生理後しんどいのはなぜ?つらい心と体の不調を漢方で改善
生理が終わったはずなのに、なぜか心も体もすっきりしない、そのつらい不調は「生理後症候群」かもしれません。
生理によるホルモンバランスの変動や、漢方でいう「血」の不足が原因で起こることがあります。
この記事では、生理後のしんどさの原因を解説し、心身のバランスを整える漢方薬やセルフケアの方法を紹介します。
自分の体質に合った対処法を見つけ、つらい時期を乗り切りましょう。
生理後に感じる心と体の主な不調
生理が終わる頃から不調を感じ始める方は少なくありません。
特に、経血量が減ってくる生理後半の4日目や5日目あたりから症状が現れ、生理終了後も5日から1週間ほど続くことがあります。
ここでは、多くの人が経験する代表的な心と体の不調について、具体的に見ていきます。
自分の症状と照らし合わせながら確認してみてください。
憂鬱な気分やイライラが続く精神的なつらさ
生理が終わったのに、理由もなく憂鬱な気分になったり、些細なことでイライラしたりするのは辛いものです。
わけもなく涙が出たり、何事にもやる気が起きない無気力な状態に陥ることもあります。
これらの症状は、気分の浮き沈みが激しくなることで、集中力の低下を招く場合もあります。
人によっては、うつ症状のように強い落ち込みを感じ、日常生活に支障をきたすケースも見られます。
感情のコントロールが難しく、周囲との関係に悩む原因にもなり得ます。
体がだるい、眠いといった身体的なしんどさ
体の怠さや強い眠気は、生理後に現れやすい身体的な不調の代表例です。しっかり睡眠をとったはずなのに、日中に眠くて仕方がない、全身に倦怠感がまとわりついて動くのが億劫に感じるなどの症状が見られます。
その一方で、夜になると目が冴えてしまい、寝つきが悪いといった睡眠の質の低下に悩まされることもあります。その他にも、頭痛やめまい、下腹部痛、腰痛、むくみといった、月経前症候群(PMS)と似たような症状が続くこともあり、身体的なしんどさが日常生活の質を大きく下げる原因となります。
生理後に体調が優れない2つの主な原因
生理後に不調が起こる背景には、女性の体に特有のメカニズムが関係しています。
主な原因として、西洋医学的な視点からは「潜在性鉄欠乏(かくれ貧血)」が、東洋医学(漢方)の視点からは「血虚(けっきょ)」という状態が挙げられます。生理後の不調は、月経周期に伴うホルモンバランスの変化や鉄分不足が関わっているとされています。東洋医学の「血虚」も、鉄分不足による貧血や隠れ貧血と関連があると考えられています。
この2つの異なるアプローチから原因を理解することで、より自分に合った対策を見つける手助けになります。
女性ホルモンの急激な変動が不調を招く
生理周期は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンの分泌量によってコントロールされています。
生理が始まるとこれらのホルモンは急激に減少し、排卵期に向けて再び分泌量が増え始めます。
この短期間での急激なホルモン量の変動は、自律神経のバランスを乱しやすく、心身にさまざまな不調を引き起こす原因となります。
特に、エストロゲンの減少は、気分の落ち込みやイライラ、倦怠感などに関わるとされています。
これは、ホルモンバランスが大きく揺らぐ更年期に見られる症状と似ている部分があります。
漢方で考える「血虚」が生理後の不調につながる
漢方では、人間の体は「気」「血」「水」の3つの要素で構成されていると考えられています。
「血」は、全身に栄養と潤いを運び、精神活動を支える重要な役割を担っています。
生理では経血として多くの「血」が体外へ排出されるため、一時的に「血」が不足した「血虚」という状態に陥りやすくなります。
「血」が不足すると、体に栄養が行き渡らず、疲労感やだるさ、めまいといった身体的な不調が現れます。
また、精神を安定させる働きも弱まるため、気分の落ち込みや不安感、不眠といった精神的な不調にもつながります。
【症状別】生理後のつらい不調におすすめの漢方薬
生理後の不調を改善するために、漢方薬は有効な選択肢の一つです。
漢方では、個々の体質や症状に合わせて処方を使い分けることで、心身のバランスを根本から整えることを目指します。
ここでは、特に悩んでいる人が多い「気分の落ち込み」と「疲労感」という2つの症状に焦点を当て、それぞれに適した代表的な漢方薬を紹介します。
気分の落ち込みや不安感が強い場合に適した漢方薬
精神的な不調が目立つ場合は、「気」の巡りを改善し、「血」を補う漢方薬が用いられます。
代表的なものに「加味逍遙散(かみしょうようさん)」があり、体力があまりない方のイライラや不安感、不眠などを和らげます。
また、のぼせや動悸を伴う気分の落ち込みには「女神散(にょしんさん)」が適しています。
これらの漢方薬は、乱れた自律神経のバランスを整え、精神を安定させる働きが期待できます。
自分の症状や体質に合ったものを選ぶことが重要なので、専門家への相談をおすすめします。
疲労感や倦怠感がなかなか抜けない場合に適した漢方薬
身体的な疲労感が強い場合は、生理で失われた血を補い、体力を回復させる漢方薬が中心となります。
冷え性で疲れやすく、めまいや頭痛がある方には当帰芍薬散がよく用いられます。
これは血行を促進し、体を温める作用があります。
さらに貧血傾向が強く、気力も体力も落ち込んでいる場合には、気と血の両方を補う十全大補湯が適しています。
これらの漢方薬は、体の内側からエネルギーを補給し、倦怠感の改善を助けます。
漢方と合わせて実践したい!生理後の不調を和らげるセルフケア
漢方薬による体質改善と並行して、日々の生活習慣を見直すことも、生理後の不調を乗り切るためには不可欠です。
食事や生活リズム、簡単なセルフケアを取り入れることで、漢方薬の効果を高め、より早く心身のバランスを整えることにつながります。
ここでは、今日からでも始められる具体的なセルフケアの方法を3つ紹介します。
鉄分を補給して貧血を防ぐ食事のポイント
生理によって多くの血液が失われるため、意識的に鉄分を摂取することが重要です。
鉄分は血液の材料となり、漢方でいう「血」を補う基本となります。
特に、体に吸収されやすいヘム鉄を多く含む、レバーや赤身の肉、カツオなどを食事に取り入れると良いでしょう。
また、ほうれん草や小松菜、ひじきなどに含まれる非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が上がります。
ブロッコリーやピーマンなどの野菜や果物と組み合わせることを意識してみてください。
バランスの取れた食事で、貧血を防ぎ、体の内側から元気を養います。
体を温めて血行を促進する生活習慣
体が冷えると血行が悪化し、「血」が全身に行き渡りにくくなるため、不調が悪化しやすくなります。
日頃から体を温める習慣を心がけることが大切です。
ぬるめのお湯にゆっくりと浸かる入浴は、心身のリラックスと血行促進に効果的です。
また、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動も、血の巡りを良くするのに役立ちます。
服装も、腹巻きやレッグウォーマーを活用して、特にお腹周りや足首を冷やさないように工夫しましょう。
温かい飲み物を摂ることも、内側から体を温める手軽な方法です。
自宅で簡単!心と体を癒すツボ押し
ツボ押しは、気血の巡りを整え、不調を緩和する手軽なセルフケアです。
特に婦人科系の不調に効果的とされるツボを刺激することで、心と体のバランスを整える助けになります。
代表的なツボとして、内くるぶしから指4本分上にある「三陰交(さんいんこう)」や、膝のお皿の内側から指3本分上にある「血海(けっかい)」があります。
これらのツボを、気持ち良いと感じる程度の強さで、ゆっくりと5秒ほど押して離す動作を数回繰り返します。
リラックスできる時間に行うと、より効果的です。
長引く不調は要注意!婦人科を受診すべきケース
セルフケアや漢方を試しても症状が改善しない場合や、日常生活に支障が出るほどのつらい症状が続く場合は、医療機関の受診を検討してください。
生理後の不調だと思っていた症状が、実は他の病気のサインである可能性も考えられます。
我慢しすぎず、専門家である医師に相談することが大切です。
まとめ
生理後のつらい不調は、女性ホルモンの変動や漢方でいう「血虚」が主な原因です。
これらの不調は、個々の症状や体質に合った漢方薬を用いることで、心身のバランスを整え、改善が期待できます。
また、鉄分豊富な食事や体を温める生活習慣、ツボ押しといったセルフケアを併せて行うことで、より効果的に体質改善を目指せます。
症状が2週間以上続くなど、長引く場合は、婦人科などの医療機関に相談しましょう。
一人で抱え込まず、適切な対処法を見つけることが重要です。
症例・患者さんの声

【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
鍼灸師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得
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