夏バテ・食欲不振・眠れない…鍼灸で整える「夏の体」
こんにちは、平井鍼灸院の今木です。前回は、“気象病”でつらい日々…気圧の変化に強い体をつくる鍼灸の知恵についてお伝えしました。
今回は、夏に出やすい不調とその原因と対策についてお伝えします。
まだまだ暑い日が続きます。夏バテすると秋の体調不良へと繋がりますので早めの対策をしていきましょう!!
夏の終わりに「なんとなく体がだるい」「食欲が落ちる」「夜も寝苦しい…」といった不調を感じる方は多いのではないでしょうか。
暑い毎日を過ごす中で蓄積された疲労は、夏バテや食欲不振、不眠といった症状として表面化しやすくなります。
今回は、夏特有の不調の原因と、鍼灸・東洋医学のアプローチで整える方法をご紹介します。
夏に多い不調とその原因
夏は高温多湿の環境に長時間さらされることで、私たちの体は体温調節・水分代謝・自律神経機能に大きな負担を受けます。
さらに現代では冷房の使用や生活リズムの変化が加わり、内外の温度差が自律神経のバランスを乱しやすくなります。
40代女性は更年期やホルモンバランスの変動も重なり、症状が長引きやすい傾向があります。
1. 夏バテ
高温環境下では皮膚血流量が増加し、発汗による体温調節が行われます。しかし長時間の発汗はナトリウムやカリウムなどの電解質を失わせ、神経や筋肉の機能低下を引き起こします。
また、連日の暑さは視床下部(自律神経中枢)に慢性的な負担をかけ、交感神経優位の状態が続くため、倦怠感や集中力低下が生じます。
東洋医学的にみると
夏は「心(しん)」に負担がかかりやすい季節とされます。心は血の巡りや精神活動を司るため、消耗すると「だるい・やる気が出ない・動悸・不眠」といった症状が出やすくなります。
2. 食欲不振
暑さで代謝が上がる一方、消化器官の働きは低下します。交感神経優位の状態では消化液の分泌が抑制され、胃の蠕動運動が鈍くなるため、食欲が減退します。
さらに、冷たい飲食物の摂取過多により胃腸が冷え、血流が減少して消化機能が低下します。
東洋医学的にみると
湿度が高い夏は「湿邪(しつじゃ)」が体内にこもりやすく、脾(ひ)の機能を弱めます。脾は食物の消化・吸収を司るため、湿邪によって脾の働きが鈍ると「食欲低下・胃もたれ・下痢・むくみ」が出やすくなります。
3. 不眠・睡眠の質低下
寝苦しい夜や冷房の影響で深部体温のリズムが乱れると、入眠や深い睡眠が妨げられます。夜間の発汗や頻繁な寝返りも睡眠の質を下げ、翌日の疲労感を残します。
さらに、暑さによる交感神経の興奮状態が続くと、寝つきが悪くなり、途中で目覚める中途覚醒が増えます。
東洋医学的にみると
心の働きが弱まると「神(しん)」が安定せず、不眠や浅い眠りになります。加えて夏の陽気の過剰は、体内の熱(内熱)としてこもり、眠りを妨げます。
4. 冷房病(クーラー病)
室内外の急激な温度差(5℃以上)が繰り返されると、自律神経が頻繁に切り替わり疲弊します。その結果、肩こり・頭痛・全身のだるさ・免疫力低下を招きます。
血管収縮による末梢血流の低下で、冷えやむくみも悪化します。
東洋医学的にみると
外からの冷気(寒邪)が皮膚や経絡に入り込み、気血の巡りを阻害します。この状態が長引くと、体表と内臓の温度差が広がり、消化機能や血流がさらに低下します。
5. むくみ
湿度の高い環境では汗の蒸発が妨げられ、水分代謝が滞ります。加えて塩分不足や運動不足が重なると、血液やリンパ液の循環が悪くなり、足や顔がむくみやすくなります。
東洋医学的にみると
湿邪が体内にたまると「水滞(すいたい)」という状態が生じ、下半身の重だるさやむくみが現れます。脾や腎の機能低下も、この症状を悪化させる要因です。
このように、夏の不調は自律神経・循環機能・消化機能が密接に関わっています。特に40代女性はホルモン変動期のため、こうした不調が複合的に現れやすいのが特徴です。
鍼灸は、これらの機能を総合的に整え、夏特有の負担を軽減する有効な方法です。
鍼灸で整える「夏の体」
1. 自律神経を調える
鍼灸は副交感神経を優位にしてリラックス状態を作り、体温調節や睡眠の質を改善します。
2. 胃腸の働きをサポート
ツボ刺激によって消化吸収機能を高め、夏バテによる食欲不振を緩和します。
3. 血流を改善して疲労回復
滞った血流を促し、全身に栄養と酸素を行き渡らせます。
夏バテ・食欲不振・不眠におすすめのツボ
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足三里(あしさんり):胃腸機能を高め、疲労回復にも効果的
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合谷(ごうこく):自律神経のバランスを整える
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神門(しんもん):心を落ち着け、睡眠の質を向上
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陰陵泉(いんりょうせん):余分な湿気を取り除き、むくみ改善
鍼やお灸でこれらのツボを刺激することで、体の内側から夏の不調を改善していきます。
自宅でできるセルフケア
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常温の飲み物を意識する
冷たい飲み物ばかりを避け、胃腸を冷やさないことが大切です。 -
湯船に浸かる
夏でも軽く入浴して汗腺を働かせ、血流を促します。 -
軽い運動やストレッチ
冷房による冷えや血流の滞りを防ぎます。 -
ツボ押し・お灸
足三里や神門へのセルフケアで予防をサポートします。
最後に
夏は体力や気力を消耗しやすく、自律神経や胃腸の働きが乱れやすい季節です。
夏バテや食欲不振、眠れないといった症状を放置すると、秋以降の体調にも影響を及ぼすことがあります。
鍼灸や東洋医学を取り入れることで、薬に頼らず自然な方法で体を整えることができます。
今年の夏は、「整えるケア」で暑さに負けない体づくり、秋に適応する体づくりを始めてみませんか?
自分でできるケアもありますが、人に頼るのも1つの手です。
現状を知る事で、改善策が見えてきますのでご相談くださいね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
江戸川区平井鍼灸院 今木薫
【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
鍼灸師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得
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