耳の奥がズキンと一瞬痛むのはストレスが原因?考えられる病気と対処法
たまに耳の奥が痛いと感じ、ズキンと一瞬痛む症状に悩んでいませんか。
その痛みは、ストレスや疲れが引き金になっている可能性があります。
しかし、耳の奥が痛い症状は頭痛の一種である神経痛や、場合によっては他の病気が原因のこともあるため注意が必要です。
この記事では、耳の奥に一瞬の痛みを感じる原因や考えられる病気、自宅でできる対処法、医療機関を受診する目安について詳しく解説します。
その耳の痛み、ストレスが引き金になっているかもしれません
耳の検査をしても特に異常が見つからないのに、ズキンとした痛みが続く場合、その原因はストレスかもしれません。
過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、全身の血行不良を引き起こします。
特に耳の周りは血流が滞りやすく、その結果、神経が過敏になったり、筋肉が緊張したりして痛みを引き起こすことがあります。
仕事や家庭での悩み、生活環境の変化など、思い当たるストレスがないか振り返ってみることも重要です。
自律神経の乱れが耳の痛みを引き起こすメカニズム
自律神経は、体を活動的にする交感神経と、リラックスさせる副交感神経がバランスを取りながら機能しています。
しかし、強いストレスを受け続けると、交感神経が過剰に優位な状態が続きます。
これにより血管が収縮し、血流が悪化します。
特に耳の周りは毛細血管が多いため、血行不良の影響を受けやすい部位です。
血行が悪くなると、耳の神経や組織に十分な酸素や栄養が届かなくなり、知覚神経が刺激されて「ズキン」という鋭い痛みを引き起こすことがあります。
また、首や肩の筋肉の緊張も誘発され、それが関連痛として耳の奥の痛みに繋がるケースも見られます。
耳の奥がズキンと痛むときに考えられる病気
耳の奥に一瞬ズキンとくる痛みは、ストレスだけでなく、特定の病気のサインである可能性もあります。
痛みの特徴や、めまい、耳鳴り、耳だれといった他の症状を伴うかどうかで、考えられる病気は異なります。
代表的なものとして、神経痛や中耳炎、外耳炎、メニエール病などが挙げられます。
自己判断はせず、自分の症状と照らし合わせながら、適切な対処につなげるための知識として参考にしてください。
一瞬刺すような鋭い痛みなら神経痛の可能性
耳の奥に一瞬だけ電気が走るような、針で刺すような痛みが特徴の場合、神経痛の可能性が考えられます。
これは耳の周辺に分布する神経が何らかの原因で刺激されることで起こる痛みです。
特に、後頭神経痛や舌咽神経痛といった種類の神経痛が耳の痛みを引き起こすことがあります。
ストレスや疲労、寒さによる血行不良が引き金となることも多く、耳自体に炎症などの異常は見られません。
痛みは数秒で治まることがほとんどですが、繰り返し起こる場合は日常生活に支障をきたすため、医療機関への相談が推奨されます。
めまいや耳鳴りを伴う場合はメニエール病に注意
ズキンとする耳の痛みに加えて、ぐるぐると目が回るような回転性のめまいや、「キーン」というような耳鳴り、耳が詰まった感じ(耳閉感)が同時に起こる場合は、メニエール病の可能性があります。
この病気は、内耳にあるリンパ液が過剰に溜まることで発症すると考えられています。
症状は数十分から数時間続く発作を繰り返すのが特徴で、ストレスや睡眠不足、疲労が発症の引き金になることも少なくありません。
放置すると難聴が進行する恐れもあるため、これらの症状が重なる場合は早めに耳鼻咽喉科を受診することが重要です。
耳のかゆみや耳だれがあるなら外耳炎・中耳炎
耳の奥の痛みに加えて、かゆみや液体が出てくる「耳だれ」といった症状がある場合、外耳炎や中耳炎が疑われます。
外耳炎は、耳かきのしすぎや長時間のイヤホン使用などによって外耳道が傷つき、そこに細菌が感染して起こる炎症です。
一方、中耳炎は風邪などをきっかけに鼻や喉の細菌が耳管を通って中耳に入り込み、炎症を起こす病気で、特にズキズキとした持続的な痛みが特徴です。
どちらの病気も細菌感染が原因であることが多く、放置すると悪化する可能性があるため、耳鼻咽喉科での適切な治療が必要です。
顔の麻痺や発疹が見られるなら帯状疱疹(ハント症候群)
激しい耳の痛みに加え、耳の周りや顔に水ぶくれを伴う赤い発疹が現れたり、顔の片側が動きにくくなる顔面神経麻痺の症状が見られたりする場合は、ラムゼイ・ハント症候群(顔面神経麻痺を伴う耳性帯状疱疹)の可能性があります。
これは、体内に潜伏していた水ぼうそうのウイルスが、過労やストレスなどで免疫力が低下した際に再活性化して起こる病気です。
めまいや難聴を伴うこともあり、治療が遅れると顔面麻痺などの後遺症が残るリスクが高まります。
緊急を要する状態のため、疑わしい症状があればすぐに医療機関を受診してください。
ズキンとする耳の痛みを和らげる4つの対処法
突然の耳の痛みに襲われたとき、すぐに病院へ行けない場合もあります。
ここでは、ズキンとする痛みを一時的に和らげるためのセルフケア方法を4つ紹介します。
ただし、これらはあくまで応急処置であり、症状が改善しない、または悪化する場合には専門医の診断が必要です。
特に、ストレスや疲労が原因と考えられる場合に試してみる価値のある方法です。
まずは安静にして心と体をリラックスさせる
耳の痛みがストレスや疲労から来ていると感じる場合、まずは心と体を休ませることが最優先です。
騒がしい場所を避け、静かな環境で横になるか、楽な姿勢で座りましょう。
ゆっくりと深呼吸を繰り返すと、緊張状態にある交感神経の働きが抑えられ、リラックス効果のある副交感神経が優位になります。
これにより、血管の収縮が和らぎ、血行が改善されることで痛みが軽減されることがあります。
好きな音楽を聴いたり、アロマを焚いたりするなど、自分が心地よいと感じる方法で心身の緊張をほぐす時間を作ってください。
痛みがつらいときは市販の鎮痛薬を服用する
ズキンとする痛みが我慢できないほどつらい場合は、市販の鎮痛薬を服用するのも一つの方法です。
ロキソプロフェンやイブプロフェンといった成分を含む解熱鎮痛薬は、痛みの原因物質であるプロスタグランジンの生成を抑えることで、一時的に痛みを緩和する効果が期待できます。
ただし、これはあくまで対症療法であり、痛みの根本的な原因を治すものではありません。
薬を服用しても痛みが改善しない、あるいは頻繁に繰り返すようであれば、他の病気が隠れている可能性も考えられるため、自己判断で服用を続けずに医療機関を受診しましょう。
首や肩周りの血行を促進するストレッチを試す
デスクワークやスマートフォンの長時間利用などで、首や肩の筋肉が凝り固まっていませんか。
首周りの筋肉の緊張は、耳周辺の血行を悪化させ、痛みの原因となることがあります。
ゆっくりと首を左右に倒したり、前後ろに回したりする簡単なストレッチを取り入れてみましょう。
また、両肩をぐっと引き上げてからストンと落とす動きも、肩周りの緊張をほぐすのに効果的です。
血行が促進されることで、筋肉のコリが和らぎ、耳の痛みが軽減される場合があります。
ただし、動かして痛みが増す場合は無理せず中止してください。
質の良い睡眠をとり生活習慣を整える
耳の痛みを引き起こす自律神経の乱れを整えるには、質の良い睡眠を中心とした生活習慣の見直しが不可欠です。
睡眠不足は心身のストレスを増大させ、痛みを悪化させる要因となります。
毎日なるべく同じ時間に就寝・起床し、体内リズムを整えることを心がけましょう。
寝る前のスマートフォンやパソコンの使用は、脳を覚醒させてしまうため控えるのが賢明です。
また、栄養バランスの取れた食事や、ウォーキングなどの軽い運動を習慣にすることも、ストレス耐性を高め、自律神経の機能を正常に保つのに役立ちます。
こんな症状は病院へ!耳鼻咽喉科の受診をおすすめするケース
一瞬の耳の痛みは、多くの場合、しばらく様子を見ることで治まりますが、中には専門医による診断と治療が必要なケースも存在します。
自己判断で放置した結果、症状が悪化したり、後遺症が残ったりする事態は避けなければなりません。
これから挙げるような症状が見られる場合は、単なるストレス性の痛みではない可能性が高いため、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。
痛みが数日間続いている、または悪化している場合
ズキンとする痛みが一瞬で治まらず、数日にわたって続いたり、日に日に痛みの強さや頻度が増したりする場合は、医療機関を受診すべきサインです。
特に、市販の鎮痛薬を飲んでも痛みがほとんど和らがない、あるいは一旦治まってもすぐに再発するようなケースでは注意が必要です。
このような症状は、中耳炎などの炎症が起きている、あるいは悪化している可能性を示唆しています。
症状を我慢していると治療が長引くこともあるため、痛みが引かないと感じたら早めに耳鼻咽喉科で原因を調べてもらいましょう。
耳だれや聞こえにくさを感じる場合
耳の痛みに加えて、耳から液体(耳だれ)が出てきたり、音が聞こえにくくなったり、耳が詰まったような感覚(耳閉感)があったりする場合は、速やかに耳鼻咽喉科を受診してください。
これらの症状は、中耳炎や外耳炎といった感染症の典型的な兆候です。
また、メニエール病や、緊急の治療を要する突発性難聴の可能性も考えられます。
特に、突然片方の耳が聞こえなくなる突発性難聴は、治療開始までの時間が聴力の回復に大きく影響するため、様子を見ずに直ちに専門医の診察を受けることが推奨されます。
強いめまいや顔のしびれを伴う場合
耳の痛みに加え、自分や周囲がぐるぐる回るような激しいめまい、顔の片側がしびれる、口の端から水がこぼれる、目が閉じにくいといった顔の麻痺症状が現れた場合は、緊急を要する可能性があります。
これらの症状は、前述したラムゼイ・ハント症候群や、まれに聴神経腫瘍や脳梗塞といった脳に関連する重篤な病気のサインであることも考えられます。
後遺症のリスクを最小限に抑えるためにも、このような症状が見られた際は、様子を見ることなく直ちに耳鼻咽喉科や救急外来を受診することが極めて重要です。
まとめ
耳の奥で一瞬ズキンと痛む症状は、ストレスや疲労による自律神経の乱れ、あるいは一時的な神経痛が原因であることが少なくありません。
この場合、心身のリラックスや生活習慣の改善によって症状が和らぐことが期待できます。
しかし、痛みが持続・悪化する場合や、耳鳴り、めまい、耳だれ、聞こえにくさ、顔の麻痺といった他の症状を伴う場合は、中耳炎やメニエール病、ラムゼイ・ハント症候群など、専門的な治療が必要な病気の可能性があります。
本記事で紹介した受診の目安を参考に、気になる症状があれば自己判断で放置せず、早めに耳鼻咽喉科へ相談してください。
症例・患者さんの声

【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
鍼灸師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得
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