みぞおちの圧迫感と息苦しい原因は自律神経?胃の不調との違いも解説

みぞおちの圧迫感や息苦しさが続くと、何か重い病気ではないかと不安になるかもしれません。その不調の原因は、ストレスなどによる自律神経の乱れが関係している可能性があります。一方で、胃をはじめとする消化器系の病気が隠れているケースも少なくありません。
この記事では、みぞおちの不快な症状と自律神経の関係、胃の不調との見分け方、自分でできる対処法や医療機関を受診する目安について解説します。
みぞおちの圧迫感や息苦しさは自律神経の乱れが原因かもしれません
原因がはっきりとしないみぞおちの圧迫感や息苦しさは、自律神経の乱れによって引き起こされている可能性があります。
自律神経は、体を活動的にする交感神経と、リラックスさせる副交感神経がバランスを取りながら内臓の働きや呼吸、血流などをコントロールしています。
しかし、過度なストレスや不規則な生活、睡眠不足、更年期におけるホルモンバランスの変化などが原因でこのバランスが崩れると、体にさまざまな不調が現れます。
特に胃や食道は自律神経の影響を強く受けるため、機能が低下したり過敏になったりしてみぞおち周辺の不快感につながることがあります。
なぜ自律神経が乱れると、みぞおちに不調が起きるのか
自律神経は、私たちの意思とは関係なく内臓の働きを調整しているため、そのバランスが崩れると胃腸の機能に直接影響が及びます。
例えば、交感神経が過剰に働くと胃の血管が収縮して血流が悪くなり、消化機能が低下します。
逆に、副交感神経が過剰になると胃酸の分泌が増えすぎて、胃の粘膜を傷つけたり、食道へ逆流したりすることがあります。
これらの状態が、みぞおちが締め付けられるような圧迫感や、胸のつかえ感、息苦しさとして感じられるのです。
また、自律神経の乱れは胃腸だけでなく全身に影響するため、動悸やめまい、頭痛、倦怠感といった他の症状を伴う場合も少なくありません。
自律神経の乱れ以外に考えられる5つの原因
みぞおちの圧迫感や息苦しさは、自律神経の不調だけでなく、特定の病気が原因で起こることもあります。症状が似ているため自己判断は難しく、中には緊急を要するケースも含まれます。
みぞおちの圧迫感や息苦しさの原因となる病気は多岐にわたります。例えば、冠動脈疾患(狭心症や急性心筋梗塞)、胃潰瘍、機能性ディスペプシア、胆のう炎、急性胃炎、胃がんなどが挙げられます。
放置することで悪化する可能性もあるため、当てはまる症状がないか確認することが重要です。
胃や十二指腸など消化器系の病気
みぞおちの不調で最も一般的に考えられるのは、胃や十二指腸といった消化器系の病気です。
代表的なものに、胃酸が食道へ逆流する「逆流性食道炎」、胃の粘膜が傷つく「胃潰瘍」や「十二指腸潰瘍」、細菌感染による「急性胃腸炎」などがあります。
これらの病気は、みぞおちの圧迫感や痛みのほか、胸やけ、げっぷ、吐き気、胃もたれといった症状を伴うことが多いのが特徴です。
特に食事の時間や内容によって症状が変化する場合は、消化器系の病気を疑い、専門医の診察を受けることが推奨されます。
狭心症や心筋梗塞など心臓に関わる病気
みぞおちの痛みや圧迫感は、心臓の病気が原因で生じることもあり、特に注意が必要です。
狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患では、心臓への血流が不足することで胸部に痛みが生じますが、その痛みがみぞおち周辺に感じられることがあります。
これを「心窩部痛」と呼びます。
「胸を締め付けられるような」「圧迫されるような」と表現される激しい痛みが特徴で、冷や汗や吐き気、背中の痛み、左腕への放散痛を伴う場合は、命に関わる可能性があるため、すぐに医療機関を受診しなければなりません。
胆嚢炎や急性膵炎など胆嚢・膵臓の病気
みぞおちの右側や背中にまで及ぶ強い痛みがある場合、胆嚢や膵臓の病気も考えられます。
胆石が胆管に詰まることで起こる「胆石発作」や、胆嚢が炎症を起こす「胆嚢炎」、膵臓が炎症を起こす「急性膵炎」などがその代表です。
これらの病気は、脂っこい食事を摂った後などに、みぞおちから右上腹部にかけて突然激しく痛いと感じることが多いのが特徴です。
痛みのほかに、発熱や吐き気、嘔吐、皮膚や白目が黄色くなる黄疸といった症状が現れることもあり、速やかな治療が必要となります。
過度なストレスや不規則な生活習慣
特定の病気ではなく、日々の生活習慣がみぞおちの不調を引き起こす原因となることも少なくありません。
過度なストレスは自律神経のバランスを直接乱し、胃酸の分泌を過剰にしたり、胃の運動機能を低下させたりします。
また、暴飲暴食、早食い、脂肪分の多い食事、アルコールの過剰摂取、睡眠不足といった不規則な生活習慣は、胃に直接的な負担をかけ、消化不良や胃もたれ、圧迫感につながります。
これらの要因が複合的に絡み合うことで、機能性ディスペプシアといった、検査では異常が見つからないものの症状が続く状態になることもあります。
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猫背など姿勢の悪さによる身体的な負担
日常的な姿勢の悪さも、みぞおちの圧迫感や息苦しさを引き起こす一因です。
特にデスクワークなどで長時間猫背の姿勢を続けていると、腹部が圧迫されて胃の正常な位置や動きが妨げられます。
この圧迫により、食べたものがスムーズに消化されにくくなったり、横隔膜の動きが制限されて呼吸が浅くなったりします。
また、前かがみの姿勢は胃酸の逆流を誘発しやすく、逆流性食道炎に似た胸やけや不快感の原因にもなります。
意識的に背筋を伸ばしたり、定期的にストレッチを行ったりして、身体的な負担を軽減することが大切です。
これって胃の不調?自律神経の乱れによる症状との見分け方
みぞおちの不調が胃そのものの問題なのか、自律神経の乱れによるものなのかを見分けるのは容易ではありません。
ひとつの目安として、症状が現れるタイミングに注目する方法があります。
胃潰瘍など器質的な病気の場合、食後や空腹時など食事と関連して症状が出やすい傾向があります。
一方、自律神経の乱れが原因の場合、ストレスを感じた時や疲労が溜まった時、あるいは特定の時間帯に関係なく不調が現れるなど、精神的な状態や生活リズムに左右されやすいのが特徴です。
また、めまいや頭痛、動悸など、みぞおち以外の全身症状を伴う場合は自律神経の関与が疑われますが、正確な診断には医療機関での検査が不可欠です。
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みぞおちの不快感を和らげるためのセルフケア方法
症状が比較的軽く、緊急性の高い病気の可能性が低い場合、生活習慣を見直すことで不快感が和らぐことがあります。
自律神経のバランスを整え、胃腸への負担を減らすセルフケアは、症状の予防と改善に役立ちます。
ここでは、日常生活に取り入れやすい具体的な対処法を紹介します。
ただし、これらの方法を試しても症状が改善しない、または悪化するようであれば、速やかに医療機関を受診してください。
腹式呼吸でリラックスして自律神経を整える
深くゆっくりとした腹式呼吸は、心身をリラックスさせる副交感神経を優位にし、自律神経のバランスを整えるのに効果的です。
椅子に座った状態でも、横になった状態でも行うことができます。
まず、鼻からゆっくりと息を吸い込み、お腹を大きく膨らませます。
次に、吸う時よりも長い時間をかけて、口からゆっくりと息を吐き出しながらお腹をへこませていきます。
これを数分間繰り返すことで、心拍数が落ち着き、筋肉の緊張がほぐれます。
ストレスを感じた時や就寝前など、気持ちを落ち着かせたい時に実践すると良いでしょう。
体を温めて胃腸の血行を促進する
体が冷えると血管が収縮し、胃腸を含む内臓の血行が悪くなって機能が低下しやすくなります。
みぞおちの不快感を和らげるためには、体を温めて血行を促進することが重要です。
ぬるめのお湯にゆっくりと浸かる入浴は、全身の血行を良くし、リラックス効果も高まります。
また、腹巻をしたり、お腹にカイロを貼ったりして直接温めるのも有効です。
飲み物は冷たいものを避け、白湯やハーブティーなどの温かいものを選ぶように心がけることで、内側から胃腸の働きを助けることができます。
消化に良い食事をゆっくりと摂る
胃腸に負担をかけない食事を心がけることも、みぞおちの不快感を改善する基本です。
香辛料の多い刺激物、脂肪分の多い揚げ物、消化に時間のかかる食物繊維の多い食品は避け、おかゆやうどん、豆腐、白身魚、加熱した野菜など、消化しやすいものを選びましょう。
また、食べ方も重要で、早食いやドカ食いは胃に大きな負担をかけます。
一口ずつよく噛んで、時間をかけてゆっくりと食事を摂ることで、唾液の分泌が促され、消化が助けられます。
食事の時間を決め、規則正しい食生活を送ることも自律神経を整える上で役立ちます。
軽い運動でストレスを発散させる
適度な運動は、ストレス解消に非常に効果的であり、自律神経のバランスを整える助けになります。
ウォーキングやヨガ、軽いジョギング、ストレッチなど、心身がリラックスできる程度の運動を日常生活に取り入れましょう。
運動によって全身の血行が促進され、胃腸の働きも活発になります。
また、体を動かすことで気分転換にもなり、ストレスによる心身の緊張を和らげることができます。
ただし、食後すぐの激しい運動は消化の妨げになるため避け、自分のペースで無理なく続けられるものを選ぶことが大切です。
すぐに病院へ行くべき危険な症状のサイン
みぞおちの圧迫感や息苦しさの中には、緊急性の高い病気が隠れている場合があります。
セルフケアで様子を見ずに、直ちに医療機関を受診、あるいは救急車を要請すべき危険なサインを知っておくことが重要です。
具体的には、冷や汗を伴うような締め付けられる激しい痛み、呼吸ができないほどの息苦しさ、痛みが背中や左肩、顎にまで広がる、吐血や黒い便(下血)が見られる、といった症状です。
これらは心筋梗塞や消化管穿孔など、命に関わる病気の可能性があります。
また、急激な体重減少や、立ちくらみや強いめまいを伴う貧血症状がある場合も、早急な受診が必要です。
症状が続く場合は何科を受診すればいい?
セルフケアを試しても症状が改善しない、あるいは繰り返し症状が現れる場合は、自己判断で放置せずに医療機関を受診することが大切です。
しかし、みぞおちの不調で何科にかかれば良いのか迷うこともあるかもしれません。
ここでは、症状に応じた適切な診療科の選び方について解説します。
原因を特定し、適切な治療を受けるために、まずは専門医に相談しましょう。
まずは内科・消化器内科で原因を特定しよう
みぞおちの圧迫感や息苦しさといった症状で最初に受診すべき診療科は、内科、特に胃や食道、腸などを専門とする消化器内科です。
問診や触診に加え、必要に応じて胃カメラ(内視鏡検査)や腹部エコー検査、血液検査などを行い、症状の原因を詳しく調べます。
これにより、逆流性食道炎や胃潰瘍、胆石症といった器質的な病気がないかを確認することができます。
まずは命に関わるような重大な病気を見逃さないためにも、身体的な異常の有無を調べることが最優先となります。
ストレスが強い場合は心療内科も選択肢に
消化器内科で検査を受けても特に異常が見つからず、それでも症状が続く場合には、心療内科の受診を検討するのも一つの方法です。
特に、日常生活で強いストレスを感じていたり、不安や気分の落ち込みといった精神的な不調を伴っていたりする場合、症状の原因が心の問題にある可能性があります。
心療内科では、カウンセリングを通じて心理的な背景を探るとともに、必要に応じて自律神経のバランスを整える薬や抗不安薬などを用いた治療を行います。
身体と心の両面からアプローチすることが、症状の根本的な解決につながります。
まとめ
みぞおちの圧迫感や息苦しさは、自律神経の乱れが原因で生じることがありますが、その背景には胃や心臓、膵臓などの病気が隠れている可能性も否定できません。
セルフケアで症状が和らぐこともありますが、自己判断は禁物です。
特に、冷や汗を伴う激しい痛みや呼吸困難など危険なサインが見られる場合は、直ちに医療機関を受診してください。
症状が続く場合は、まず内科や消化器内科で身体的な原因を調べ、異常がなければ心療内科への相談も視野に入れるなど、段階的に原因を特定し、適切な治療を受けることが重要です。
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