとどまらず、生活の安全性や集中力、仕事のパフォーマンスに直結します。本記事では、眠気の仕組みを西洋医学的に整理し、自律神経との関係、さらに東洋医学(鍼灸)からの見立てをわかりやすく解説します。

眠気とは?
眠気とは「眠りたい、まぶたが重い、集中力が低下する」といった主観的な状態を指します。医学的には「日中過度の眠気(excessive daytime sleepiness:EDS)」として評価され、単純な一時的疲労から、睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーなど)や身体疾患、薬の副作用、精神疾患まで幅広い原因が考えられます。眠気の程度や頻度、伴う症状(いびき・発作的睡眠・意識消失感など)を把握することが診断の第一歩です。
眠気の主な症状・出方
日中に強い眠気が頻繁に起こる(会議中・運転中など危険をともなう場面で出る)
集中力低下、仕事や学習効率の悪化
昼寝をしても回復しにくい、夜に入眠困難がある
夜間に何度も目が覚める、朝方に疲れが残る
いびき、呼吸停止(周囲の指摘)、朝の頭痛(睡眠時無呼吸の疑い)
突然の眠気発作・カタプレキシー(感情に伴う脱力)など(ナルコレプシーの可能性)
これらは軽視せず、頻度や生活への影響が大きい場合は医療機関での評価が必要です。
西洋医学的視点:眠気が起きる主な原因
睡眠不足・不規則な睡眠習慣
最も単純で多い原因。睡眠時間の不足や睡眠の断片化(中途覚醒)が累積すると日中の眠気が強くなります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠中に何度も気道が閉塞して呼吸が止まる病態。睡眠が断片化し深い睡眠が得られないため、著しい日中眠気を生じます。いびきや肥満を伴うことが多い。
ナルコレプシー
夜に十分寝ていても日中に突然強い眠気や睡眠発作が起こる神経疾患。カタプレキシー(感情で筋肉が抜ける発作)を伴うことが特徴です。脳内のオレキシン欠乏が関与します。
概日リズム睡眠障害
体内時計のずれにより、夜眠れず昼間に強い眠気が出るタイプ。シフトワーカーや夜型生活者に多い。
内科的疾患・代謝異常
甲状腺機能低下、貧血、慢性炎症、慢性肝疾患・腎疾患、低血糖などが倦怠感と眠気を招く。
精神科的要因
うつ病や不安障害は睡眠の質を落とし、日中の眠気や集中力低下を引き起こす。
薬剤の副作用
抗ヒスタミン薬、向精神薬、抗てんかん薬、鎮痛薬など多くの薬が眠気を誘発する。
自律神経との関係 — なぜ眠気と自律神経は密接なのか
眠気(睡眠・覚醒)を司る仕組みは、脳の複数領域(視床下部、脳幹の網様体、縫線核、視交叉上核など)と自律神経系が密接に結びついています。主な関係は次の通りです。
サーカディアンリズム(体内時計)と自律神経:日中は交感神経が優位になり活動を維持、夜間は副交感神経が優位になって休息・修復が進みます。体内時計の乱れは自律神経の昼夜スイッチを狂わせ、眠気や覚醒障害を招きます。
ストレス・交感優位と睡眠の質:慢性的な交感神経優位(過緊張)は入眠困難や中途覚醒を招き、結果的に日中の眠気を悪化させます。
自律神経と呼吸の制御:睡眠時無呼吸症候群は呼吸停止→覚醒→睡眠の断片化を繰り返し、自律神経反応(交感神経の亢進)を招いて睡眠の回復力を奪います。
代謝・内臓機能との関連:自律神経は胃腸や代謝を調整します。副交感神経の働きが不十分だと消化・吸収が落ち、エネルギー供給が不安定になり昼間の眠気に繋がります。
総じて、自律神経は「眠る・覚める」「回復する」機能の要であり、乱れが眠気の根本要因となることが多いのです。
東洋医学的観点
東洋医学では眠気を単なる「眠たい状態」ではなく、気・血・津液(体液)や臓腑の働きの不均衡として捉えます。典型的な弁証(タイプ)は以下の通りです。
気血両虚(きけつりょうきょ):慢性的な疲労や栄養不足で気(エネルギー)と血(栄養)が不足。朝からだるく、昼間に強い眠気が出る。顔色や爪の色が淡い、動悸や息切れを伴うことがある。
脾虚(ひきょ):脾は消化・運化を司る。脾が弱いと食べてもエネルギーに変わらず、昼間に重だるさや眠気が現れる。食後の眠気が強いタイプ。
痰湿(たんしつ):体内に余分な水分や粘性物質が停滞すると「頭がもやもやする」「眠気で頭がはっきりしない」といった症状が出る。
肝鬱化火や心脾不和:ストレスや情緒不安が強い場合、夜間の睡眠が浅く日中に眠気が現れることがある。
東洋医学は「眠気が出る体質」を整えることで、夜の睡眠の回復力を高め、日中の眠気を減らすことを目指します。
まとめ
眠気は「ただの眠たさ」ではなく、睡眠の質・量、内科的疾患、薬剤、精神状態、そして自律神経のバランスなど多岐にわたる要因が関与します。まずは生活習慣(睡眠習慣・光曝露・食事・運動)を整えることが大切ですが、日中の眠気が強く生活に支障が出る場合は専門医の評価を受けることをおすすめします。東洋医学(鍼灸)は、体質改善や自律神経の安定、消化機能の回復を通じて眠気の改善をサポートする選択肢の一つです。
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