不眠症の症例報告

不眠症の症例をご紹介致します。

不眠症の原因は、仕事や家庭環境などの精神的ストレス、ホルモンバランスなどの構造的ストレス、栄養不足や食品添加物摂取などの科学的ストレス、暑さ寒さや湿度の有無などの温度湿度ストレスが考えられる。どれか1つが原因なのではなく、複合的に絡んでいるために、それぞれ分野別にお話を聴いていく必要もある。

下記に当てはまるものはありますか?

  • 夜になっても眠ることが出来ない…
  • 昼間はすこし眠い…
  • ストレスが強くて、考え始めると眠れない…
  • 何がストレスかも分からない…
  • 長年お薬に頼って眠りについている…
  • 布団に入ってから2時間くらいは起きている…
  • ついつい考え事をしてしまって、眠れなくなる…

平井鍼灸院には不眠症で通院をして、改善した症例報告があります。

不眠症は、子供からご高齢の方まで診られる症例であり、改善する為には身体の体力をつけてあげる事と、神経の働きを正常化させることが重要となる。

症例1 20年来の不眠症と夜間頻尿 

患者

80代 女性

来院

2018.8

症状と来院理由

主訴は、夜間頻尿と20年来の不眠症。

20年以上前から、不眠症を患っている。夜寝つくのに毎日睡眠導入剤を服用。

2~3年前から薬が効かなくなり、睡眠に入ってから1時間に1回はトイレで目が覚めてしまう。

一晩眠れない日もある。眠れない毎日がとにかく辛くて来院。ここ最近はやる気も低下してきており、本来の自分の性格や行動が出来ないでいるのもストレスになっている。特にパソコン作業をしてしまうと、一晩中眠れなくなってしまう。

通院ペース

2週1回

治療内容と経過

主に、頭の骨の歪みを整えている。何故なら、不眠症は中枢神経系の症状だからである。

長年の睡眠導入剤の服薬により脳内の神経伝達物質(睡眠に関係する)が分泌以上を起こしてしまっている。不眠状態で20年も過ごしてきたので、身体が薬になれてしまい通常の機能を失ってしまっている。施術の経過としては、初回のはり施術後から体の反応が始まり夜は4時間連続で眠れるようになった。それまでは1時間に1回は夜間頻尿で起きていた。使用したツボは、側頭骨は率谷、天衝に鍼をしてパルスを10Hzで10分かけた。そのほかには、百会という頭のてっぺんのツボに鍼をした。足の冷えには、湯たんぽをつけて処置を加えた。

症状が出ている部位

青=冷え 黒=硬さ

 同時に治療をした症状

夜間頻尿

使用した主なツボ

腎兪、膀胱兪、率谷、天衝、百会

考察

睡眠障害を訴えているご高齢の方も、その症状を見極めることで施術により改善することが可能。今回改善した理由は、身体の状態が体力がある状態だったことが考えられる。回復力は、体力に比例する。体力には、運動力・思考力・免疫力・調整力があるがこの患者さんは全てが正常に近い状態だった。極度のストレスがかかったことで、身体がバランスを崩してから長年が経過していた。体が正常化するきっかけがなかっただけで、きっかけを作ることで回復を促すことが出来た。

症例2 3か月間続いていた寝つきの悪さ

患者

30代 男性

来院

2016.10

症状と来院理由

主訴は睡眠時間が長く取れない状態が3か月間続いていること。他に、首や肩のこりも感じている。仕事は書類の事務処理でデスクワークが主な仕事内容。睡眠の状態は入眠後2~3時間で起床、その後眠れなくなる状態が続いてしまう。日中は集中力が低下してしまい、思考が固まった状態になってしまって困っている。

不眠が続いていることと、朝起きれるかどうかを気にし始めてからさらに睡眠が長く取れなくなったと自覚している。最近は疲れやすくなり、体力が落ちてきていると感じている。毎日楽しく過ごして、趣味のフットサルなどを楽しみたいと思っている。現状は疲れが抜けなくて、仕事のパフォーマンスが落ちてきてしまっていることが心配。

通院ペース

週1回

治療内容と経過

主に睡眠を継続して取ることが出来ていない状態を考えると、寝ている間に肝臓の蔵血作用(血液を収納し、血圧を下げる作用)が低下してしまい、深い睡眠状態を維持継続することが困難になっていると判断した。施術で使用したツボは、太衝、血海、期門、眉間の肝臓の反応点を使用した。睡眠の状態は2週間で回復した。その後は消化器症状の不調が現れ、体力を回復させるために胃と大腸の施術計画を立てて体質を変化させるサポート行った。その結果、免疫力を高く保てるようになり、1か月で卒業となった。

症状が出ている部位

赤=痛み 青=冷え
※黒=硬さ 黄=こり

同時に治療をした症状

肩と首のこり、腰の痛み(フットサル)

使用した主なツボ

太衝、血海、期門、眉間の肝臓の反応点

考察

仕事の環境やストレスを感じることで、睡眠に異常が出ていた症例だったが、年齢と体の反応が良かったことで2週間で症状の回復が見られた。回復が見られた後も、継続して状態を維持できていたことを考えると、肝臓の機能障害(特に肝の蔵血作用)を調整することが出来たことが良かったと考える。他にも消化器系の施術計画を立てて、肝臓の機能調整をサポートするようにし、免疫反応の力も整えたのでより一層、ストレスに強い体に変化していったと考察をした。ツボは上記の内容を取り入れたが、主に頭の骨の整体も初回から施術内容に加えていったことで、脳神経の働きを正常化させるまでのスピードが早まった。

症例3 うとうとするけど寝付けない不眠症

患者

30代 女性

来院

2017.5

症状と来院理由

主訴は23時くらいに寝ようとして布団に入るけど、2~3時間は眠れない不眠症。左の頭の痛みや首の痛みがある。原因は、噛みしめによるものかも知れない。現在妊活中で、仕事はやめた。妊活のストレスがあるのか、不眠症状はここ2週間になってとても辛くなっている。基礎体温は乱れ気味で。東京に引っ越してきてから入眠障害が起こっている。いつもクヨクヨしてしまい、やる気も低下している。どうにか妊娠したいし、現在の悩みを解消したくて来院。

通院ペース

週1回

治療内容と経過

主に睡眠を継続できない理由は、心臓の機能、腎臓の機能、肝臓の機能の低下が考えられる。気分としてはクヨクヨしたりやる気の低下があることを考えると、腎臓と肝臓の機能調整が必要だと考える。施術をするツボとしては、太谿、関元、漏谷、百会、太衝、曲泉を中心に鍼とお灸で施術を行った。初回の施術の後は睡眠を持続して取れるようになった。消化機能が低下するとより一層睡眠の乱れが強くなることが分かったので、途中から脾臓と胃の機能調整も加えて、中脘と三陰交を鍼で刺激したところ、消化機能も回復した。通院3か月で妊娠をして、卒業をした。睡眠は順調に6~7時間は取れるになった。

症状が出ている部位

赤=痛み 青=冷え
※黒=硬さ 黄=こり

同時に治療をした症状

たまに起こる偏頭痛

使用した主なツボ

太谿、関元、漏谷、百会、太衝、曲泉、中脘、三陰交

考察

環境の変化と妊活のストレスが重なって、睡眠障害になってしまった人の症例だった。環境の変化はコントロール出来ないが、それに適応する体の状態にするのに、弱っている腎臓と肝臓の働きを調整することがとても有効だった。初回から施術効果で眠れるようになったのは、夜て寝ている時の腎臓の納気作用、肝臓の蔵血作用が働くようになったからである。消化機能は全ての症状の土台と言える場所で、自律神経の乱れが起こっている方のほとんどは、消化機能の不調を抱えている。その点、今回は脾臓と胃の調整に中脘と三陰交を用いたことで、不調を取り除くことが出来た。3か月で妊娠に至ったという結果も、胃腸の機能が整い、腎機能と肝機能が高まってきたことが要因であると考える。

症例4 寝つきが悪く、薬を飲まないと眠れない不眠症

患者

60代 女性

来院

2021年2月

症状と来院理由

パニック障害を20年患っている状態で、身内の不幸が1年の間に3回続き精神的ストレスが増えたことによって、入眠困難の状態が続いている。薬を飲むことで眠れる日があるが、日によっては薬を飲んでも眠れない日々を送っていた。睡眠障害とパニック障害もそれぞれが影響しあっている可能性が高いので同時に回復を希望している。

通院ペース

週2回

治療内容と経過

睡眠障害の原因は、パニック障害を長年患っていることが根本的な原因になっているので、心臓と腎臓の経絡を補って精神的な安定感を与えた。入眠困難に対しても心腎不交を補う施術をすることで回復する見込みがあった。神門、照海、関元、腎兪、心兪、天柱に対して鍼をして、脾兪と胃兪に温熱施術を加えることで入眠に対する不眠症状が回復してきた。週に7回眠れていなかった症状が、週3回は薬なしで眠れるようになり、薬があれば毎日眠れるようになるまで回復をした。

症状が出ている部位

赤=痛み 青=冷え                  

同時に治療をした症状

身体の冷え

使用した主なツボ

神門、照海、関元、腎兪、心兪、天柱

考察

パニック障害を20年以上患っている方の不眠症状の場合、不眠の原因にパニック障害がどれだけ関与しているのかを見極める必要がある。今回のように、身内の不幸などのストレスが1年以内に関与している場合は、不眠症状に対してパニック障害の施術をメインにすることで回復しやすいとわかった。今後の不眠症状患者の発症原因に、精神的ストレスが関与している場合は、精神疾患の施術をメインに行って不眠症状の回復を図る。

症例5 産後から薬を飲まないと眠ることが出来ない不眠症

患者

30代 女性

来院

2022年5月

症状と来院理由

産後から不眠症を発症。それまでは何ともなかったので、原因は出産時のホルモンバランスの乱れと、眠れない日々が続いたことによる脳疲労だと思い、大学病院や心療内科を転々とし、西洋医学に頼りたくない気持ちが出てきたため平井鍼灸院に来院。

通院ペース

週2回

治療内容と経過

睡眠障害の原因は、産後のホルモンバランスの乱れと脳疲労であると判断し、腎臓の機能と肝臓の機能に対して施術を施した。瞳孔反射は収縮筋の筋力維持が出来ない状態だったことを考えると、脳疲労の状態は自律神経の乱れを引き起こす原因になっていたと考えられる。

施術を行ったあとは、瞳孔収縮筋の筋力維持時間も改善し、本人も気持ちが明るくなったという感覚を得ていた。その後また眠れなくなる日々が出てきたが、ミルタザピンを服用することで一時的に落ち着きを取り戻し、また施術を受けに来るという状態を継続中。

症状が出ている部位

赤=痛み 青=冷え                   

同時に治療をした症状

慢性疲労

使用した主なツボ

百会、合谷

考察

出産がきっかけで起こった不眠であっても、根本的には脳疲労による自律神経の乱れが起こっていると考えられる。脳の疲労の原因は日ごろのストレスなので、まずは体の機能改善と内臓の血流改善を行うことで、施術後の気分に変化が見られた。脳内の神経伝達が改善することで、気分も睡眠導入のスムーズさも変わってくるので、今後も同じような症例を診る際は、脳内の神経伝達をよくするための施術を1回目からしていく。

症例6 コロナ禍に入り発症した不眠症

患者

50代 女性

来院

2022.10

症状と来院理由

コロナ禍に入り発症した不眠症。朝方に起きてしまう中途覚醒がお悩み。

入眠困難が初期はあったがコロナ禍に入り朝方に起きる中途覚醒が発症。息子さんがうつ病で、メンタルの乱れが移っているのではないかとのこと。息子さんと一緒に来院したいがまずは自分自身が治療を受けるとのことでご来院。

通院ペース

2週1回

治療内容と経過

治療内容としては、鍼とお灸、オイルトリートメントを行っている。オイルトリートメントは行うことにより眠気が毎回来るので鍼との組み合わせで副交感神経優位の状態にしている。初回の施術後は朝方まで一度も目を覚まさずに睡眠ができた。その後は2時間おきに目が覚めるが寝つきがよくなった。3回ほどの施術で状態は良くなって5回目以降の施術は月1回のメンテナンスとなっている。

症状が出ている部位

赤=痛み 青=冷え                  

同時に治療をした症状

頭痛

使用した主なツボ
太渓、陰陵泉、崑崙、膈兪

考察

息子さんのうつ病のメンタルからくる精神的ストレスと生活習慣の乱れからくるストレスが影響して不眠症が発症したと推測。生活習慣の中でもお酒が特に影響している。肝血と腎気の調整を行った。肝血はストレスとの関係があり肝血の滞りが起きていたので調節を行った。また、腎気の低下があったので向上させることにより人間本来が持っている自然治癒力の向上を行った。現在は月1回のメンテナンスとして通院している。