コロナで耳が詰まるのは後遺症?原因と自分でできる耳詰まりの治し方
新型コロナウイルスに感染した後、耳が詰まるような不快な症状が続くことがあります。
これは後遺症の可能性も考えられ、不安に感じる人も少なくありません。
耳の詰まりは、ウイルスによる炎症が鼻や喉から耳管に影響を及ぼすことで生じることが多いです。
この記事では、コロナ感染後に耳が詰まる原因、自分でできる対処法、そして医療機関を受診すべき症状の目安について具体的に解説します。
コロナ感染後に耳が詰まる症状は後遺症の可能性がある
コロナ後に見られる耳の閉塞感は、後遺症の一つとして報告されています。
ウイルス感染によって引き起こされた鼻や喉の炎症が、耳とつながっている耳管の機能に影響を与えることが主な原因と考えられています。
症状が一時的であれば問題ない場合もありますが、不快な症状が長引く際は、単なる体調不良ではなく専門的な治療が必要なケースも考えられるため、経過を注意深く観察することが求められます。
耳が詰まる感じがする主な3つの原因
耳が詰まった感じがする不快な症状は、主に耳と鼻をつなぐ耳管の機能不全や、音を感じ取る内耳の炎症など、いくつかの原因によって引き起こされます。
特にコロナウイルス感染症は、これらの不調の引き金となる可能性があります。
耳に詰まった感じをもたらす主な原因を知ることで、自身の状態を把握し、適切な対処法を見つける一助となります。
ここでは、代表的な3つの原因について解説します。
耳管の働きが悪化して起こる「耳管狭窄症」
耳管狭窄症は風邪やウイルス感染、アレルギー性鼻炎などによって鼻や喉の奥にある耳管の入り口が炎症を起こし、耳管が狭くなることで発症します。
耳管には外部の気圧と鼓膜の内側(中耳)の気圧を一定に保つ役割がありますが、この機能が損なわれると中耳の圧力が低下し、鼓膜が内側に引っ張られます。
その結果、耳の詰まりや聞こえにくさ、自分の声が響くといった症状が現れます。
唾を飲み込んだりあくびをしたりすると一時的に症状が和らぐのが特徴です。
耳管が常に開いた状態になる「耳管開放症」
耳管開放症は、通常は閉じている耳管が開いたままになってしまう状態です。
これにより、自分の声が頭に大きく響いたり(自声強聴)、自分の呼吸音が聞こえたり、耳が詰まったような感覚が生じます。
急激な体重減少や脱水、ストレス、疲労などが原因で起こることが知られています。
耳管狭窄症と症状が似ていますが、前かがみの姿勢をとったり横になったりすると、耳管周辺の血流が変化して症状が一時的に改善するという特徴があります。
正確な診断には専門医の診察が必要です。
ウイルス感染による内耳の炎症
コロナウイルスを含む様々なウイルスが聴覚や平衡感覚を司る内耳に侵入し炎症を引き起こすことがあります。
内耳に炎症が起こると耳の閉塞感だけでなくめまいふらつき耳鳴りそして音が聞こえにくくなる難聴といった多様な症状が現れる可能性があります。
特に、ある日突然聞こえなくなる突発性難聴はウイルス感染が原因の一つと考えられており早期の治療が聴力の回復に不可欠です。
耳詰まり以外の症状を伴う場合は特に注意が求められます。
耳詰まりとあわせて注意したい随伴症状
耳の詰まりを感じる際には、同時に他の症状が現れていないかを確認することが重要です。
めまい、耳鳴り、聞こえにくさといった随伴症状は、耳のどの部分に問題が起きているかを推測する手がかりになります。
これらの症状によっては、早急に医療機関での診断が必要となるケースも少なくありません。
耳の詰まりだけでなく、他にどのような変化があるかにも注意を向けることが大切です。
自分の声や呼吸音が頭に響くように聞こえる
自分の発した声や、普段は気にならない呼吸音が、頭の中で大きく響いて聞こえる症状は「自声強聴」と呼ばれ、耳管開放症の代表的な兆候です。
通常閉じている耳管が開きっぱなしになることで、口や鼻からの音が直接鼓膜に伝わってしまうために起こります。
この症状があると、会話中に自分の声の大きさが分からなくなり、話しにくさを感じることがあります。
頭を下に向けたり横になったりすることで症状が一時的に軽くなる場合は、耳管開放症の可能性が考えられます。
めまいやふらつきが生じる
耳の詰まり感に加えて、自分や周囲がぐるぐる回るような感覚のめまい、あるいは体が揺れるようなふらつきがある場合、内耳の機能に問題が生じている可能性が疑われます。
内耳には音を感知する蝸牛だけでなく、体のバランスを保つ三半規管や耳石器といった平衡器官が存在します。
ウイルス感染などで内耳に炎症が及ぶと、これらの機能が低下し、めまいを引き起こすことがあります。
メニエール病など他の疾患も考えられるため、専門医による診断が必要です。
キーンという高音の耳鳴りがする
耳の詰まりとともに、「キーン」や「ジーン」といった金属音や電子音のような高音の耳鳴りが続く場合、内耳の音を感じ取る細胞や神経に何らかの異常が起きているサインかもしれません。
このような耳鳴りは、突発性難聴や音響外傷、加齢性難聴などでみられることがあります。
特に、コロナ感染などをきっかけに急に耳鳴りが始まった場合は、ウイルスが内耳に影響を与えている可能性も否定できません。
耳鳴りはストレスや疲労によっても悪化するため、十分な休息が必要です。
音がこもって聞こえにくい(難聴)
音が膜を一枚通したようにこもって聞こえる、あるいは全体的に聞き取りにくくなったと感じる場合、難聴が起きている可能性を考慮しなくてはなりません。
耳管の機能不全による耳管狭窄症などでは、音がうまく伝わらない「伝音難聴」が生じます。
一方で、ウイルスの影響で内耳の神経細胞がダメージを受けると「感音難聴」が起こります。
特に突然片耳が聞こえなくなる突発性難聴は、治療開始までの時間が聴力の予後を左右するため、速やかな受診が不可欠です。
症状が軽い場合に自分でできる耳詰まりの治し方
耳の詰まりが軽度で、強い痛みやめまい、難聴といった他の症状を伴わないケースでは、いくつかのセルフケアで症状が和らぐことがあります。
これから紹介する治し方は、主に耳管の開閉を促し、中耳の気圧を調整することを目的としています。
ただし、これらはあくまで一時的な対処法であり、症状が改善しない、または繰り返す場合には、根本的な原因を調べるために医療機関を受診することが重要です。
唾を飲み込んだり、あくびをしたりして耳管を開く
唾をゴクンと飲み込む嚥下運動や、大きく口を開けるあくびは、耳管の周りの筋肉を動かし、閉じていた耳管を瞬間的に開かせる働きがあります。
これにより中耳腔の空気が入れ替わり、外気との気圧差が解消されるため、耳の詰まりがすっと抜けることがあります。
飛行機の離着陸時や高層ビルのエレベーターで耳が詰まった際に自然と行っている動作であり、最も手軽で安全なセルフケアの一つです。
耳に詰まりを感じたら、まず意識的に試してみるとよいでしょう。
ガムを噛んで顎の筋肉を動かす
ガムを噛む行為は、顎の筋肉を繰り返し動かすことにつながり、これが耳管の開閉を促進する効果をもたらします。
リズミカルに顎を動かすことで、耳管周辺の筋肉が刺激され、中耳の換気が行われやすくなります。
また、ガムを噛むと唾液の分泌が促されるため、自然と唾を飲み込む回数も増え、耳管が開く機会が増加します。
特に耳管狭窄症が原因で起こる軽い耳の詰まりに対して有効な場合があります。
痛みなどがない範囲で試すことが推奨されます。
鼻をつまんで行う「耳抜き」を試す
スキューバダイビングなどでも用いられる「耳抜き」は、耳管に意図的に空気を送り込んで中耳の圧力を調整する方法です。
一般的に行われるバルサルバ法は、まず鼻をしっかりと指でつまみ、口を閉じた状態で、鼻をかむように優しく息むことで行います。
このとき、力を入れすぎると鼓膜を傷つけたり、鼻の奥にいる細菌を耳管経由で中耳に送り込み、急性中耳炎を引き起こしたりするリスクを伴います。
したがって、耳抜きを試す際は、ごく軽い力でそっと行い、痛みを感じたらすぐに中止することが不可欠です。
耳詰まりの症状を悪化させる可能性のあるNG行動
耳が詰まっている際には、その不快感からついやってしまいがちな行動が、かえって症状を悪化させたり、別のトラブルを引き起こしたりすることがあります。
耳や鼻は非常にデリケートな器官であるため、強い物理的刺激を与える行為は避けるべきです。
また、生活習慣の乱れが不調の背景にあることも少なくありません。
ここでは、耳詰まりの際にやってはいけないNG行動を解説します。
鼻を力まかせに強くかむ
鼻づまりがあるときに、すっきりさせようと力いっぱい鼻をかむのは危険です。
強く鼻をかむと鼻腔内の圧力が急激に上昇し、鼻水に含まれるウイルスや細菌が耳管を通って中耳へと逆流してしまうことがあります。
これが原因で急性中耳炎を発症すると、耳の詰まりが悪化するだけでなく、激しい痛みや発熱、耳だれなどを引き起こすことになりかねません。
鼻をかむときは、片方の鼻の穴をしっかり押さえ、もう片方からゆっくり優しくかむように心がける必要があります。
綿棒や耳かきを耳の奥まで入れる
耳が詰まった感じがすると、耳垢が詰まっているのではないかと考えて、綿棒や耳かきで耳の奥まで掃除しようとする人がいますが、これは避けるべき行動です。
耳の穴の皮膚は非常に薄くデリケートなため、簡単に傷がついて外耳炎を起こす原因となります。
また、耳垢をかえって奥に押し込んでしまい、症状を悪化させるケースも少なくありません。
最悪の場合、鼓膜を傷つけてしまう危険性もあります。
耳垢が気になる場合は、無理に自分で処置せず、耳鼻咽喉科で安全に除去してもらうのが最善です。
ストレスや疲労をため込む
過度なストレスや慢性的な疲労、睡眠不足は自律神経のバランスを乱す主な原因です。
自律神経は全身の血流や様々な器官の働きをコントロールしており、耳の機能もその例外ではありません。
自律神経が乱れると、内耳への血流が悪化して機能が低下したり、耳管の開閉がうまくいかなくなって耳管開放症を引き起こしたりすることがあります。
特にコロナ感染後は体力が落ちているため、無理は禁物です。
十分な休息と睡眠を確保し、心身をリラックスさせることが症状改善への近道となります。
セルフケアで改善しない場合は耳鼻咽喉科の受診を
紹介したセルフケアを試しても耳の詰まりが治る気配がない、あるいは悪化する、他の症状も伴うといった場合には、自己判断で様子を見続けるのは危険です。
耳の症状の背後には、突発性難聴やメニエール病など、早期治療が重要な病気が隠れている可能性もあります。
適切な治療を受けるためにも、ためらわずに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
受診すべき具体的なタイミングの目安を以下に示します。
耳の詰まりが長期間続いている
耳抜きなどを試すと一時的に良くなるものの、すぐに症状がぶり返す場合や、数日から1週間以上にわたって耳の詰まりが解消されない場合は、専門医の診察を受けることを推奨します。
単なる気圧の変化などによる一過性の症状ではなく、耳管の炎症や内耳の機能障害など、治療を必要とする何らかの原因が根底にある可能性が高いと考えられます。
放置することで症状が慢性化したり、聴力に影響が出たりすることもあるため、早めに原因を特定することが重要です。
耳に強い痛みやめまいを感じる
耳の詰まりに加えて、ズキズキとした強い痛み、耳だれ、あるいは自分や周囲が回るようなめまい、立っていられないほどのふらつきといった症状を伴う場合は、速やかに耳鼻咽喉科を受診してください。
強い痛みは急性中耳炎や外耳炎、めまいはメニエール病や前庭神経炎など、内耳の平衡機能に関わる病気の可能性があります。
これらの病気は放置すると重症化したり、後遺症が残ったりするリスクがあるため、自己判断で様子を見るべきではありません。
突然、片方の耳が聞こえなくなった
あるときを境にして、突然片方の耳が聞こえなくなった、または電話の音が聞こえないなど、著しく聞こえが悪くなったと感じる場合は、突発性難聴の可能性があり、救急受診が必要な状態です。
突発性難聴は、治療開始が早ければ早いほど聴力が回復する可能性が高まります。
一般的に、発症から48時間以内、遅くとも1~2週間以内にステロイド治療などを開始することが望ましいとされています。
耳詰まりだと思っていたら、実は重度の難聴だったというケースもあるため、聞こえ方の急な変化には最大限の注意が必要です。
まとめ
新型コロナウイルス感染後に見られる耳の詰まりは、後遺症の可能性も視野に入れる必要があります。
主な原因として、鼻や喉の炎症が波及することによる耳管狭窄症や耳管開放症、あるいはウイルスによる内耳の炎症が考えられます。
軽い症状であれば、唾を飲み込むなどのセルフケアで改善することもあります。
しかし、症状が長引く場合や、強い痛み、めまい、突然の難聴などを伴う場合は、専門的な治療が必要な病気が隠れている可能性があります。
自己判断で放置せず、速やかに耳鼻咽喉科を受診し、適切な診断を受けることが大切です。
症例・患者さんの声

【監修】
平井鍼灸院 院長 梅田俊
鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師
鍼灸師
【所属】
2015年~ 日本自律神経研究会
日本自律神経研究会
【資格】
2011年 国家資格はり灸師、あん摩マッサージ指圧師免許取得
2016年 自律心体療法上級者施術認定者取得
2018年 クレニアルテクニック上級施術認定者取得
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